横溝正史
小説
標準語を使っているがどこか上方訛りがある。神戸か大阪か、おそらく神戸だろう。金田一耕助け神戸出身の友人をもっているが、その男の言葉の訛りとよく似ている。
「あ、いまお見えんさりました。お連れさんもご一緒のようでござります」
と、お国言葉をまる出しで、
「お生まれはどちらです」
「横浜のほうでございます」
道理できれいな標準語の発音をする。
そのころはまだ、フィーバーという言葉ははやっていなかったが、いままさにお祭りフィーバーというところだろう。
「ああ、そう。それに今夜のうちに一度は刑部神社へ顔を出しておかんといかんけん」
と、竜平はついお国言葉を出して、
下
広瀬警部補も開き直っているので、できるだけお国訛りをひかえるようにしている。
そうであると竜平も標準語で答えた。
広瀬警部補はついお国言葉を出して皮肉ったが