邦光史郎
推理小説
第二章 神代文字 pp.69-142
代の日本語で、火はヒでなくフィなんですよ。このフィというのは、世界共通の言葉で、英語のファイア、中国語のホア、みんな同じことなんだ。
「しかし、日本語ってのはウラル・アルタイ語族で、先祖は、モンゴルだというじゃありませんか」
その秀真というのは、日本語なんてすか
「なんば言うとよ」
と、お互いに肩を押し合ってくすくす笑っている。その九州弁が、ふと旅情をそそった。
言語学的に見てみると、いちばんの難点は、古代日本語と古代朝鮮語が、今となってはよくわからんという点にあるんだよ。
ところで古代日本語は母音が八つあったことを知ってるだろう」