リリー・フランキー
九州弁小説
水底に大きなハレクラニマークが描かれたプールに筑豊弁がこだましている。
標準語というものを今までテレビの中でしか耳にしていなかったから、電車の中のプサイクなオバサンや、気味の悪いオジサンまでもが、そのテレビの中の言葉を使うことに馴染めなかった。
東京にいることが、どんどん当たり前になって、方言も出なくなった。