菊地康人
一九九四年六月十日初版発行
角川書店
はじめに 一
1 ことばを使い分ける 17
1-1 ことばを使い分ける――待遇表現 18
1-2 待遇表現のタイプ 24
①《上下》24
②《丁寧一ぞんざい・乱暴》24
③《改まり一くだけ/粗野/尊大》
④《上品↑↓卑俗》26
⑤《好悪》27
⑥《恩恵の授受》29
1-3 使い分けに関係する諸ファクター 3
(1) 社会的ファクター 30
A 場および話題 30
①その場の構成者 30
②場面の性質など 30
③話題 31
B 人間関係 32
①上下の関係 32
②立場の関係 37
③親疎の関係 41
④内/外の関係 41
(2) 心理的ファクター 42
A 待遇意図 42
①ごく一般的な待遇意図 43
②「恩恵」の捉え方 45
③「親疎」の距離のとり方 48
④「内/外」の捉え方50
⑤その他、特殊な待遇意図50
⑥待遇意図が働く以前の心理状態で述べる場合
B さらに背景的なファクター 53
C 表現技術・伝達効果の観点からの考慮 57
1-4 〈待遇表現の使用〉のモデル 59
待遇表現の選択までのプロセス 59
言語外的(社会的・心理的)諸ファクターと《待遇的意味》の区別 61
1-5 どのような表現が待遇表現として/待遇表現的に使われるか 63
2 敬語のあらまし 69
2-1 敬語とは 70
2-2 日本語の敬語の特色 72
敬語の体系的な発達 72
日本語の敬語と、世界の諸言語の「敬語」との違い 72
敬語と話法 74
待遇性回避の手法
敬語の〈人称変化/人称暗示〉的機能 78
2-3 敬語の種類 81
敬語の三分法-尊敬語・謙譲語・丁寧語 81
〈話題の敬語〉とく対話の敬語> 81
2-4 敬語の仕組みの捉え方ll〈語形〉〈機能〉〈適用〉の三つの観点 88
3 敬語の仕組みと使い方――その一 いわゆる尊敬語 91
3-1 尊敬語のあらまし 92
尊敬語とは 92
どのような人物を高めるか、高めてはいけないか 94
敬語と人称 96
敬語の〈適用〉のルール 97
身内と扱うべきかどうかの難しさ 98
〈話題の敬語〉回避の手法 01
その他の〈適用〉のルールと個人差 0
絶対敬語と相対敬語――敬語の使い方の歴史 0
主語について――新しい考え方
所有者敬語 1
3-2 「……(ら)れる」と「お/ご~になる」 16
両者の比較 16
両者の歴史――その共通点 20
「お/ご~になる」の〈語形〉の作り方
「お/ご~になる」と言えない場合 26
「お/ご~になる」と使役・受身の表現 40
3-3「なさる」「――なさる」と「お/ご――なさる」 43
「なさる」系の尊敬語43
「なさる」と「お/ご――なさる」 44
主な尊敬語四つの整理 47
スマートな敬語の使いこなし方の第一歩
「なさる」と「なされる」5
スマートな敬語の使いこなし方の第二歩 可能の意の尊敬語 54
3-4「くださる」「いただく(謙譲語)」と「……てくださる/いただく」「お/ご~くださる/いただく」
「くださる」「いただく」の基本的な〈機能>――物の授受の場合
「くださる」「いただく」の〈適用〉――人称の観点から
補助動詞としての用法――「……てくださる/いただく」「お/ご~くださる/いただく」
〈与え手〉とく受け手=受益者〉の《上下》関係
「お/ご~くださる(ください)」と「お/ご~いただく」1〈語形〉の整理
〈語形〉上の注意点
「くださる」型と「いただく」型の比較-類似と相違/助詞の誤り
「たまわる(賜る)」の歴史と「いただく」の将来 17
「いただく」に類する表現 17
「……(さ)せてくださる」「……(さ)せていただく」 18
〈食べる/飲む〉意の「いただく」 18
3-5動詞についてのその他の尊敬語
主な〈特定形〉のまとめ 18
動詞+補助動詞の尊敬語 18
「……ている」の尊敬語の各種/「お/ご~だ(です)」 19
「お/ご~あそぼす」 19
3-6 名詞・形容詞などについての尊敬語
動作性の名詞についての尊敬語
一般の名詞についての尊敬語
2・3人称者の呼び方(ある程度以上、敬意を含むもの) 19
「……だ/です」の尊敬語 20
形容詞・形容動詞についての尊敬語
副詞についての尊敬語
助詞についての尊敬語
4 敬語の仕組みと使い方――その二 いわゆる謙譲語
4-1 謙譲語のあらまし 08
謙譲語の二つのタイプ 62
謙譲語Aのあらまし 09
謙譲語Aの補語と主語の関係 1一
謙譲語Aの〈適用> 12
二方面敬語 16
古文の謙譲語Aと二方面敬語 19
謙譲語Bのあらまし
3人称者を主語とする〈丁重語〉としての用法
謙譲語Aと謙譲語Bの比較 26
4-2 「お/ご~する」と「お/ご~申し上げる」(ともに謙譲語A) 31
「お/ご~する」 31
「お/ごーー・する」と言えない場合 35
「お/ご~する」の誤用
「お/ご~申し上げる」 43
4-3 「いたす」「――いたす」(謙譲語B)と「お/ご~いたす」(A・Bの中間種) 44
「いたす」系の謙譲語旗
「お/ごーーする」「――いたす」「お/ご~いたす」の比較
「――いたす」50
4-4 「申し上げる」(A)と「申す」(B) /「存じ上げる」(A)と「存じる」(B) /「伺う」(A)と「まいる」(B) /「おる」(B) 51
「申し上げる」と「申す」 51
「存じ上げる」と「存じる」 54
「伺う」と「まいる」 58
「おる」 61
謙譲語Bの歴史と「申される」 65
「おられる」 70
4-5「さしあげる」(謙譲語A)と「あげる」(謙譲語A/美化語) 74
「さしあげる」 74
「あげる」1謙譲語Aから美化語へ 76
「ももたろう」談義――きびだんごを「やりましょう」と「あげましょう」 80
4-6 その他の謙譲語 81
和語動詞の主な〈特定形> 81
漢語系(熟語)の動詞の謙譲語 84
「申す」を含む諸語 86
名詞についての謙譲語 86
1人称者の呼び方(ある程度、へりくだり/かしこまり/改まりの意を含むものを中心に) 88
形容詞についての謙譲語 89
V 敬語の仕組みと使い方――その三 いわゆる丁寧語
丁寧語・美化語・改まり語・丁重語 92
「です・ます」 94
〈文体〉としての「です・ます体」
話し言葉の「です・ます」 95
「です・ます体」の中の諸段階 98
「ございます」 0一
形容詞の「ございます」形 02
「ございます」を使う難しさ 03
その他の丁寧語 05
美化語のいろいろ
改まり語
6 敬語の仕組みと使い方――その四 全体に関すること
6-1 敬語の種類のまとめ
6-2 「お/ご」のいろいろ
「お/ご」の整理 15
同じ〈語形〉「お/ご~」で二通り以上の〈機能〉をもつもの
「お/ご」の表記 2
6-3敬語の組み合わせ(承接)
敬語の組み合わせ(承接)とは
敬語の組み合わせ(承接)のルール
ルールの作る〈語形〉の具体例
6-4 敬語の誤りのタイプ
誤りや不適切使用の主なタイプ
二重敬語-避けるべき二重敬語とは
過剰敬語-避けるべき過剰敬語とは
7 敬語の変化・誤り・将来をめぐって 剏
7-1 現在進行中の変化 「お/ご~される」の定着化など
現在進行中の主な変化 4
「お/ご~される」 4
7-2 敬語の変化の大きな流れ 45
〈対話の敬語〉の発達 45
敬度の漸減/補強 48
敬語の大衆化 48
7-3敬語の変化の流れから将来を読む 51
四つの流れを読むと 5
誤りが増える方向へ 一)
7-4誤りをどう受け止めるか 55
大目に見られる誤りとそうではない誤り 心情的な面から 56
〈大衆化〉の中で敬語をどう受け止めるか 敬語と〈人柄〉〈寛容さ〉〈努力〉など 59
7-5敬語システムの危機(?) 「お/ご~する」の尊敬語化 61
敬語は保たれていくか 6一
マイナーな誤りと体系をゆるがす誤り
敬語の将来という面から 62
「お/ご~する」の尊敬語化1一無理もない面 64
「お/ご~する」の尊敬語化-気がかりな面傷「お/ご~する」の尊敬語化と敬語の将来α
7-6 敬語史(言語史)における現代の特殊性 69
変化に影響を与える新しいファクター 69
敬語史上の未曾有の実験――新しい諸ファクターと〈大衆化〉の中での「お/ご~する」の行方 72
7-7 敬語を将来にわたってはぐくむ 74
敬語を適切に使いたいという意識への期待 74
敬語と国語審議会 75
敬語をはぐくむために あわせて、本書の趣旨 82
付録 敬語おぼえがき 85
文献89
事項索引 98
語彙索引 94