#author("2022-04-17T01:53:43+09:00","default:kuzan","kuzan")
[[亀井孝ほか『日本語の歴史』]]

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第一部 言語史の原理
 まえがき 言語史の復活のために


 第一章 言語の歴史とはなにか
  一 言語学の独立
   言語の歴史としての日本語の歴史 
   [[ソスュール]]による言語学の独立宣言
   言語史における
  二 言語史の研究と文献学
   [[言語史]]はなぜ成立するか
   言語の変化を歴史といいうるか
   言語の変化は言語そのものの変化 
   文献学と言語史研究とのかかわりあい 
   [[文献学]]の歴史
   文献学と言語史との違い
   言語史は文献学の操作のうえに
  三 二十世紀の言語学
   [[ヘルマン・パウル]]とソスュールの登場 
   パウルとソスュールとの対蹠的な特徴 
   ドイツとフランスの風土の違い
   ソスュールの通時相と共時相 
   パウルにおける抽象からの脱却
   時代の岐路にたったソスュール
  四 言語学の領域とその将来
   ここにソスュールへの不満がある 
   パウルの考え方は時代おくれか
   〈体系〉の考え方の魅力
   言語に美しい均整をみることの限界
   意味領域の問題
   生きた言語の歴史像へせまる 


 第二章 言語史の資料と性格
  一 言語史の資料とはなにか
   過去の言語はどう伝えられたか
   その他言語語史の資料となるもの
   言語史の目的は口語の追究
   口語を視覚的に定着する文字 
   文字の言語的機能は音声とどう対応するか 
   文字の真の機能はなにか
   文字の表音・表語の機能の関係
  二 音声言語と文字言語
   言語の文字化は容易な道ではなかった 
   文字化の第一歩は言語の単位の抽出
   文字化は言語の反省でもある 
   話しことばと書きことばの問題
   音声言語と文字言語の社会的機能 
   文語の発生
   文語の歴史の一例 中国における場合
  三 露出する口語の要素
   口語がぶつかる文字化の壁
   口語性の判定は困難
   口語の露出のチャンス
   文字をとおして言語史をみる制約 
   変化の様相は非連続的に噴出し露出する
   問題は資料の歴史的位置づけ 


 第三章 言語史の研究法
  一 言語の歴史と音韻の変化
   言語史研究への予備段階
   音韻史の研究と文字の種類との関係
   言語史研究に普遍的原理はあるか 
   音韻変化の規則性という原理 
   日本語にみる音韻変化の規則性
   なぜ規則的な変化が生ずるか 
   文字の場合から類推すれば
   音韻変化の規則性が言語史の根本原理である理由
   言語地理学と音韻変化の原理とは矛盾しない
   音韻という抽象物についての変化 
   体系のなかにおける音韻の変化
   日本語音韻史の方法論
   音韻変化をたどる手がかりとしての文字
   ハ行音とサ行音にみる均整のずれ 
   奈良時代よりまえの乙類のキの音価
   いわゆる〈音韻論外の変化〉 
   〈二対一〉の対応関係の音韻変化 
   〈四つ仮名〉場合の対応 
   ア行のエとヤ行のエとの混同 
   音の動揺が文字にはねかえる 
   一つの音韻が二つの音韻に分裂する場合
   仮名文字の使用に即して音韻へ還元する
   〈上代特殊仮名づかい〉とその音価
   音韻史と音声学とのかかわりあい 
   必要なのは音韻の実質変化の実証的研究
   言語研究における音韻変化の規則性の意義 
   いわゆる〈(音)相通〉の提示する問題
   あらゆるbがmになるのではない
   バ・マ二行の音相通例
   〈結合変化〉としての〈異化〉
   音連鎖のうえに起こる〈同化〉
   音韻の変化と形態の原理
   日本語にみる音韻同化による形態の変容
   見かけだけの清濁転換
   結合変化としての〈転位〉
  二 語彙変化の種々相
   語の変化にはいろいろの種類がある
  〈語彙変化〉というもの
   言語史の前提
   言語を〈記号〉としてとりあげる 
   言語記号の本質は恣意性 
   擬態語は擬声語より象徴的
   言語における記号性と象徴性 
   口の表情が語形成の下地となる場合
   象徴性と記号性とのあいだ
   群化と分化とのかかわり
   〈ペジョラティヴ〉にりいて 
   言語記号における意味と形とによる群化
   語彙の借用
   借用にみられる語彙の群化
   形の群化は意味と無関係ではない 
   言語学でいう〈民間語源〉
   「コンタミネーション」(混交)  
   民間語源とコンタミネーションにみる言語の生命
   語の機能的な意味と文脈的な意味 
   言語学の目的は機能的意味の究明   
   意味の対立は複雑かつ微妙
   類義語による表現の区別
   意味の〈狭化〉と〈拡張〉  
   意味の移転と同音語
   ウオとサカナという語の運命 
   「えじき」ということば
   室町時代の親族語彙
   意味変化が起こる原因
   意義素を抽出することは可能か
   意義素の設定がもし可能だとすれぱ
  三 文法の変化
   記録された言語の文語性と口語性 
   形態論的変化と文法体系
   記録から推定する過去の文法体系 
   現代語から過去の言語体系を復原する 
   一つの言語の立体像への歴史的展望
   日本語は大きな変化を経験していない 
   フランス語の場合
   古代日本語の用言体系における終止形の欠落
   終止形と連体形との区別のしかたの問題
   終止形の廃棄はスタイルの交替
   日本語の歴史的な安定も相対的な問題 
   接辞の変化にも日本語の歴史的変化がやどる
   体系における〈非均整〉と類推
   類推がささえる形態の群化
   言語の型における〈膠着型〉 
   [[シナ語]]に格の区別があったか 
   現代英語をはたして孤立語といいうるか
   シンタクスの根本原理はなかなか変化しない
   シナ語の変化は音相と助詞にあらわれる
   前古典文語と古典文語
   言語におけるぬきがたい不易性  

 第四章 [[言語地理学]]の寄与
  一 言語地理学とはどんな学問か
   言語地理学はなにを言語史にあたえるか
   〈言語地理学〉という名
   言語地理学の日本への導入
   柳田国男の《蝸牛考》の位置づけ 
   日本における〈言語地理学〉の動向
   一にも地図、二にも地図
   言語地理学は〈人間所在〉の学問 
   人間的な語源解釈
   べベコとデデコ
  二 言語の地域差から言語の歴史を再構する
   言語には地域差がある
   千差万別の形をとる等語線
   〈音韻法則に例外あり〉
   糸魚川地方でみるハ行四段活用の動詞 
   非歴史的方法による歴史言語学
   言語地理学のもつ制約
   かおり↓かざの年代的な距離 
  三 言語地理学の理論と原則
   言語をあつかう二つの学問
   言語地理学の領域
   基本的仮設における対立
   比較言語学との対比
   地域差があればかならず分布がある
   地図上にこころみる唯一の分布
   語は地面をはうようにひろがる
   方言周圏論は原則の一つ
   植物の世界にも周辺地域の原則はある 
   言語の分布にみる周辺地域の原則 
   糸魚川の実例が教える推定の正しさ
   地図上の分布が語るもの
   語彙体系の地図
   注目される母音だけの音変化 
   総合文化科学を目ざして


 第一章 書承の資料 書籍を中心として
  一 文献的資料の意義
   言語史学の出発点
   国語史学はどこからはじまるか 
   すべてのことばが問題
   文献的資料の価値の大小
   《古事記》を文献資料としてみるとを 
   《万葉集》の場合をみる
  二 資料の性格の批判
   資料の命名について
   資料に所蔵者名を冠することの不便
   どういう命名が望ましいか
   文献資料の成立年代
   年代不明の資料をどう批判するか 
   書承資料の範囲とその解読
   文献解読の態度
   文献学と文学とのかかわりあい
  三 文献的資料の形態
   書籍の形ははじめ巻物
   巻子本の形
   巻子本の装飾性
  〈裏書〉はこうしてはじまった
   いわゆる[[紙背文書]]とは
   [[巻子本]]から[[折り本]]へ
   [[粘葉装]]と[[胡蝶装]]
   いわゆる[[列帖装]]にりいて
   [[袋綴]]は江戸時代から


 第二章 書承における文字の批判的処置
  一 言語学にしめる文字学の位置
   歴史学における古文書学
   言語史の研究と古文書学
   文学と言語研究との接触
   歴史学の資料と言語史の資料とは当がう
   資料の価値をどう判定するか 
   資料の有効性にりいて
   見なおされてきた文字論
  二 文献批判の方法論
   超視覚的な文献・資料
   資料をあつかううえで警戒すべき事例 
   異文・脱文・欠文の生ずる理由
   《熱田本平家物語》の場合
   影写本・模刻本・写真覆製本にりいて 
   言語史の資料として必要な批判
   資料の欠損にどう対処するか 
   写真覆製本にも欠点はある
   文字史研究の基盤
  三 文献・資料にあらわれる漢字の認識
   漢字の静態的・動態的体系  
   形音義の三要素の研究
   書道史的見地からの研究も
   漢字字形についての規範意識 
   日本の漢字字典・辞書の沿革   
   「未央」と「老邁」という語 
   《今昔物語集》にあらわれた省文の例 
   分字・省文の例
   省文(異体字)の参考文献 
   異体字についてのみるべき研究
   偏旁冠脚の名称にりいて
   《徒然草》にみる「塩」字の偏
   はたして「塩」は俗字なのか 
   漢字のなかにおける倭字の位置
   《万葉集》における漢字表記の意義
   漢字字音はシナふう発音を素材とした呼び名
   漢字研究が国語学史にもたらす意味
   古文献の漢字解読の精度 
   多岐にわたる漢字の用法
   いまもつづく万葉仮名の伝統 
   言語史は口頭言語の歴史か
   言語史研究領域の拡大


 第三章 仮名と表記法
  なぜ仮名・ローマ字文献が尊重されるか
  仮名文献がすくないという条件から出発する
  仮名による話の外相の把握
  異体字表からみる片仮名・平仮名の位置 
  漢字にともなう片仮名の系列 
  資料解読における平仮名の錯誤性 
  漢字のみで書かれた文献の位置
  真名本・漢文の資料の種類
  漢字と仮名の共存
  仮名が主の場合
  漢文資料とその訓読
  宣命書きから仮名専用の資料へ
  必要な文字史表記法の確立


  別刷写真図版例言
  仮名(草体)字母一覧例言
  あとがき

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