大野晋
岩波新書・黄53、1978.7
まえがき
1 不幸な学問
2 未知のことを伝えれば足りる
言語の働きとは何か
西欧語と大きく違う主語
社会の成立ちとの関係
相手の気持を大事にする
3 既知と未知
日本語文の基本型
四つの組合せ
『明暗』と『雁』の、ガとハ
4 何をとらえて名づけるか
語彙の半分以上は名詞
日本語では単数と複数を区別しない
日本語には抽象名詞が少ない
古代における抽象名詞
動詞・形容詞を名詞化する方法
豊富な擬音語・擬態語の表現
5 ウチとソト
代名詞でウチとソトを区別する
さまざまな人称代名詞
一人称を二人称に代用する
6 状態と情意
ク活用とシク活用の違い
ク活用形容詞は少ない
活用形の拡大と表現力の増大
形容動詞の成立
7 活用の未来と過去と
助詞には古くから多くの活用形があった
活用形は時代とともに変化する
サ行変格活用が上一段活用に
動詞活用形の簡単化
係結びは何のために
倒置による強調の表現
「ぞ」「か」「や」「なむ」の起源
「こそ…巳然形」の起源
8 判断の様式
名詞文と動詞文
ル・ラルとス・サスの役目
自発を根本とするル・ラル
確定・確認を示すヌ・ツ
不確定の助動詞
文語の助動詞の配列
推量形による未来表現
確信と推量
記憶を表わすキ・ケリ
西欧人の時のとらえ方
9 東西の力関係と主格の助詞
ガの歴史的変化
ガとノの使い方の違い
古代におけるウチ・ソト意識
東歌におけるガ
ガとノのはっきリした使いわけ
ガの用法の発展
佐太という侍の話
『天草本平家物語』の文体
東国におけるガの多用
下にくる体言を条件づける
付 動詞活用形の起源
音韻を手がかりに
活用とは語尾を付け加えること
母音は増減する
上代特殊仮名遣の研究
上代語の音韻の組織
音韻と活用形との関係
母音変化の道すじ
連用形の成立
命令形の成立
終止形の成立
連体形の成立
補註