関山和夫
『説教の歴史 仏教と話芸』
岩波新書
まえがき
はじめに
涙と笑い
説教話芸への関心
説教の系譜
一 節談説教の型
1 修業の方法
美文と雄弁
前座修業
説教道場
聴き手と話し
手説教所の繁栄
2 型の伝承
五段法
芸能的な演出
呼ばり説教と因縁譬喩説教
3 説教の技巧
東保流の雄弁術
語りのロ調
説教の台本
せり弁・伝統の根強さ
小説『青麦』の説教師像
二 説教話芸の源流
―初期・中古・中世―
1 説教の素地
説教から話芸へ
釈尊説教
声・弁・才・博
初期の説教
『日本霊異記』
2 説経師・講師の活躍
法華八講
一声・二節・三男
説経師と講師
人気商売
『往生要集』
3 安居院流と三井寺派
澄憲法印
卓越した弁舌
聖覚の名声
二つの家元
庶民層への浸透
4 節談説教発展の基盤
法然と説教
親鸞の化導
蓮如の説教方式
5 無住と通俗説教
無住の民衆教化
『沙石集』の洒脱性
芸風説教の発展
三 説教と大衆芸能
―近世―
1 近世初期の説教教化者
弁蓮社袋中
浅井了意
真宗説教の正統者
2 落語の始祖・安楽庵策伝
不世出の咄上手
『醒睡笑』の性格
咄の落ち
「説教文学」の系譜
3 仏教と落語
露の五郎兵衛
説教の落語化
日蓮宗系統の噺
落語の中の仏教
林屋正蔵と怪談噺
人情噺
4 説教と三遊亭円朝
円朝まんだら
仏教的因果観
円朝の仏教思想
「牡丹燈籠」の意図
説教史の中の円朝
5説教と講釈
講談の源流
戦記物語と法語
御伽衆・御咄の衆
赤松法印
講釈師
談義説法の娯楽化
談義本
6 節談説教と説経節
節談説教の隆盛
説経節
三井寺と説経節
説経節の盛衰
7 祭文・ちょんがれ・浪花節
祭文俗化
祭文の形式
教化僧円空
ちょんがれ祭文から浪花節へ
8真宗説教
菅原智洞
粟津義圭
説教本と説教者
四 埋もれた芸能
―近代―
1 明治仏教
布教者の混迷
改良説教
2 近代の説教者
木村徹量
宮部円成
服部三智麿
亀田千巌
3 節談説教の衰退
―むすびにかえて―
宗門内部からの批判
現代の法話
節談説教の採録
消滅する説教話芸