中村保男
『言葉は生きている―私の言語論ノート―』
聖文社
ASIN:B000J8LLSI
はしがき
第1章・差別語とは何か
1 区別と差別
簡便で印象的な比喩表現
「分る」ということ
差別語反対の風潮に反対する
2 指示的意味と含蓄
言外の意味
言葉は歴史である
差別語をなくす方法
複雑微妙な含み
第2章・散文と詩
2 韻文は翻訳可能か
狂歌と戯詩
詞と辞
3 詩の心と技
詩の技法
散文詩
4 比喩さまざま
隠喩表現の面白さ
言葉はすべて比喩である
第3章・文体という"肉体"
1 言文一致と文
会話体と文章体
口語と文語
2 文は人なり
文章類型と規範性
文体と適語適所
3 文体の演習.
文は眼なり
前半部の結論
第4章・レトリック
1 修辞疑問
疑問の形をとった断定
濫用すると逆効果
2 反語
「おめでたい人」はめでたくない
反対表現
現実認識とアイロニー
3 誇張表現
「大昔」が「久しぶり」
表現はすべて誇張なり
4 沈黙はガラス?
言葉の言葉
沈黙か誇張か
5 倒置と省略
融通無碍な日本語
頓絶法
頭部省略
6 反覆
レトリックは自然
逆説的な効果
7 言葉遊び 洒落
すり替えの妙技
表現のコペルニクス的転換
8 代換
「東の水平線が太陽から離れる」
「頬が涙で流れる」
「可哀想な赤ん坊が泣く」
9 代替と逆喩
「生きた」は「死んでいる」
「利・馬鹿」オクシモロン
10 逆説
常識の襲をかく表現
修辞は詩的
11 換称
土佐衛門は実在した
「ちび伍長」ことナポレオン
12 漸降
頭でっかち、尻すぼみ
本章の結論
第5章・言葉と論理
1 三段論法と演繹論理
「人間は豚である」?
日常言語の非論理性
2 ロジックとレトリッ
誤った一般化
ラスコリニフの非論理
3 帰納論理
論理の妥当性と真偽
断定は鵜呑みにできない
第6章・言語と現実との距離
1 個と普遍
直観的普遍と抽象的普遍
普遍論争
2 抽象化の階段
具体化の希薄化
抽象語の危険性
3 言葉の魔術
言葉は現実そのものではない
迷信の効用
結論
附・適語適所のすすめ
言葉の美醜
適語適所ということ
語願の"美しさ"
内容と形式の同時訳出
英文にも日本語的語順がある
「彼」の省略
敬語の活用
流行語、外来語、卑語、方言
翻訳は日本化にあらず
新しい慣用の創造