槙村正直
http://kindai.ndl.go.jp/BIBibDetail.php?JP_NUM=40079490

明治11.5.11 版権願
6.10 版権免許
同年六月 刻成

村上勘兵衛

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小学校は人間普通の学を教ふる所にして
或は一筆啓上の普通文を綴るに困しみ其実用を欠くあらんことを恐るゝは予が老婆心なれば
筆を執り普通書翰の用語あらましを集録し名つけて私用文語と云事に触れ
採択活用せば書翰作文に於て其用究りなからむ
 明治十一年五月 槙村正直誌

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    私用文語は小学生徒の為に編す 故に専ら世間に普通するの語を集め務めて行文の平易ならんことを要す 敢て驚奇の熟字難解の漢語を輯録するを欲せざるなり
    私用文自ら起首結尾の体裁あり 又尊卑相当の成語あり 首尾相応せざる可からず 尊卑混淆す可からず 故に首尾の体裁を定め尊卑の格を分って数等とし各其中間に相当の成語を類集し以て驕傲卑屈の失なからんことを要す これを彼是採択して活用するは教員の親授にあらん
    正体を知らざれば変格略法を行ふ可からず 故に寒暑二候に就て正体の二文を掲げ示す
    私用文の文字卑に与ふるは略書を用ひ尊に奉るは正格を用ゆるを習ひとす 今卑に与ふるの体を始に置き尊に奉る者を後にするは児童の易より難に進んで学ぶに便なるが為なり
    御の字漢文にては至尊に限れる如きも私用文には等輩にもこれを用ゆ 其他漢文法を以て論ずれば大に不適のことあるも敢てこれを改めざるは普通を要すればなり 大儒先生幸に咎むる勿れ
     編者識
    (原文片仮名)


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Last-modified: 2022-08-07 (日) 23:44:23