工藤幸雄
『ぼくの翻訳人生』
中公新書
isbn:4-12-101778-1
はじめに
第1章 言葉の自分史
1 言葉好き
重訳
稀少言語
2 ロシア語との出遇い
工員寮での自習勉強
「ロシア語ができれぽ、ソ満国境あたりに送られるさ」
「あっ、これがロシア語か!」
森鴎外に恨み
多士済々
恐い親父
ドイツ語が苦手な理由
3 引き揚げ、焼け出され、そして終戦
浪人四年
CCD(民間検閲局)
裁判所弁護団翻訳課
号泣
講読偏重
先生方の学恩に遠く
フランス文学科
他人の人生を左右するような干渉はよろしく控えるべし
第2章 翻訳に迷い込むまで
就職前後
小説家?医者?
「君はアカじゃあるまいね」
『小學國語讀本』
共同通信社に鞍替え
持ち込み
筆慣らし
「一日に四〇〇字五〇枚のスピードで訳す」
日本語が基礎であり、武器であり、戦場
人さまの翻業が読めなくなった
外国語習得
頑張るか、それとも、さっさと諦めるか
外国人と見たら日本語で話せ
万人向けの分野では決してない
「語学」という言い方が好きになれない
第3章 ぼくの翻訳書
1 最初の三冊
若くして自殺した才ある人々
江川卓との共同作業
「翻訳は一世代、すなわち三十年しかもたない」
2 翻訳読本
「御三家」のおこぼれ仕事
凝る、凝らない
遅すぎたアメリカ留学
「話し方」教育
文学精神のかけらも見当たらない表現行為
3 囚われの羮
反抗詩人の伝記
『囚われの魂』
結ばれた夢
4 『古代保存官』
「ブランディー一本でいいですよ」
傑作
「牛の血」という名の赤ワイン
ハンガリー物
東欧六力国を一周
5 楽しくない話 58
盗訳疑惑
卑怯な男
ワルシャワ赴任の経緯
ポーランド料理の味
6 「宮仕えはするな。おれたちは、死に向かって突進しているんだ」
多摩美術大学教授
帰国から三十年の成果
井上光晴
「文学全集ブーム」の余恵
たまごの色
シンガーの児童物
ミッチェナー『ポーランド』
原作者と訳者とのこころの通い合い
7 お江戸、日本橋、七つ立ち
カプシチンスキから直接、手渡された新著
独り占めのように訳せた
エイジェンーの必要性
「この本は出しても、あまり意味がない」
大誤植
うるさすぎる言葉談義
あるいは、人生とは日本語のすべてに通ずるためには、あまりにも短すぎる
◎翻訳に携わる者の必須条件
覚悟はよろしきや
絶望的なほど厄介
トラウマ
誤訳
「ドレミの歌」
明白な誤訳 ゴーゴリの『検察官』
改善例
改むるに憚ることなかれ
変形日本語
◎『検察官』ばかりが誤訳ではない
訳題
失敗を防ぐ最良の方法
&記号
すべからく
◎勝負は日本語だ
日本語は論理的でない?
日本語ブーム
ブームの背景
日本語をつまらなくさせているのは
◎冒険と反逆
文章論
はたたがみ
選び抜いた言葉
あとがき