字音假名辨一本は高橋残夢の著、首に
古しへ人の漢音と云ひしは漢書讀聲と云ばかりの事にて漢書讀には此くて讀めと定め給へるにて猶和音なリ、其和音に中華の人の云なるウフツクインの六音を結びて字音と和訓とを分てるものなり云々訓と音と同じ名詞あるものなり、音訓同じとて皆字音なりと思ふべからす。
と云へるは一家の見の如きも、各々の音につきて述ぶる所は例證を無視した妄説に過ぎぬ。 (岡井慎吾『日本漢字学史』)