長谷川幸延
長谷川幸延『随筆 大阪今昔』所収
大阪弁の面白さ(佳さではない)を、満天下に徹底させたものは、近松でも西鶴でも。鴈次郎でもない。実に、曽我の家五郎である。大阪弁をして、直ちに標準語に対立する日本一の方言とまで認識させたものは、五郎のたゆまざる努力による功績である。 (中略) が、五郎のいはゆる大阪弁は、極端に曽我の家的要約を加へられたものなのであることは注意せねばならない。
「古川緑波に、長谷川一夫が大阪弁のコーチをしてゐる光景」p.14