日影丈吉
小説
明治初年

「[…]あまり来《き》ねでくんせ。ウチにも嫁入り前の娘がいるんだかんね」
 浜は船橋の在の生れで、江戸から東京にかけて、ながらく都ずまいしているくせに、がんこにナマリが抜けない。そのムチのようにひびく尻上りの調子で、ピシリといわれたのだ。


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Last-modified: 2022-08-08 (月) 09:58:16