石川巧
『「国語」入試の近現代史』講談社選書メチエ
ISBN:978-4-06-258405-0
目次
はじめに 革命防止装置としての入試現代文
第一章 入試現代文前史-
受験競争のはじまり
受験雑誌の登場
現代文前史
共通試験の導入
現代文に対する期待と不安
「授け」られる現代文──思想・知識・感情のコントロール
第二章入試現代文のはじまり
現代文は理解力を試す
逐語訳からの脱皮
新しい問題文、新しい設問
新中間層の拡大と本を買う若者たちの増大
「文は人なり」の思想
伝統校における古典主義の復権
第三章 帝国大学の入試現代文
帝国大学の入試
東京帝国大学の入試現代文
東北帝国大学の入試現代文 岡崎義恵の仕事と現代文の定着
大学における文学講義と現代文
第四章 「読む」とはどういうことか
学校教育における「解釈」の変遷
「読む」という行為をめぐって──芦田惠之助と垣内松三
センテンス・メソッドの技法
問題文の長文化
新しい鑑賞主義
保科孝一の言論
第五章 日本精神の発揚と国文学の急成長
紙上の人物考査
踏み絵としての作文
現代文と体育の接近
日本精神の発揚
戦時下の現代文
第六章 戦後民主主義教育のなかの入試現代文──
GHQ/SCAPの教育政策と適性検査の導入
二兎を追う国語政策
文部省が考える国語科の試験問題
読解の客観問題
問題文のステレオタイプ化
新しい未来の展望
小説を小説として読むという出来事
第七章 「傾向と対策」の登場──予備校と「蛍雪時代」
予備校の登場
道徳的教育からの解放
受験のテクニック
「蛍雪時代」の時代
漱石のす・め 真理探究のための読書
文学史と二項対立のキーワード
大学受験ラジオ講座の登場
第八章 「客観」幻想の果て マークシート化をめぐる言説
大学への突き上げ
伝統への回帰と小林秀雄ブーム
「天声人語」の文章観
読む力から選ぶ力へ
試行テストの開始
マークシートは人問を頽廃させるか
客観幻想の果て
おわりに──「国語」の成立
注
あとがき