井上光晴
幕末時代小説 文久3年
長崎
新潮文庫
「後記」に
やりとりの語尾に使われる「でっしょ」と「でっしゅ」は夫々出身地の違いであり、そのことを一例として会話には可能な限りの神経を使った。
p.30
器用にこなす長崎弁の抑揚さえも、
わざとまぜこぜにした長崎弁
長崎弁になおしたとばやらんね
奇妙な上方弁で促す
長崎弁らしきものを使っているが、相手の口調はまるで違う。
江戸弁の客が外出してから
誰かに言葉遣いをたしなめられでもしたのか、禿の口調は固い。
p.293
日本のごたる国でも薩摩と長州じゃまるっきり言葉も違う。