大言海


ウルユスと云う売薬あり。片仮名書きの清板の、今も、場末の生薬屋などに掲げてあるなり。この薬名、片仮名なれば、阿蘭陀薬ならんと思い、遍く和蘭の辞書を探りたれども待ず。然るに、何ぞ図らん、離迷字ならんとは。この薬は、緩和の下剤なれば、腸内を「空(ムナ)シウス」の心にて、「空」の字を三分して作りたる名なるを知りて、捧腹絶倒せり。ウツホを実の字に作れると、好対なり。明和、安永、天明の頃、幕府の老中、田沼玄蕃頭、全権の騒著にて、和蘭の器物を愛玩したるに因りて、一時、蘭器、蘭薬など、大に流行せり。その頃、売れゆきの好からんを図りて、蘭薬めきたる名を附したるものとおぼゆ。

http://slashdot.jp/~yasuoka/journal/433223
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/search.php?cndbn=%83E%83%8B%83%86%83X%8DO%95%FB%90S%93%BE%8F%91


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