本居宣長
http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/kokusyokaidai/k1/kokusyo_ka112.html
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漢字三音考 一巻一冊
 本居宣長著。天明五年刊。本居宣長全集所収。本書は國語が萬國に卓絶して勝れることを述べ、漢字の呉書・漢音・唐音を論じて、之を鳥黙萬物の聲、溷雜不正な音と云ふ。その中、南方の音に近い異音は比較的國語の音に近いから正しいと述べてゐるが、極端な日本尊重の思想から出たもので。學術的論拠は薄弱である。只漢字の三音を地理的歴史的に考察した點、梵語が音韻學に必要なる事を述べた融、又附録に音便を研究して之を類聚してゐる點等は注意すべきものである。
【參考】

   * 漢字三音考評論。[[満田新造]]。「[[國學院雜誌]]」三十一ノ十。 

(亀田次郎「国語学書目解題」)

漢字三音考 かんじさんおんこう 一巻一冊 本居宣長(一七三〇-一八〇一)著 天明五年(一七八五年)刊 刊本は何度も印行を重ねた。また松阪の本居宣長記念館には二種の稿本が蔵されている。刊本の影印には勉誠社文庫(昭和五四年)があり、活字には『本居宣長全集四』(明治三六年 吉川弘文館)、『増補本居宣長全集九』(昭和二年 吉川弘文館)、『国語学大系音韻一』(昭和一四年 厚生閣)、大野晋の解題を付す『本居宣長全集五』(昭和四五年 筑摩書房)がある。本書は*呉音・*漢音・唐音を漢字の三音としてとりあげ論じるのだが、この漢字音の部分は文雄の『三音正譌』の影響が強い。しかし文雄は漢音を、訛りがある故に辺地の音であるとしたが、宣長はやはり中央の音であるとしたなど文雄と異なる見解もある。さらに文雄が当時の中国語音である華音を優れた字音であると見なしたのに対し、宣長はこれを唐音と呼び、変化してしまった音であると低く評価し、一方日本の漢字音は乱れていないと断じた。また宣長は、漢字音と国語音とを比較して、五十音図の中に収る国語音が優れていることを説き、漢字音が日本に入ることにより日本語の音が乱れていったとして、国語音に起こった*音便を漢字音の影響であると断じている。
〔参考文献〕〇満田新造『中国音韻史論考』(昭和三九年 武蔵野書院)〇上田知麿「本居宣長の音韻学-「漢字三音考」につきて-」(『国文学論究』昭和九年 高遠書房) (岡島昭浩)

http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/ingaku/kanji3on.lzh
http://www.katch.ne.jp/~leque/text/samomkau/samomkau.html

版本画像
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ho02/ho02_05632/index.html

http://dbrec.nijl.ac.jp/KTG_W_1810


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Last-modified: 2022-08-08 (月) 10:04:08