眞女意題 しんめいだい 洒落本一冊
【作者】森羅萬象
【名稱】神明臺の意。芝神明宮内の岡場所を描いたから、かく命じた。
【刊行】安永九年(天明元年)
【諸本】徳川文藝類聚第五洒落本・洒落本代表作集(近代日本文學大系)所收。
【題材】(中略)篇中の人物陸野奥右衛門といふ東北辯の武士は、「辰巳之園」(別項)の新五左衛門、「世説新語茶」(別項)の傳五右衛門と同様で、珍しくもないが、本書では特に主要な位置に立ってゐる。
【梗概】(中略)
【構想】作者も自負してゐる如く、本書の特色は、奥右衛門の東北辯と、忠七・おかのが、素人時代の戀仲であったと云ふ関係の描寫である。しかし東北辯は洒落本に先例もあり、又浄瑠璃「碁太平記白石噺」(安永九年上演)(別項)もあつて、必ずしも全くの創意ではない。幼馴染と遊里での再會の情緒纏綿たる描寫は、當時の洒落本には、變つた構想と見るべく、又後の人情本のために先謳をなしたものと見ねばならぬ。
【影響】東北辯の可笑味は、後の滑稽本には珍しくない。「膝栗毛」第三編巻之下、「浮世風呂」初編巻之上、「舊觀帖」(別項)の奥州淵黒村の母子、{奥羽一覧道中膝栗毛」の人物など實に多い。これ等は直接本書の影響とは斷じ難いが、系統を引いたものと見られよう。              〔山崎〕
新潮日本文学大辞典 山崎麓
http://f.hatena.ne.jp/kuzan/20110110064257

http://www.let.osaka-u.ac.jp/~iikura/Ninjoji_Ono/syarebon.html


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Last-modified: 2022-08-08 (月) 09:55:49