中谷宇吉郎
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1225273
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 此の本は雪の結晶について私が北海道で行つた研究の經過及びその結果をなるべく分り易く書いたものである。勿論專門の學者の人に讀んで貰ふつもりは毛頭無いので、只自然の色々な現象について正當な理解を持ちたいと思つて居られる人々に、少しでも自然現象に對する興味を喚起する機縁になれば有難いと思つて書いたものである。雪と云つても問題の範圍が廣いので、その中で私が主として調べたのは、雲の結晶についてである。隨つて雪に關する色々な問題、例へば雪崩とか、スキーと雪との關係とかいふ風な話は此の本の中には出て來ない。主な話は此の本の第三話、「北海道に於ける雪の研究の話」及び第四話、「雪を作る話」の中に收められて居るのであるが、自然科學に對して別に關係のない讀者の爲に第二話を插入した。さういふ人々の爲に此の本を書いたので、雪は水蒸氣が凍つたものであるといふやうな分り切つたことまで説明したのである。


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Last-modified: 2022-08-08 (月) 10:07:43