合山林太郎
『幕末・明治期における日本漢詩文の研究』
和泉書院
2014.2.28

http://www.izumipb.co.jp/izumi/modules/bmc/detail.php?book_id=79117>
第一部 幕末・明治期の社会と漢詩文文化
 第一章 漢文による歴史人物批評―幕末昌平黌関係者の作品を中心に―
 第二章 明治初期の漢詩と結社―旧雨社をめぐって―
 第三章 青少年期の森鷗外と近世日本漢文学
 第四章 漢詩改良論―詩歌の近代化と漢詩―
 第五章 明治期の時事批評漢詩―国分青厓「評林」と野口寧斎「韻語陽秋」―
 第六章 『しがらみ草紙』の「詩月旦」―森鷗外と文壇批評漢詩―

第二部 幕末・明治初期における漢詩の潮流と漢詩壇の動向
 第一章 性霊論以降の漢詩世界―近世後期の日本漢詩をどう捉えるか―
 第二章 幕末京坂の漢詩壇―広瀬旭荘・柴秋村・河野鉄兜―
 第三章 幕末・明治初期の遊仙詩―森春濤とその周辺―
 第四章 幕末・明治初期の詠物詩―大沼枕山一派の詩風をめぐって―

第三部 森槐南と新世代の漢詩人たち
 第一章  幕末・明治初期の艶体詩―森春濤・槐南一派の詩風をめぐって―
 第二章 漢詩における明治調―森槐南と国分青厓
 第三章 森槐南の読書歴―青少年期を中心に―
 第四章 森槐南と呉汝綸―明治三〇年代における日中漢詩唱和―

第四部 野口寧斎の生涯と文学
 第一章 野口家一族と幕末の文人社会―寧斎の祖父良陽・父松陽について―
 第二章 野口寧斎の前半生
 第三章 野口寧斎の後半生

資料 『漁洋山人精華録訓纂』への森槐南自筆書入れ

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漢詩文は、幕末・明治期において我が国における主要な文学様式の一つであり、漢詩人たちを中心に巨大な文化圏を形成していた。近世期以降、蓄積された詩学の伝統のなかでの技術的成熟、近代という新たな社会がもたらす環境の変化、様々な要素が複雑に絡み合うこの時期の漢文学の動向を、数多くの新資料を用いて読み解く。
目次
凡例
 序 章

第一部 幕末・明治期の社会と漢詩文文化
 第一章 漢文による歴史人物批評―幕末昌平黌関係者の作品を中心に―
     一 史論流行の概略
     二 史論の性質(一)―道徳・倫理の重視―
     三 史論の性質(二)―青年文学としての側面―
     四 様々な批評(一)―君臣関係・名分をめぐって―
     五 様々な批評(二)―時事に関する言及について―
     六 史論における楠木正成・正行批判
     七 正成・正行批判の背景及び位置づけ
     小結
 第二章 明治初期の漢詩と結社―旧雨社をめぐって―
     一 旧雨社と政治世界
     二 漢学者と「自主自由」
     小結
 第三章 青少年期の森鷗外と近世日本漢文学
     一 青少年期鷗外の漢詩集の読書状況
     二 青少年期鷗外の漢文集・考証随筆の読書状況
     三 知識源としての近世日本漢文学
     四 教訓・人生訓としての近世日本漢文学
     小結
 第四章 漢詩改良論―詩歌の近代化と漢詩―
     一 洋詩の漢訳と叙事詩・劇詩風漢詩の制作
     二 訓読による漢詩の制作・享受に対する批判
     三 漢詩の改良から漢詩の否定へ
     四 大江敬香の平仄廃止論
     五 明治二○年代後半以降の漢詩をめぐる議論
     小結
 第五章 明治期の時事批評漢詩―国分青厓「評林」と野口寧斎「韻語陽秋」―
     一 時事批評漢詩の創始と流行
     二 時事批評漢詩の外形的特徴
     三 「評林」の詩と社会批評
     四 「韻語陽秋」の詩と文芸批評
     五 時事批評漢詩への批判
     小結
 第六章 『しがらみ草紙』の「詩月旦」―森鷗外と文壇批評漢詩―
     一 「詩月旦」の概略
     二 「詩月旦」による小説批評
     三 「詩月旦」と『舞姫』
     小結

第二部 幕末・明治初期における漢詩の潮流と漢詩壇の動向
 第一章 性霊論以降の漢詩世界―近世後期の日本漢詩をどう捉えるか―
     一 文学史的記述における性霊論の位置づけ
     二 作品評価に見る性霊論の理解のあり方
     三 『星巌集』序文に見える詩観
     四 宋詩否定と唐詩尊重の背景
     五 近世後期の漢詩と明治期の漢詩との関係
     小結
 第二章 幕末京坂の漢詩壇―広瀬旭荘・柴秋村・河野鉄兜―
     一 幕末期における広瀬旭荘の詩風
     二 柴秋村の詩風
     三 旭荘、秋村の南宋詩批判
     四 河野鉄兜の詩風
     五 鉄兜、旭荘の議論と袁枚の王漁洋批判
     六 大沼枕山の旭荘批判と森春濤の鉄兜支持
     小結
 第三章 幕末・明治初期の遊仙詩―森春濤とその周辺―
     一 幕末期の漢詩における神仙表現
     二 森春濤の詩における神仙表現
     三 亡児への追慕と春濤の遊仙詩制作
     四 河野鉄兜の「小游仙曲」
     五 森槐南の「反遊仙」詩
     小結
 第四章 幕末・明治初期の詠物詩―大沼枕山一派の詩風をめぐって―
     一 枕山一派の詠物詩制作
     二 枕山の詠物詩の詩風
     三 森春濤・槐南らの詠物詩についての言及
     四 植村蘆洲の詠物詩の詩風
     小結

第三部 森槐南と新世代の漢詩人たち
 第一章  幕末・明治初期の艶体詩―森春濤・槐南一派の詩風をめぐって―
     一 森春濤・槐南と艶体詩の流行
     二 春濤・槐南一派の艶体詩の特徴(一)―仏教的色彩を帯びた艶体表現―
     三 春濤・槐南一派の艶体詩の特徴(二)―不遇な女性への関心―
     四 艶体詩への陳碧城の影響
     五 明治文学における艶体詩の位置づけ
     小結                   
 第二章 漢詩における明治調―森槐南と国分青厓
     一 明治一〇年代の森槐南の詩作
     二 明治一〇年代の国分青厓の詩作
     三 槐南、青厓における悲憤慷慨への志向
     四 近世後期の詩風に対する槐南、青厓らの批判
     五 明治期の詩歌革新との関係(一)―青厓と正岡子規―
     六 明治期の詩歌革新との関係(二)―槐南と井上哲次郎―
     小結
 第三章 森槐南の読書歴―青少年期を中心に―
     一 青少年期における槐南の読書状況
     二 竹枝に対する嗜好
     三 明末清初の歴史への関心
     四 槐南における道徳主義と表現主義
     小結
 第四章 森槐南と呉汝綸―明治三○年代における日中漢詩唱和―
     一 明治前期の日中文人交流の様態
     二 日中文人の唱和を取り巻く環境の変化
     三 森槐南と呉汝綸・呉辟疆との唱和(一)―政治・社会情勢への関心―
     四 森槐南と呉汝綸・呉辟疆との唱和(二)―漢文学の伝統の尊重―
     五 唱和に対する日本のジャ―ナリズムの反応
     六 槐南と他の清末文人との交流―文芸 閣・章炳麟―
     小結

第四部 野口寧斎の生涯と文学
 第一章 野口家一族と幕末の文人社会―寧斎の祖父良陽・父松陽について―
     一 良陽の出自及び前半生
     二 佐賀藩の医学の近代化と良陽の動向
     三 河野鉄兜と良陽・松陽
     四 松陽の播州遊学
     五 松陽の転身―医から儒へ―
     六 維新期の松陽
     小結
 第二章 野口寧斎の前半生
     一 少年時代―父松陽との関係について―
     二 漢詩壇への登場―槐南と寧斎―
     三 若年期における寧斎の詩論と詩風
     四 小説批評家としての活動
     五 寧斎の小説観
     六 舞姫論争と寧斎
     七 明治二○年代における活動と交流
     小結
 第三章 野口寧斎の後半生
     一 漢詩振興のための努力
     二 戦争漢詩の制作
     三 軍人及び出版関係者との交友
     四 寧斎における病と詩
     小結

 資料 『漁洋山人精華録訓纂』への森槐南自筆書入れ
 初出一覧
 あとがき
 主要人名・書名・作品名索引

古島一雄
柳井絅斎


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Last-modified: 2022-08-08 (月) 09:56:36