堀秀成

http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/kokusyokaidai/k5/kokusyo_ko087.html>
ことだまめうようろん
   言靈妙用論 二巻 堀秀成
 國語の性質、沿革、音韻、言靈の事を考説したるもの。其の総目を擧ぐれぱ、古へ言語正しかりし事、皇國言の諸夷の語言に甚く勝れたる事、文には漢語を用ひかく頃と成りても口語には猶語を宗とせし事、古語の學問世に開けたる事、古語の學盛なる勢に從ひて遂に音義學興りたる事、聲音の出づる本源の事、物に觸れて感じ心有聲の中に含み舌に觸れて諸音をなす事、聲音に象と意とありて萬物萬事をうつして言語となる事、有音は諸音のはじめなる事、横韻位置の事、三十六音分生の事等なり。慶應二年丙寅〔二五二六〕の自序あり。明沿十年出版にかゝる。
 ◎堀秀成は藤原氏なり、下線國古河の藩にて通稱八左衛門、後に内記と改む。琴舎と號せり。富樫廣蔭の門人にして和學を研究し、制度音韻の事に通せり。著書には磯山千鳥、日本語學階梯、日本語格全圖、語學問答、音圖略説、類語或問、蘿鬘、假字本義考、樹集、類語索例、音圖大全、音義本末考、語法本義論、三集類言、語學階級、語絡圖彙、及ぴ本書言霊妙用論等あり。明治に至り、宣教少博士となり、伊勢神宮、讃岐金刀比羅社教會等に聘せられて學を講せり。同二十年丙戌〔二五四六〕十月三日、七十にて讃岐高松に歿せり。

http://blog.livedoor.jp/bunkengaku/archives/50351404.html>

言霊妙用論 語學書 二卷二冊
【著者】堀秀成
【成立・刊行】慶應二年十二月稿成る。明治十年四月の自序があり、同年三月刊。
【概説】音義説の由来、及びその概要を書いたものである。先づ我が國は古は言霊のさきはふ國と稱せられた事、仮名遣の正しかつた事を記し、次に外國の語は侏離鴃舌で鳥獣萬物の聲に近い。例へば、剜・彎・椀は犬の聲に近く、彬・賓・濱は馬の聲に近く、坂・伴は板を打つ聲の如く不正不純で、我が國語とは比較にならぬほど劣つてゐるを云ひ、次に中昔漢語を多く用ひる頃になつても、なほ重要な文書は國語で記してゐたが、漸次國語は廢れた。而して元祿の頃契沖が出て、古語の學が開け、次いで東麿・眞淵・宣長・篤胤等が出て、古語古格が明かになつた。而して學界の大勢は、古語の學から音義の學に進んだ。音義學の鼻祖は「雅言音聲考」(「雅語音聲考」の誤り)の著者鈴木朖(別項)である。第二代は富樫寛蔭、第三代は自分である。自分の時に至つて、父母の音には一音五義、子音三十六には各々三義ある事を明かにし得た。而してこの學問は今後益々研究せねぱならぬものである(以上上巻)。次に人は母の胎内にある時、産霊神から聲音の種を陽はるものである。人は生れて後、見るもの聞くものにつけて心に感じ、それに從つて即ち音義の原則に依つて言語は生ずる。次に從來阿の音を諸音の源と云つてゐたが、有の音が根源である事、ウクスツヌフムユルウの開合の事、子音三十六音の分生の次第等を述べてゐる。音義説の概要を知るためには便利なものである。  〔龜田〕

http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/syomokukaidai/ka/kaidai_ka130.html


言霊妙用論 二巻二冊
 慶應二年、堀秀成著。明治十年刊。元祿の頃契沖出でゝ古學復興を唱へて以來、古語の學啓け、諸學者輩出して古語古格は明かになったが、學界の大勢は次第に音義の學に進み、「雅語音聲考」の著者鈴木朖はその鼻祖であると云って音義説の由來を述べ、更に音義説の概要を記してゐる。特に注目すべき程の説はないが、その音義説概要は簡單平易に記して居るので便利である。
(亀田次郎「国語学書目解題」)

近代デジタルライブラリー


トップ   編集 凍結 差分 履歴 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2022-08-08 (月) 10:03:46