嘉村礒多

小説
山口県方言

「注射すりや些《ち》つたあ痛みを減すかもしれんでごす。そんぢやが姙娠中ものけえ見合せやす。だもんで痛むだけは痛むと思うて、氣長にご保養肝腎でごす。冷水で冷すよりや暖湯《ぬるゆ》で暖めたはう好いでこす」

「Y町のお母ッさんに宜敷《よろしう》云《い》うとくれ。どうせ明日か明後日かにや僕も行くけえど」
「はん。明日の夜汽車で入らつしやんせな。屹度《きつと》な、待つとりますい」


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