義門
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活語指南 くゎつごしなん 語學書二卷
【著者】東條義門
【成立】刊本の義門の序に依れば、文化八九年の頃草稿が出來、「言葉の道しるべ」と題してゐた。文政元年自ら添削し、「活語指南」と改題した。さて再び添削しようと思つてゐると、平井重民が訪ひ來りて、「略圖考證」と題する一册を見せた。それは義門の「和語説略圖」(別項)の講義を土臺にして、同略圖に就いて逐條講義したもので、内容は「活語指南」に頗る類似したものだが、その組織が「活語指南」よりも優れてゐたので、義門は自分の「活語指南」は捨てて、重民の「略圖考證」を「活語指南」と改題し、二度添削したものであると記してゐる。これによって從來平井重民との合著と考へられてゐた。なほ青山茂春の序に依ると、本書はもと文語體であつたが、口語體にしたのは茂春であると云ふ。然る
に最近本書の中書本で義門自筆の添削のある書が發見せられ、それによつて、義門が「略圖考證」に添削したのは、前記二囘の外になほ二囘ある事が知られ、また茂春の序は中書本のものと刊本のそれとは全く異るもので、その點から見ると、平井重民及び青山茂春は本書に對して若干の仕事はしてゐるが、それは學術的方面には餘り關係のないことであつて、著者としては義門一人を擧げて置けばい丶ことが明かになつた。
【刊行】天保十五年三月
【諸本】寫本三種、版本三種ある。寫本の一は最初の稿本で、文化七年に出來た「詞の道しるべ」(一册)。第二は文政元年十一月に増訂した「活語指南」(一冊)で、「略圖考證」を見て後、捨てたものである。第三は「略圖考證」を二度義門が添削したものを茂春が清書し、これに義門が三度目の添削を加へたものである(義門の自筆添削本は大谷大學圖講館藏)。版本の一は、天保十五年刊のもの。第二・第三は、明治十八年に里見義が頭註を加へた「頭書校訂活語指南」である。この明治十八年本は、表題も奥付も同一でありながら二種ある。その相違は頭註だけが少しく異つてゐるものである。
【内容】本書は「和語説略圖」(別項)の註解であつて、初に將然・連用・截斷・連體・已然・希求の語を説明し、次に體言・用言の區別、即ち活用せざる語、活用する語の説明をし、次に各活用形の結びになる語、係りになる語を説き、次に「和語説略圖」の順序に從つて、先づ「無く、無く、無し、無き、無けれ、無かれ」に就て一つづつ例證を擧げて説明し、以下順を追うて「和語説略圖」の因又略示にまで及んでゐる。例證は主として「八代集」及び「萬葉集」等の古歌によつてゐるが、まゝ「源氏物語」「宇津保物語」「土佐日記」「伊勢物語」「古今集」の序、「水鏡」「沙石集」「閑居友」等から散文の例を擧げて居る。
【價値】本書は義門の「和語説略圖」の講義を某礎とし、自ら四囘を添割したもので、研究が主でなく、啓蒙を目的とするものではあるが、その所説は固よリ義門一生の研究を背景としてゐるのであつて、「和語説略圖」と共に、義門の活用研究を代表するものである。なほ本書に於て注意すべき事は、品詞の分類法で、單語を活用するか否かによつて體言と用言との二つに大別してゐる(因に云ふ。或る學者は、義門は品詞を體言と用言に分けるやうでもあリ、體言・用言・語辭《てにをは》の三種に分けるやうでもあつて、明確でないと云つてゐるが、それは曲解であらう)。義門以前に品詞の分類をしたのは、富士谷成章(脚結抄《あゆひ 》參照)と鈴木朖(言語四種論參照)の二人である。共に卓見もあるが、惜しむらくは自家撞着に陷つてゐる。義門は單語の形體のみによつて分類してゐるので、その方法に不備はあるが、自家撞着には陷つてゐない。即ち義門は第三番目に品詞の分類法を考察した人で、品詞分類法の發逹上、頗る注意すべきものである。
【參考】東條義門の品詞論について 多屋頼俊(國語と國文學五ノ四.六)
○活語指南成立考 同上(國語國文の研究四〇.四一)     〔龜田〕

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活語指南 二巻二冊
 東條義門及び平井重民の著であり、寫本二種、版本二種がある。寫本(一)は文化八・九年頃の原稿で初め「言葉の道しるべ」と題し、文政元年添削して「活語指南」と題したもの、その(二)は「活語指南」、の添削出來た後平井重民が義門の講義を基として自ら「和語説略圖」について逐条講義したものを「略図考証」と題して義門に示した。然るにその内容「活語指南」に似て、しかも「活語指南」より優れた点があったので前の「活語指南」を棄てゝこの「略図考證」に義門自ら添削して之を「活語指南」と改題したもである、これ即ち版本「活語指南」の中書本である。版本(一)は天保十五年刊(二)は明治八年刊。里見義が頭註して「頭書校訂/活語指南」と題して居る。本書は「和語説略圖」の注解であってその目的とする所は研究と言ふよりむしろ啓蒙を主としてゐる。初に將然言以下活用形六段の術語の説明をなし、次に活用する語とせざる語につき、更に活用形の結びとなる語及び係りになる語を説き次に「和語説略圖」の順序に從って先づ「無く、無く、無し、無き、無けれ、無かれ」以下順を逐うて最後まで、一々例証を擧げて説明して居る。而して例証は主として八代集及び萬葉集の歌により間々、伊勢・宇津保・源氏等の物語、土佐日記、古今集序・沙石集・水鏡・閑古君等の如き散文からもとってゐる。本書は平井重民の手が加って居ると云ふ点で義門の著としては等閑に付せられ勝ちであるが事実は義門の講義が基礎であったばかりでなく、今日存して居る義門自筆の添削のある中書本を見ると添削によって如何に多く義門の手が加ってゐるかを知るものであって「和語説略圖」と共に亦義門のこの種の研究を代表するものといふべきである。因に明治の初め中等学校の教科書として採用されてゐた。
(亀田次郎「国語学書目解題」)

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義門撰・石田千穎
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Last-modified: 2022-08-07 (日) 23:44:00