http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/ingaku/okai93.htm:title=岡井慎吾『日本漢字学史』>
韻鏡翼は寛保元年(二四〇一)の出板で改點韻鑑よりも三年の前だが、名乗反切に觸れて居らぬ點のみより見て古義系の物として述べる。この書は三冊より成りて全部漢文。巻上中には序列を下には圖を出す。韻鏡考補(白井寛蔭)には
序列の解大抵古義本に似たれと粗し。圖は古義書と同じ、但し古義は開發收閉の説を斥したれと此本は亦擧したり、亦カ中の異同數十字あれど古義本とも同じからず。
と云へるもの。蓋し名乗反切の非なることは物徂徠の南留別志にも極言すれば漣窩に関係なくして之に達したのかも知れぬ。著者乗運は讃岐の入、字は廣濟。堀南湖の序が有るが、南湖は惺窩門の杏菴、立庵と相續した世家だ。