『日本語の歴史7』平凡社
亀井孝・大藤時彦・山田俊雄


第一章 日本語の性格
 一〈ことばの歴史〉の流れ
  ことばの文化史をこころみる困難
  言語の歴史は連続の歴史である
  しかし日本語の歴史にくぎりはあった
  国語史的研究から日本語の歴史へ
  橋本進吉による日本語の歴史の時代区分
  〈時代方言〉としての古代方言と近代方言
 〈時代方言〉の境界線はどこにひかれるか
  言語の歴史も他の歴史現象と無縁ではない
  現代は〈言文一致の時代〉
  言語の歴史とは様式と様式との交替
 二 言語の類型
  言語の素材としての音は一定している
  日本語の音節構成の特色
  日本語と類似した音節構成の言語
  シナ語の音節構成の複雑さ
  子音のもっとも多いのはアバザ語
  南アフリカにみられる〈クリック〉
  単語の構造からみる言語の類型―孤立語
  膠着語―その典型はトルコ語
  〈膠着〉はアルタイ語の共通特色
  印欧語に代表される居折語
  セム語族にみる〈内部屈折〉
  孤立↓膠着↓屈折は進化の段階か?
  言語の類型は単語からシンタックスへ
  日本語のシンタックスの特徴
  用言複合体をラテン語の動詞とくらべる
  エスキモー語と日本語との親近性
  アフリカのスワヒリ語
  言語にうかがう古代人の心性
  日本語にはないスワヒリ語の照応
  スワヒリ語の動詞
  スワヒリ語の関係句
  シンタックスの類似で地理的な関係
 三 日本語はむつかしいか
  ことばの難易とはなにか
  だれにとって日本語がむつかしいかの問題
  チェコ語にあるむつかしい音
  音節構造では日本語は単純
  日本語のもつ妙な性質の音「ン」
  文法の領域にみる日本語のむつかしさ
  英語と日本語の動詞の相違
  言語の難易をきめるのは相対的な立場
  日本語でむつかしいのはなにか

第二章 民族語ど世界語の問題
 一 民族語の育成
  〈民族の時代〉と民族語の確立へ
  アジアの国ぐににみる民族語の確立
  英語を公用語とするインドの苦悩
  アフリカの新興国と民族語の問題
  民族語と文字との結びつき
  朝鮮民族と諺文
  トルコで成功した文字の改革
  ローマ字の民主性
  ソ連・中共の言語政策
  民族語のなかで文語が民主化される
  新興国や少数民族に遠い共通語への道
  民族語の育成と語彙の問題
  言語学における語彙の意味
  語彙の上部構造と下部構造
  語彙の近代化は上部構造にかかわる
  民族語の運命と世界語
 二 世界語はどうあるべきか
  狭くなった〈世界〉
  〈世界語〉の登場する気運
  国際会議における同時通訳と英語の比重
  世界語は自然語の改造か、人工語か
  自然語を世界語としたとを翻訳機械が必要
  翻訳機械をうみだした力
  翻訳機械がもたらした可能性
  世界語の機能はどうあるべきか
  自然語には知的価値と情的価値とがある
  世界語はもっぱら知的伝達の手段
  知的伝達と記号論理学との関連
  必要な一般文法論の再吟味
  新しい世界語のあるべきかたち

第三章 国語問題の歴史的性格と背景
 一 文字様式の諸相
  国語問題への本書の立場 
  〈文字行動〉の歴史的展開を探る 
  片仮名と平仮名の機能の違い 
  漢字の三体-真行草
  本居宣長の漢文についての見解
  洋学者は漢字・漢文をどうみたか 
  行草から楷書への推移
  楷書体と近代生活とのかかわり
  教育に尾をひいた仮名と漢字の関係
  明治の教科書の文体
  明治の文章における漢字と仮名の組合せ
  漢字片仮名交じりから漢字平仮名交じりへ 
  送り仮名の問題
 二 国語問題の登場する歴史的背景
  日本語の文化史の一断面にとらえる国語問題
  日本語を真の〈民族語〉たらしめるもの
  同族感情にささえられた民族
  明治の歴史と民族の自覚
  国語問題は民族語の問題
  すでに解決をみた国語のいくつかの問題
  現代の国語問題は国字問題である 
  言語は人間をはなれてひとり歩をする  
 三 仮名づかいがやどす問題の性格
  仮名づかいの問題は長い歴史をもつ
  定家仮名づかいから歴史的仮名づかいへ
  明治時代の仮名づかい論争
  森鴎外は正書法を論拠とした 
  正書法がなぜ問題となるか
  アルファベットの世界の正書法
  正書法と仮名づがいとは一致しない 
  〈漢字仮名交じり文〉の登場 
  正書法はむしろ送り仮名の問題
  漢字片仮名交じり文とふり仮名
  ふり仮名廃止論の意味
  〈字音仮名づかい〉とはなにか 
  字音仮名づかいは仮名づかいではない 
  言語の改革は社会の改革に通じる
  国字問題としての漢字制限
  漢字制限に対する小倉進平の見解
  当用漢字と固有名の標記
  〈芸術としての言語〉の世界 

 第四章 日本語の生命
 一 言語文化の諸相
  言語文化史としての日本語の歴史 
  〈言語文化〉ということばの性格
  〈言語文化〉が「言語・文化〉である例
  〈言語としての文化〉を意味する例
  〈言語文化〉のもつ限界
  言語文化の観点からみる日本語の一特徴
  英語における文法上の〈数〉
  日本語における数的な〈多〉 
  日本語とヨーロッパ語との名詞の違い 
  日本語の詩と押韻の問題
  押韻は詩に固有の文法
  日本語の詩に押韻が不可能な理由
  ヨーロッパ詩の押韻の歴史
  音韻体系が一つの社会制度であることの意義
 二 漢字文化圏からの離脱
  漢語による西欧文明の摂取
  〈定式〉がイギリス流の〈常識〉に変わる? 
  〈当用漢字〉にみられる漢字の機能瀧の破壊
  漢字文化圏からなぜはなれるか
  日本における漢字の特殊な便用
  日本と朝鮮とは漢字をちがったかたちでうけいれた
  日本の漢文・漢詩
  漢字文化圏の直属圏と自治圏
  日本は漢字と日本語との直接的連合に成功した 
  外国語の語彙の借用と翻訳との距離
  漢字を契機とするピリセミーとホモニミー
  シナ語の語彙体系が漢字を通して日本語にはいった
  漢語が無色中立である理由
  漢字文化圏離脱の下地はそのはじめにあった
  漢字とからむ国語問題の悩み
 三 民俗語彙のゆくえ
  言語の歴史をとりあつかう方法
  言語学と立場を異にする民俗学の方法
  民俗語彙とはなにか
  方言と民俗語彙の違いは
  地域社会の生活用語
  生産様式の変遷にともなう民俗語彙の消長
  農事に関する語彙の変遷
  狩猟語彙と山ことば
  漁業に関することばも変わった
  労働様式の変化と信仰儀礼の低下
  衣食住に関する民俗語彙
  その他の特殊な語彙
  民俗語彙のだどる道
  期待したい民俗学と言語学の共同作業
 四 不死鳥の日本語
  日本語列島には日本語が連綿と生きてきた  
  日本語の生命と漢語の勢力
  言語そのものとものそのものの世界は別である
  ここにみることばの生命の諸相
  ことばのうえの警戒色と保護色
  ものがなくなればことばもなくなる
  日本語は不死鳥である
  開音節原理をくずす方向とそれをはばむ伝統のちから
  〈はねる音〉の正体はなにか 
  〈つめる音〉は音のない音節
  古代日本語をかえたもう一つの現象〈音便〉
  イ音便にみる変化の傾向
  なにが日本語の歴史的統一をたもちえさせたか
  日本語は日本民族の同族感情の函数

刊行を終えて

日本語の歴史総索引
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 語彙
 文献・資料
 人名
 別欄

別欄


同語線 
字音仮名づかいの一斑
岐阜の由来 
ジョイスの実験小説
文法的にみたラテン語
田の神信仰にまつわる語
民俗語彙をおしのける漢語
イロリをめぐる民俗語彙 

月報


日本語のうらおもて 坂田雪子
編集を終えて 亀井孝

執筆者


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