海音寺潮五郎
海音寺潮五郎『田原坂』
時代小説


「おかしいのは君らの言葉じゃ。そげん言葉は日本語じゃなかぞ。なあ、貴下《おはん》達」
 変な調子の薩摩語がおかしいといって、子供らはまた笑いくずれた。
 この応酬で、子供らはすっかりお巡りさんらと打ちとけて、口々に子供らしいおしゃべりをはじめた。半分以上もわからない薩摩弁がひどく早口に聞えて、まるで藪の中の雀の囀《さえず》りだった。


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Last-modified: 2022-08-08 (月) 08:46:34