#author("2022-07-30T16:15:19+09:00","default:kuzan","kuzan") [[氏名]]の誕生──江戸時代の[[名前]]はなぜ消えたのか [[尾崎秀和]] [[ちくま新書]] 二〇二一年四月一〇日第一刷発行 プロローグー[[人名]]の常識をめぐって 009 江戸時代の人の「名前」 今、氏名と呼んでいるもの 江戸時代を起点に 本書の構成 第一章「名前」の一般常識 09 1 一般通称の世界 江戸時代の"下の名前" 名前の"お尻"と頭 人名符号の定着 ルールの範囲内で 名跡化と襲名慣行 名を継ぐ意味 相応しい名前 名は体を表す 2名前としての官名 032 大和守という名前 大名の場合 官名の選択 四品相当の官名 無視された"本来の意味" 叙任という手続き 侍従以上 参議以上と松平の称号 3擬似官名とその増殖 048 国名と京百官 東百官 東百官の変形・増殖 恨めしきまなざし 第二章 「名前」にあらざる「[[姓名]]」 1名乗書判の常識 「[[名乗]]」とは何か 名乗はいつ・どこで使うか 誰も知らない名乗 名乗と帰納字 書判の設定 書判とは言うけれど 名乗と印形 2本姓と苗字 072 本姓と称するもの 苗字の公称 苗字の私称 武右衛門は気にしない 通称と苗字の関係 村内秩序と苗字 一般の人名常識 第三章 古代を夢みる常識 085 1朝廷官位と「名前」 086 朝廷社会の「名前」 些末な拘泥? 江戸時代の朝廷位階 越えられぬ一線 朝廷の官名 官位相当と家格 京官の定員制限 国司に定員なし 転任と名前 庶民の叙位任官と擬似官名 2「姓名」の用途と「名前」の正体 「姓名」こそが人名 「姓」といわれたもの 姓尸名 官位は姓名の上に接続する 小倉百人一首 称号と実名 実名を呼ぶ文化 用途に応じて 武家官位の申請手続き 長い"フルネーム"は存在しない 朝廷の人名常識 3官名と職名 122 古代を夢みる者たち 職名の存在 名実の不一致 第四章 揺らぐ常識 129 1正論を説く者たち 正しさはどこにあるか 何右衛門らの起源 官名僭称とその名残 官名を盗むな 紛々たる称 今世の風俗は…… 武家のルールにご用心 笑わば笑え 靱負佐になりたい 御名差合 荻生徂徠の提起 名を正せ 山県大弐の正名論 2人名部位の総整理 「名字」に注意 通称なるもの 苗字・称号・氏・姓 屋号と苗字 名前でも姓名でもないもの 3官位の褫奪と「王政復古」 解官する常識 解官しない常識 長門宰相から毛利大膳へ 一新と復古 第五章 王政復古のはじまり 167 1官位と職名 168 夢の実現へ向けて 新政府職制の登場 並行する官名と職名 七官制 官等の設定 官位秩序との齟齬 混乱の序曲 徴士の叙位 辞退者との混合 官等と位階 五等官以下の官位停止 2武家官位の行方 187 褫奪と復旧 徳川内府から徳川慶喜へ 姓名把握の嚆矢 肥前少将と鍋島少将 武家官位は続く 旗本らの官位と整理 森有礼の議案 無意味な可決 第六章 名を正した結末 1職員令の波紋 202 旧官の名に拠て更始の実を取る 百官廃止と職員令 官名は官員のみ どうすればいいの? 波紋の第一波 実名を通称にもする 藩職員の実名系通称 大参事たちの悩み 通称利用は譲れない 非役有位者の削減 波紋の第二波 何右衛門も禁止? 2姓尸名の奔流 228 二つの常識 姓名の人名利用 姓名を申告せよ これが実名? 藩職貝たちの困惑 「官名」は「通称」ではない? もうわけがわからない 3正名の破綻と急展開 242 解決策の発明 苗字十実名の登場 「正名」の終焉 姓名の退場 通称・実名の同質化 「一人一名」への帰結 消えたものたち 第七章 「氏名」と国民管理 1苗字の強制 平民の「名」 意味不明な苗字自由令 苗字公称価値の消滅 苗字強制令の背景 僧侶に苗字を 苗字強制令の実行 隠された「不都合」 苗字の設定 屋号と苗字と… 2改名制限という新常識 272 江戸時代の改名 名前は変わるもの 名跡としての名前 同時に複数の本名 壱人両名の世界 改名制限の開始 改名禁止令 改名規制の緩和 名は体を表さない エピローグ 人名のゆくえ 本書のまとめ 人名のちゃんぽん状態 忘れられた常識 人名は社会を映す