飛田良文
はじめに
第一部 東京語研究の方法
第一章 東京語研究の視点
一 東京語とは何か 5
二 東京語研究の歩み 11
三 東京語の成立過程を考える視点 19
四 江戸語の言語体系 26
五 東京語の基盤となった江戸語
第二章 東京語の時代区分
一 東京語を変えた外的要因
二 教育行政と教科書の展開 45
三 国定読本の出来るまで――東京語の成立期 47
四 標準語の成立――東京語の定着期 49
五 共通語の時代――東京語の展開期 59
第三章 東京語研究の現段階
一 研究史の視点 63
二 研究書の書名の扱い方から 63
三 国語史概説書の扱い方から 68
四 分野別の通史の扱い方から 71
第四章 東京語研究の資料 76
一 資料論はなぜ必要か 76
二 東京語研究資料の特質 77
三 東京語研究のための資料の分類 79
四 東京語資料の性格 83
五 資料の扱い上の注意事項 101
第二部 江戸語から東京語へ
第一章 英米人の習得した江戸語 107
一 江戸語を反映する外国資料 107
二 江戸時代の言語位相 109
三 英米人のみた人称代名詞の言語位相 114
四 英米人の学習した人称代名詞の用法 124
五 英米人の日本語研究と日本語教師 139
六 S.R.ブラウンとE.M.サトウの習得した江戸語 142
第二章 英学会話書の人称語彙 144
一 英学とは何か 144
二 会話書の語彙の性格 145
三 『和英商話』の人称語彙
四 『英蘭会話篇訳語』の人称語彙 153
五 会話書と現代語彙との関係 159
第三章 山の手の言葉の形成
一 山の手の言葉とは何か 162
二 文化文政期の武士の言葉 164
三 将軍徳川慶喜の言葉 176
四 大政奉還後の武士の言葉 178
第四章 東京語の形成――話し言葉の世界 184
一 江戸時代から東京時代へ 184
ニ 江戸語の衰退 87
三 地方語の混入と同化 92
四 男性言葉の成立 98
五 女性言葉の形成
六 標準的話し言葉の確立 208
第五章 東京語の形成――書き言葉の世界 214
一 江戸時代から東京時代へ 214
二 明治時代の文章の種類 219
三 書式のある文章 221
四 個人の文章――公表しない文章 233
五 個人の文章――公表する文章 240
六 編集した文章 247
七 宣伝の文章 254
八 教育用の文章 256
第三部 東京語各論研究
音韻
第一章 東京語の音韻 264
第二章 連母音「ア・ウ」の成立 267
一 ワア行五段活用動詞の語尾「ア・ウ」 267
二 和英語林集成』における「ア・ウ」の実態 269
三 辞書と会話書における連母音「ア・ウ」 277
四 「オー」から「ア・ウ」へ変化する過程 283
五 連母音「ア・ウ」の成立する原因 290
第三章 連母音「オ・ウ」の成立 295
一 ワア行五段活用動詞の語尾「オ・ウ」 295
二 『和英語林集成』における「オ・ウ」の実態 297
三 辞書と会話書及び方言の連母音「オ・ウ」302
四 「オー」から「オ・ウ」への変化の過程 319
五 「オー」から「オ・ウ」への変化の原因 322
第四章 漢音呉音の交替現象 325
一 漢音と呉音の交替による語形変化 325
二 清濁の確実な文献資料 326
三 漢音読みと呉音読みの実態 329
四 漢音と呉音の交替する漢字 332
五 漢音と呉音とが交替する漢語 339
六 漢音と呉音とが交替する原因 339
第五章 漢語の連濁現象 343
一 連濁の変化による語形変化 343
二 連濁表記の確実な文献資料 344
三 連濁現象の実態 347
四 連濁の生ずる場合と消滅する場合 350
五 連濁現象の変化する漢語 356
六 連濁の消滅する原因 359
七 明治大正時代の連濁現象 360
第六章 ヤ行拗音の直音化現象 363
一 シンジュクかシンジクか 363
二 明治以前の直音化の実態 364
三 明治以後の直音化の実態368
四 「新宿」の読み方 373
II 語彙
第一章 東京語の語彙
一 話し言葉 376
二 漢語 377
三 外来語 385
第二章 明治以後の語彙の変遷 391
一 語彙史の視点 391
二 明治・大正・昭和の新聞語彙 393
三 明治以後に作られた語彙 402
四 話し言葉と書き言葉の語彙 404
第三章 漢語の読みと同音語 406
一 漢語とは何か 406
二 漢語の読み方の原則とその変化 407
三 読み方の変化した漢語 411
四 漢語と同音語の問題 420
第四章 漢語意識と和語意識 429
一 漢語意識の問題点 429
二 漢語の流行―話し言葉の世界 430
三 漢語の流行―書き言葉の世界 433
四 明治人の漢語批判 436
五 明治人の和語批判 440
六 漢語流行の原因と行方 443
第五章 訳語の成立事情 446
一 訳語研究の前提 446
二 蘭学者の翻訳法 447
三 訳語の形成過程 455
第六章 比較級の訳語「より」の成立 467
一 副詞「より」は比較級の訳語か 467
二 日本の英語教育と参考書 469
三 英文典直訳における比較級の訳語 475
四 リーダー直訳における比較級の訳語 481
五 副詞「より」の一般化する過程 483
六 助詞「より」から副詞「より」へ 484
第七章 外来語の受容 487
一 西洋料理との出合い 487
ニ ソップからスープへ 489
三 カレーライスとライスカレー 499
四 アイスクリーム 509
第八章 新語の造語法 516
一 新語とは何か 516
二 だれが新語を造ったか 516
三 庶民の造った新語 518
四 知識人の造った新語――新造語 524
五 知識人の造った新語――借用語 527
六 知識人の造った新語――転用語 531
七 造語法からみた新語の類型 534
III 文法
第一章 東京語の文法 538
第二章 ワア行五段活用動詞のウ音便形と促音便形 547
――『和英語林集成』を中心として――
一 ウ音便形と促音便形の問題 547
二 『和英語林集成』における音便形の実態 549
三 辞書・会話書・速記・研究書との比較 558
四 辞書におけるウ音便形のかたより 565
五 東京語のウ音便形の使用者 568
第三章 サ変複合動詞の上一段化――『和英語林集成』の場合 570
一 サ変複合動詞の問題点 570
二 『和英語林集成』におけるサ変複合動詞の実態 571
三 上一段化の条件と語の性質 587
四 サ変複合動詞の上一段化する傾向 591
第四章 完了の助動詞「ちゃう」の成立 593
一 「ちゃった」の流行 593
二 東京の俗語「ちゃう」 597
三 文学作品の「ちゃう」 601
四 「ちゃう」の用法 613
第五章 敬語 619
――S・R・ブラウンの Colloquial Japanese から Prendergast's Mastery System へ――
一 S・R・ブラウンの会話書の敬語
二 Colloquial Japanese と Prendergast's Mastery System
三 敬語動詞の実態
四 敬語動詞の東京語化の過程
第六章 『一読三歎/当世書生気質』における書生の敬語
一 書生の登場
二 書生の言葉遣い
三 書生敬語の体系
IV 文体・文章
第一章 東京語の文体・文章 646
第二章 明治詔勅文の文体 656
一 詔勅文の文体の問題 656
二 明治詔勅文の種類と文体の移りかわり 658
三 詔勅文における文体の用法
第三章 高山樗牛の書簡文の文体 685
一 書簡文の文体の問題 685
二 樗牛の書簡文の実態 686
三 樗牛の使用した文体の種類 697
四 文体と書簡用語との関連 703
五 文体と! !!! ?との関連 714
六 樗牛の書簡の口語文 715
第四章 電報文の文体 718
一 電報文の問題点 718
二 文範集の解説と文例 721
三 公衆電報の文体 725
四 国定読本の電報文 732
第五章 普通文の成立 737
一 普通文とは何か 737
二 普通文の定義と文例 738
三 文部省の方針と普通文 749
V 文字・表記
第一章 東京語の文字・表記 760
第二章 日本の国語国字問題はどうして起ったか 769
一 国語国字の問題点 769
二 前島密の「漢字御廃止之議」 770
三 明治以前の漢字批判 773
四 漢字批判と時代思潮 777
五 漢字批判と西洋文化 778
六 国語問題発生の原因 781
第三章 井上勤訳『月世界旅行』の振り仮名 782
――漢字片仮名交り文から漢字平仮名交り文へ――
一 振り仮名研究の現状 782
二 『月世界旅行』の振り仮名の実態 785
三 初版本の振り仮名 801
四 再版本の振り仮名 803
五 漢字片仮名交り文・漢字平仮名交り文と振り仮名との関係 805
第四章 丹羽純一郎訳『花柳春話』の振り仮名 809
一 振り仮名の位置と役割 809
二 『花柳春話』における振り仮名の実態 811
三 振り仮名の位置と語種 822
四 左側の振り仮名と本文との対応 827
五 左側の振り仮名の役割 832
第五章 永峯秀樹訳『富国論』の振り仮名 836
一 『富国論』の振り仮名の位置 836
二 『富国論』の本文と振り仮名の関係 838
三 『富国論』の振り仮名の実態 844
四 読み方を決定する振り仮名の役割 862
第六章 句読表示の成立過程――明治初年から『句読法案』まで―― 865
一 句読法の改良運動 865
二 句読法の試み 866
三 仮名専用論者とローマ字専用論者の句読表示 869
四 速記者の句読表示 872
五 文学者の句読表示 873
六 、。使い分け表示法の源流 883
七 漢訳洋書の句読法の影響 884
英文要旨 892
索引 898