柳田征司
『日本語の歴史2意志・無意志』
はじめに
一 「修行者あひたり」
「修行者あひたり」型表現12
助詞「に」を表していないのではないこと14
「修行者あひたり」型表現とはどのような表現か15
古代・中世日本語の「あふ」18
逢魔・逢霊説19
「相手が借りる」22
意志形と無意志形とを分化させていない動詞「あふ」24
無意志の出会いに用いられた「相手にあふ」25
「修行者あひたり」型表現の衰退27
二 「ある」〔有)「いる」(居)「おる」(居)
「昔々おじいさんとおばあさんがありました」30
「をり」の語源31
「おる」と「いる」34
南紀方言・八丈島方言の「ある」36
先行研究38
『竹取物語』の「あり」と「をり」
「ある」と「いる」「おる」46
三 意志動詞「忘る」と無意志動詞「忘る」
有坂秀世氏が考えたこと50
四段活用の「忘る」51
四段活用動詞「忘る」の意味56
下二段活用の「忘る」60
忘れる内容が主格に立つ例1「我が面の忘れむしだは」61
「父の写真」63
大和の歌に見える忘れる内容が主格に立つ例65
『今昔物語集』に忘れる内容が主格に立つ例は存するか68
「忘る」の語源69
「忘れかぬ」「忘れす」その他71
有坂説が成り立つ可能性74
忘れる内容がヲ格に立つ確かな例75
四 「前車ノ覆スヲ見テ後車ノ誠ヲ知ル」
吉田澄夫氏の研究78
亀井孝氏の指摘79
『車馬』82
第九二則の原拠85
「覆ル」と「覆ス」89
新古・文体差93
「前車ノ覆ス」の表現価値95
『今昔物語集』の「船俄二覆テ」「船打返シテ死ヌ」99
「前車ノ覆ス」の衰退㎜
五 意志動詞の無意志的用法
意志動詞の無意志的用法
意志動詞の無意志的用法はいつから見えるか
意志動詞の無意志的用法の内実
主語が為手でない場合
対応する無意志動詞が存するということ
意志動詞の無意志的用法の成立とその後
「〜てしまう」
六 「家の子、郎等多く討たせ、馬の腹射させて、引退く」
強がり表現・負け惜しみ表現から使役表現の随順用法へ
使役表現の許容用法・随順用法の不足
使役表現の内実
意志動詞の無意志的用法
武士詞
七 「アイマチ」(過)
『史記抄』に見える「アイマチ」
『史記抄』に見える「アヤマチ」
『史記抄』の「アイマチ」と「アヤマチ」
その他の抄物に見える「アイマチ」
「アイマチノ高名」
その後の「アイマチ」
「アヤマツ」と「アヤマル」
キリシタン資料の「アヤマチ」と「アヤマリ」
八 意志動詞化.使役・無意志動詞化・受身 「散らス」「知らセル」「思わレル」「降らレル」
他動・使役・自発・受身の接尾語
奈良時代における「ス」(四段活用)
奈良時代における「シム」
奈良時代における「ス」(下二段活用)
自発・受身の「ユ」・「ル」
無意志動詞に付く「ユ」
意志動詞化・使役・無意志動詞化・受身
「ス」(四段活用)「ユ」「ル」の成立
「ス」(四段活用)「ユ」「ル」の接続
「ラユ」「ラル」の成立と「ル」「ラル」の定着
使役「ス」(下二段活用)の成立
平安時代における使役「サス」の成立隅
平安時代における肥大化接尾語「カス」の成立
なぜ「〜カス」なのか
平安時代における「〜シテ」と「〜セテ」
室町時代における「〜シテ」と「〜セテ」
現代語の「ス」と「セル」
九 「はた迷惑の受身」
自発・可能・受身・尊敬
「はた迷惑の受身」とは
受身の類別
「迷惑」
「はた」
望ましくないことだけを表す受身は存するか
「迷惑」意識・「はた迷惑」意識
あとがき