石山茂利夫『裏読み深読み国語辞書』草思社
2001年2月16日 第1刷発行
はじめに
第1章 辞書に目・鼻をつける
1 辞書にも表情がある
「辞書編集者は弁明せず」
国語辞書の中の六本木
外来語の数は中型辞書より小型辞書が多い!?
辞書は世につれ編集方針につれ
"漢語通り"が映える辞書
あやしげな言葉が多い "和語通り"
「りす」は和語? 漢語?
語種の識別法の由来
2 「恋」は気まぐれではない
こんなにちがう見出し語の順序
『康煕字典』が決着をつける
3 漢字表を重んじる辞書、気にしない辞書
『広辞苑』はなぜ無印なのか?
印のつけ方にもいろいろある
「友|達《、》」はセーフで「ぼく|達《、》」はアウト?
4 日本語は頭でっかちであ
辞書の真ん中は?
日本語は「あ」「か」「さ」行で始まる言葉が半分以上
『日本国語大辞典』、痛恨の計算違い
ライバル意識で自滅した山田美妙
5 辞書は「著作物」ではない
「芋辞書」を憎んだ新解さん
国語辞書は電話帳と同じ?
「言葉は社会的共有物。従って……」
客観的だと「著作物」から遠のく
ユニーク語釈は盗用防止の表現法?
『新明解』脅迫事件
第2章 武器としての辞書
1 「辞書」を辞書で調べる
「じしょ」と「じてん」と「じびき」の違いは?
「字典」に国語辞書の意味があるか?
日本版OED『日本国語大辞典』の実力
「事典」は平凡社の造語
「辞引」が辞書に入るまで
2 「平素無用」の言葉が国語辞書に載っているわけ
辞書の中の「ムダ」な言葉たち
基本的な言葉ほど説明するのはむずかしい
3 批判は辞書の肥やしになる
「以上」語釈の奇妙な変遷
『広辞苑』を修正させた元銀行マン
『暮しの手帖』の辞書批判
国語辞書ボランティアのすすめ
『新明解』が「親亀」を見出しにしたホントの理由
4 辞書を助っ人にする
はつまご憎けりゃ辞書まで……
「耳触り」は目障りだ?
「辞書にない」にご用心
辞書を片手に『日本語練習帳』を読めば
「はくはつ」と「しらが」の違いは?
『日本語練習帳』の大いなる志
第3章 辞書も商品である
1 激烈な辞書の名称争奪戦
『新解国語辞典』の編者が"新解さん"でない!?
『広辞苑』は『広辞林』とまぎらわしいか?
登録商標だらけの辞書の名前
"新解争奪戦"のその後
2 現代仮名遣いと歴史的仮名遣いのはざまで
『広辞苑』の静かなる転進
利用者の苦情が出版社の理想を捨てさせた
明治人も手こずった歴史的仮名遣い
明治の小学校に「チョーチョ」が舞ふ
『広辞林』が一世を風靡したわけ
現代仮名遣い、辞書界を制す
3 国語辞書に欠けている二つのサービス
『言海』に学べ
あって当然のアフターサービス、正誤表がなぜないのか?
『岩波国語辞典』を襲った悪夢
学研『新世紀ビジュアル大辞典』の志ある試み
ないのがおかしい収録語の内訳表示
『新選国語辞典』の編者、収録語の分類を約束
第4章 常用漢字表VS国語辞書
1 「暖《、》かい心」と「温《、》かな家庭」の謎を追って
漢字使い分け症候群度チェック
魚屋を「さかな屋」に変えた戦後の音訓表
常用漢字表の不可思議な使い分けルール
辞書の大半は使い分け「ノー」
常用漢字表ルールの伝統性を主張した『言葉に関する問答集』
和英辞書は"相互乗り入れ表記"
国定読本も使い分けていなかった!
2 意外なところに国語辞書最大の弱点が
常用漢字表ルールは漢和辞典より厳密!
水深を「計る」、長さを「量る」戦前の和英辞書
常用漢字表ルールの正体は?
国語審議会で書き分けが論じられたことは一度もなかった!
辞書の限界 ある編者の述懐
漢字仮名交じり文の特異性
辞書の使い分け注記に振り回されるな
あとがきに代えて
本書で使用した辞書
引用について
参考文献