カッシラー Ernst Cassirer 一八七四-一九四五(明治七-昭和二十年)。ドイツの哲学者。マールブルク学派のコーヘン(H. Cohen 1842-1919)、ナトルプ(P. Natorp 1854-1924)の門から出たが、ハンブルグの大学教授として活躍し、ナチに追われて亡命した。最後はエール大学の教授。専門はカント研究と知識論とであったが、その主著『象徴形式の哲学』三巻の第一巻として『言語』を出し、言語学の領域からも重要視されるに至った。彼は哲学の任務は近代の言語哲学における「内部言語形式」(別項)のごときものを、それぞれ異なる文化形態について発見し、それらの間に統一的な体系を確立するところにあると考えた。したがって、彼の哲学においては言語的象徴形式が他のあらゆる象徴形式に対する範例のごときものとなっている。『言語』ではまず、われわれの知識がすべて主観によって構成される象徴形式であることを説く。第一章「哲学史上に現われた言語の問題」はきわめてすぐれた言語哲学史の瞥見であると言われる。第二章「感性的表現の相における言語」では言語の初発形態としての感情の表出が擬態的、類推的、象徴的段階を通して発展することを述べ、第三章「直観的表現の相における言語」では時間・空間・数および主観(人称)の表象の成立を取り扱い、第四章「概念的思惟の表現としての言語」では、言語的類構成が常に精神の全体的態度・方向によって規定されるものであることを説き、第五章「論理的関係形式の表現としての言語」では文章論の問題に触れている。   〔矢田部達郎
 〔参考〕
E. Cassirer: Philosophie der sy,bolishchen Formen. I. Die Sprache. (1923)
『カッシラア 言語』矢田部達郎訳。<a href="http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1057578">*</a>
『カッシーラー 人間』宮城音弥訳。

国語学辞典

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Last-modified: 2021-11-27 (土) 11:30:01