山口仲美
二〇〇七年七月三〇日 第一刷発行
講談社
プロローグ
この本の目的
若者言葉は批判の的
若者言葉への関心
I 若者はこんな言葉を使っている(座談会)
フツーにすごい <!--普通に-->
渋滞グロい
今日の顔マジない
あないみじ
もれそう
妄想族
ウサギ病
とりま
ガン見とチラ見
口元思春期
II 若者言葉の特色と目的(解説)
座談会だからこそ
アンケート調査
地域差のある若者言葉
東京は省略化が激しい
心の状態を表す言葉も違う
1コッケイロン(省略語)
座談会に出た省略語
コッケイロンは何の略?
マックとマクド
ネココタ・コビる
ドンマイが生きていた
チョコレートパフェを省略すると
ラケバ・タモステ
あざーす・いってらー
クリパ・ウンチ
なぜ省略語を使うのか?
2 メッチャ(強調語)
ギザかわゆす
チョーチョーは虫の息
メッチャ楽しい
マジむかつく
すごいおいしい
えらい忙しい
やばい寒い
くそ・むなくそ・おに
何を伝えたいのか?
3 チーン(擬音語・擬態語)
がたがた・ぐにゃりは、こう使う
音を表すことも
物の状態や人の様子を表すことも
チーンは気持ち
「たらーん」も気持ち
半数が気持ちの表現
コミックの擬音語・擬態語
コミック的表現方法
沈黙を恐れる若者たち
4 おほとのこもる(古語)
若者の八割は古語を使う
使い方がずれる
意味もずれる
「いと」を頻用
「をかし」が大人気
「あな、かまっ」と注意する
古典文学作品と比較する
言はずもがな・行かぬ・CDをば
「ませう」「けふ」はそのまま発音する
5 なんでやねん(方言)
方言が若者言葉に
若者言葉にならなかった方言
なんと言っても関西弁
東京近県の方言も人気
さまざまな方言
なぜ方言を使うのか?
6 わけわかめ意味とろろ(語呂合わせ)
あたりめーめーやぎめーめ1
あたりまえだのクラッカー
わけわかめ意味とろろ
ラッキークッキーもんじゃやき1
語呂合わせしたい言葉は?
評価の言葉を語呂合わせする
返事・問いかけ・挨拶も語呂合わせで
7 お便器でねー(トイレ表現)
トイレが変身!佃
「化粧室に行く」か「もれそう」か
異性がいると場所で表す
「トイレに行く」が一般的
男は「2番」、女は「お花畑」
「お便器でねー」
8 行く系?行かない系?(接辞)
パワー系
いらない系
行く系? 行かない系?
私的・キティラー・甘えニスト・レタス派
文句垂れ雄・体よわ子
がんばリング・買い物したいイメージ
やる気なさ気・無理ポ
なぜ接辞をつけるのか?
9 洋梨(掛詞・比喩・外来語・絵文字)
掛詞「哲也」
「むげなり」は何と掛ける?
「洋梨」は何と掛ける?
比喩「脳内花畑」
外来語「チキン」
符号・絵文字・顔文字
10 なぜ若者言葉を使うのか
仲間意識を持ちたい
気持ちを伝えたい
感覚的に隻たい
遊びたい
笑いを取りたい
かっこよくいきたい
傷つきたくない
11 今どきの若者言葉の特色
歴史の流れの中においてみると
今どきらしい言葉のつまった項目
特色項目の重みが違う
擬音語・擬態語
古語と方言
突如浮上してくる古い言葉
III こんな言葉をはやらせたい
1 ビゲチョ(座談会)
ビゲチョ(アルファベット読み・ローマ字読み)
まろは○○でごじゃる(古語)
マジぱーねー(方言)
ピンクい(形容詞化)
ありらうん(感謝の言葉)
いたまーす(挨拶)
「空気を読んで」を仕草で
眉毛全部剃れちゃえばいい(ソフトな表現)
いるぎた(暗号文)
ツン族・ツン子(擬態語)
2 空気読めよ(解説)
若者たちの気に入り言葉
マジKYだよ
IV 若者たちの自省
1 もう死んじゃえばいいのにー(座談会)
~じゃないですか
ぶっちゃけ・ゲロ
ファック・シツト
なんか・つかさー
もう死んじゃえばいいのに1
うつ・身障
気持ちわりー・~きちがい
感謝なのに「ごめんなさい」
「ら」抜き言葉
異性の使う若者言葉
2 分かるだろうは甘えの気持ち(解説)
どんなことを反省していたか
言葉の暴力はなぜ起こる?
説明する訓練を
V 中高年は若者言葉をこう見ている(座談会)
1 「ハーイ」にたじろぐ
拒絶感を感じる言葉遣いに
相槌を強要される話し方に
曖昧な表現、未完成な文に
地方のアクセント丸出しの話し方に
楽屋言葉の真似に
男女の言葉が同じなのは、どうも
一九八○年代が若者言葉の全盛
センスある面白い言葉を創れ
敬語はやっぱり使わないと
心からの敬語を
2 なぜ、そんな言い方をするの?(解説)
年代によって不快感は異なる
年配者の若者言葉への不満
女の子が男言葉を使うと
敬語の使い方に
曖昧な表現をしたら
文脈に合わない言葉に
方言を使ったら
返事の仕方に
若者言葉特有の意味と発音に
相手を傷つける言葉に
VI 実は中高年も若いときは
1 いかす(座談会)
「いかす」を動作で示して
あだ名全盛期
「ら」抜きもしていた
やっぱり省略語を使った
おもこ辞典を楽しんだ
美しい日本語で粋がる
ラジカルで粋がった
若者言葉をまねるのは格好悪い
2 現代に連なる若者言葉は?(解説)
戦後から現在までを概観すると
ゲバる・オルグる
──学生運動用語──
ホワイトキック・話がピーマン
──現代若者言葉の出現──
おいおい・ルンルン
──現代若者言葉の繁栄──
アッシー君・みつぐ君
──ボーダーレス化の進展──
けいたッキー・ネット弁慶
──携帯電話・ネット関係用語──
VII 若者が憧れる中高年の言葉
1 その手は桑名の(座談会)
エレガントな昔の言葉
なかなかうまい断り文句
粋な言葉遊び
癒しの言葉
きちんとした言葉
やわらかい響きの言葉
出来る大人の言葉
2 おほつごもり(解説)
中高年の言葉も若者に聞かれている
「ごめんくださいませ」は一番人気
「おおつごもり」は温かい7
エピローグ
この本が出来るきっかけ
一味違った本を目指して
参考文献
単行本 *出版社名の記載がないものは、私家版
川崎洋『流行語』毎日新聞社、一九八一年
森岡健二・山口仲美『命名の言語学――ネーミングの諸相――』東海大学出版会、一九八五年
都染直也編『甲南大学キャンパスことば辞典』一九九二年
小矢野哲夫編『日本語言うたろカード――大学1年生が観察した日本語の世界――』一九九三年
米川明彦編『すきやねん 若者語辞典 梅花女子大生のことば』一九九三年
高山勉編『キャンパス用語集 1993年第3版』一九九三年
小矢野哲夫編『女子大生用語の基礎知識 1993年版』一九九三年
小矢野哲夫編『外大語辞典――大阪外国語大学学生用語集 1994年版――』一九九四年
塩田丸男『死語読本』白水社、一九九四年
米川明彦編『女子大生からみた老人語辞典』文理閣、一九九五年
米川明彦『現代若者ことば考』丸善株式会社、一九九六年
陣内正敬『北部九州における方言新語研究』九州大学出版会、一九九六年
山口仲美『山口仲美の言葉の探検』小学館、一九九七年
米川明彦『若者ことば辞典』東京堂出版、一九九七年
加藤主税編著『世紀末死語事典』中央公論社、一九九七年
早稲田大学文学部国語学研究班編『早稲田大学キャンパス言葉辞典』一九九七年
井上史雄『日本語ウォッチング』岩波書店、一九九八年
米川明彦『若者語を科学する』明治書院、一九九八年
馬瀬良雄・中東靖恵・小西優香共編『首都圏女子大生のキャンパスことば――横浜・フェリス女学院大学1998――』長野・言語文化研究会、一九九八年
小矢野哲夫『ワードウオッチング――現代語のフロッピィ』一九九九年
永瀬治郎編『専修大学キャンパス言葉事典 第5版』二〇〇〇年
米川明彦編『集団語辞典』東京堂出版、二〇〇〇年
米川明彦編『業界用語辞典』東京堂出版、二〇〇一年
美しい日本語について語る会編『美しい日本語のすすめ』財務省印刷局、二〇〇二年
米川明彦編著『明治・大正・昭和の新語・流行語辞典』三省堂、二〇〇二年
窪薗晴夫『新語はこうして作られる』岩波書店、二〇〇二年
亀井肇『若者言葉事典』日本放送出版協会、二〇〇三年
米川明彦編『日本俗語大辞典』東京堂出版、二〇〇三年
北原保雄編『問題な日本語――どこがおかしい? 何がおかしい?――』大修館書店、二〇〇四年
加藤主税編著『若者言葉事典』中部日本教育文化会、二〇〇五年
本田透『萌える男』筑摩書房、二〇〇五年
かわいい方言で日本を幸せにする会編『ちかっぱめんこい方言練習帳!』主婦と生活社、二〇〇五年
齋藤一夫『子どもたちに残したい日本語』冬青社、二〇〇六年
柳川圭子著・しのざきこういち監修『日本語でなまらナイト』小学館、二〇〇六年
北原保雄監修・「もっと明鏡」委員会編『みんなで国語辞典!ーこれも、日本語1』大修館書店、二〇〇六年
井上史雄『変わる方言動く標準語』筑摩書房、二〇〇七年
論文など
堀内克明「若者用語の解説」(『現代用語の基礎知識1980』~『現代用語の基礎知識2002』自由国民社)
堀内克明・山西治男「若者用語の解説」(『現代用語の基礎知識2003』~『現代用語の基礎知識2004』自由国民社)
堀内克明・山西治男「若者のことばの解説」(『現代用語の基礎知識2005』~『現代用語の基礎知識2007』自由国民社)
米川明彦「近代語彙考証別品とシャン」(『日本語学』2巻12号、一九八三年一二月)
増井典夫「形容詞終止連体形の副詞的用法――「えらい」「おそろしい」を中心に――」(『国語学研究』27号、一九八七年一二月)
永瀬治郎「キャンパスことば全国分布図」(1)~(12)(『月刊言語』23巻5号~24巻4号、一九九四年五月~一九九五年四月)
米川明彦「若者語の世界1」~「若者語の世界14」(『日本語学』13巻12号~14巻13号、一九九四年二月~一九九五年一二月)
永瀬治郎・岡隆・池田理恵子「集団語の知識・使用と言語意識・パーソナリティの関連について」(『専修国文』56号、一九九五年一月)
佐竹秀雄「女子大生と若者ことば」(『武庫川女子大学言語文化研究所年報』6号、一九九五年一二月)
吉岡泰夫「若者の方言志向」(小林隆・篠崎晃一・大西拓一郎編『方言の現在』明治書院、一九九六年)
永瀬治郎「語の盛衰――キャンパス言葉の寿命――」(『日本語学』18巻10号、一九九九年九月)
永瀬治郎「『若者言葉』の方言学」(日本方言研究会編『21世紀の方言学』国書刊行会、二〇〇二年)
山口仲美「コミック世界の擬音語・擬態語」(築島裕博士傘寿記念会編『築島裕博士傘寿記念 国語学論集』汲古書院、二〇〇五年)
三宅和子「携帯メールに現れる方言――『親しさ志向』をキーワードに――」(『日本語学』25巻-号、二〇〇六年一月)
永瀬治郎「若者ことば全国分布図――二〇〇五年調査の意味するところ」(『月刊言語』35巻3号、二〇〇六年三月)
吉岡泰夫「方言が若者ことばを活性化する」(『月刊言語』35巻3号、二〇〇六年三月)
窪薗晴夫「若者ことばの言語構造」(『月刊言語』35巻3号、二〇〇六年三月)
井上逸兵「ネット社会の若者ことば」(『月刊言語』35巻3号、二〇〇六年三月)