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[[福本和夫]]


序文

第1章一総説 辞書・事典の変遷と発達 18
1 日本ルネッサンス期 18
 日本ルネッサンス期を特徴づける辞書類 節用集と漂流譚 『和漢三才図会』 ノエル・ショメール『日用類百科辞典』とその翻訳『厚生新編』 鬱日本ルネッサンス時代の傑作『北斎漫画』
2 啓蒙期とそれ以後 23
 大槻文彦の『言海』 箕作麟祥と『インフォーメション・フォア・ザ・ピープル』の翻訳ー『百科全書』 西周とエンサイクロペディア 三省堂『日本百科大辞典』と平凡社『大百科事典』 田口卯吉の『日本社会事彙』と百科辞典構想 幸田露伴の辞書論と『水上語彙』
3 ヨーロッパの辞書・事典とフランス『百科全書』 35
 二つの日本評ー『ブリタニカ』とゴンクール マニュファクチュアの進展とフランス『百科全書』 「メチェ」の意味と誤解 アグリコラとべーコンーフランス『百科全書』の先駆者

第2章一辞書の愛用者であった紅葉・白秋。サルトルらの逸話 43
1 尾崎紅葉とブリタニカ 43
 死に臨んでも挫けなかった知識欲
  魯庵の感懐
魯庵の伝える紅葉との最後の出会
2 辞書を愛用した詩人北原白秋 50
 辞書は引くものに限らず 辞書を師友とせよ
3 『明治事物起原』を愛読された吉野・尾佐竹両先生のこと
 明治文化の百科辞典といわれる石井研堂の著『明治事物起原』
4 年少にしてラルース百科辞典にしたしんだサルトル 55
 すべてが与えられているが何も持っていない 本のなかで世界と出会う
5 大槻文彦博士は日欧対訳辞書三十二部の蒐集家でもあった
 辞典編纂と珍本『和魯通言比考』
6 附けたり}私が学生時代に持っていた辞書 60
 『辞林』と『言海』のことなど1中学時代 対日欧辞書のことなど
 1高等学校時代 露和字彙のこと

第3章一節用集のいろいろ
     ーそのはじまりから最後の『明治節用大全』まで
     漂流民・大黒屋光太夫と節用集 節用集のおこり1鈴木牧之『北越雪譜』の記述 明治維新後の節用集 『明治節用大全』ー節用式百科辞典の大成

第4章一日本ルネッサンス期の百科辞典 70
    1 寺島良安の『和漢三才図会』 70
     江戸期の絵入り百科辞典 動植物・医療薬物に詳しいのが特色
    2 中国明代の百科辞典『三才図会』 73
     全百六巻・一六〇七年に完結 興趣ある肖像画
3 絵画のルネッサンス的百科辞典『北斎漫画』 75
 日本ルネッサンスの金字塔 北斎と西鶴 中国の『芥子園画伝』と『北斎漫画』
4 蘭学者にょる『厚生新編』の訳稿 79
 七名の蘭学者 ノエル・ショメールの原書と訳稿の巻立て 「哥非乙の多服は陽事あがらず」は妄誕なり 生彩に富む訳者らの付記ー
 「紅花」の例 ディドロ『百科全書』との羊 百年も眠っていた訳稿
 江漢の銅版画制作

第5章一日本の啓蒙思潮期における百科辞典 92
   1 イギリスの百科辞典三種 92
     イーフレーム・チェンバーズの万有辞典とブリタニカ百科辞典 チェンバーズ兄弟の『インフォーメーション・フォア・ザ・ピープル』 フランスの百科辞典iショメールの辞典とディドロ『百科全書』
   2 西周のエンサイクロペディア学 96
    百学連環の学 ディドローコントil西周「詩余」をも取りあげた大知識
   3 文部省と丸善商社が翻訳出版したイギリスの百科辞典 98
     『インフォーメーション・フォア・ザ・ピープル』 丸善版の翻訳者たち 田口卯吉による評価

第6章一日本資本主義の成立期における百科辞典
   1 田口卯吉博士と日本百科辞典への準備 03
     開明的曽祖父・佐藤一斎と自由民権論者・卯吉 日本百科辞典編纂への営々たる努力と布石 今後力を致すぺきは史籍の整備なり
2 石井研堂の『明治事物起原』全二巻 
 明治文化の百科辞典 死の寸前までやまなかった研堂の驚くべき精進
 「進化」「経済学」「社会学」「哲学」1学術用訳語の創始にあたっての苦心談 「人格」「言語学」「心理学」「社会」「会社」「主義」「西洋」 
 農学者津田仙のこと 浮世絵に対する評価の変遷 簿記学の始まり
 漂流記の編纂i石井研堂不滅の功績
3 日本最初の近代的百科辞典・三省堂の『日本百科大辞典』 
 版元破産にもめげず苦心惨憺の完成 完成までに二十二年をついやす
 大項目主義の妙味・精細な記述1「アークライト」の例 「イブセン」 物余談ll私の留学とイプセン

第7章一大槻文彦博士の『言海』『大言海」と松岡静雄氏の『日本古語大辞典』
1 近代的国語辞典に先鞭をつけ、これを大成した『言海』と『大言海』 33
文部省より日本辞書編輯の命を受く 柳河春三の建白書 おのれは人の棄てつる業に殉ぜりーヒヨドリの意味は?ー語源を探る楽しみ
形、虎に似て二尺に足らず。性、睡りを好み、寒をおそる 前歯は上下、おのおの六枚あり。これにて老少を知るべし 著者の自信と信念
ことばのうみ『大言海』完成に向けて「イチョウ」の語源
「薩摩守」の語釈
2 サミュエル・ジョンソンの英訊贈辞典 47
 『言海』とウェブスター、ジョンソンの英語辞典
 ジョンソン お茶を愛用し「文学クラブ」を組織
私とサミュエル・ジョンソン讃歌
 バトロンと勲章 不屈の精神
3 松岡静雄氏の『日本古語大辞典』
 人智の向上発達に資する 日本の言語は優れている 烈々たる意気
 活きている言語に深い愛情-幸田露伴の推薦文 精緻な語源の攷証
 1新村出の推薦文 著者の兄・柳田国男先生のこと 超人的スピード 「出雲」「出石」「出水」の語源考 続「出雲」考-小学館『日本国語大辞典』の場合

第8章一文豪幸田露伴の辞典論と新村出博士の『広辞苑』
    1 幸田露伴の辞典編纂への関心と見識 73
     露伴の高邁な識見と博学ぶり 「雲のいろいろ」 『水上語彙』
     卓抜な『当流人名辞書』 烟と消えた幻の辞書
    2 新村出博士の『広辞苑』 82
     『広辞苑』第一版の序文 周密な眼光をもって徹底的に過誤なきを期す 「止揚」と私の訳語「揚棄」 「疎外」「自己疎外」の訳語の命運
     日本ルネッサンスの欠落 国語辞典と百科辞典

第9章一ディドロ『百科全書』のよりよき理解のために
    1 ドイッ鉱山業のルネッサンス的百科全書とその図録の影響 90
     アグリコラの『デ・レ・メタリカ(金属論)n]と『ディドロ図解百科全書』 ドイッ・ルネッサンスの金字塔1『デ・レ・メタリカ』アグリコラーベーコンーディドロ
    2 ディドロの諷刺小説『ラモーの甥』
     あらすじ 数奇な運命
3 マルクスはディドロに深い理解と関心をもっていた
 マルクスとディドロ
4 マニュファクチュア論争史家と日本ルネッサンス論の欠落
 マニュファクチュア研究に関して 「資料貧血の方法」と「方法貧血の資料」 服部史学批判と『日本ルネッサンス史論』
5 「唯物論研究会」にはメチエの意味がついに理解できなかった
 三木清君のこと 戸坂潤君のこと メチエの意味
6 淡野教授の初期マルクス研究
 俗流マルクス主義の流れ 淡野安太郎著『初期のマルクス』の意義
 パッペソハイム著『近代人の疎外』

第10章一簡野教授の『字源』と諸橋博士の『大漢和辞典』
    1 簡野道明教授の漢和中字典『増補字源』
     経学を講究 物『字源』の特色 「故事成語・地名・人名辞典をも兼ねた」というが…・-
    2 諸橋轍次博士の『大漢和辞典』
     ともに昭和三十年刊の『広辞苑』と『大漢和辞典』 字書ではなく辞書をつくる 東洋史研究にも便利 世界一の規模 「名乗」をも列挙-「カズオ」を例に 人名の取扱いの異同1「曹操」の場合
     「揚州八怪」「魏伯陽」「佐藤一斎」 吻物足りないことー「天工開物」の例など 資料焼失と失明の苦難をこえて 「銖」と「鉞」
    3 日本人名辞典の続出
     人名辞典の趨勢

第11章 「梟」「鴨脚樹・公孫樹」の語釈
   1 辞典は「梟」をどう説明しているか
     『言海』と『大言海』 『広辞苑』と『大漢和』
   2 「イチョウ」を鴨脚樹・公孫樹というのはなぜか
     鴨の脚 吻実は孫の代まで
   3 イチョウの葉の形をうたったゲーテの詩
     西東詩集 イチョウの葉

第12章 吉田東伍博士の『大日本地名辞書』と矢田挿雲記者の『江戸から東京へ』の地・歴誌
   1 『広辞苑』や『大漢和』が人名地名を取入れるに至った気運とその背景
     『大日本人名辞書』と『大日本地名辞書』の出現 百科辞典を要請する時代の気運 三省堂『日本百科大辞典』と平凡社『大百科事典』
   2 吉田東伍博士の『大日本地名辞書』
     十三年の心血を注いだ大著 志賀重昂と坪内逍遙の推薦文 漢字が日本の地名に用いられた場合の特殊な読み方を網羅 「出雲」の語源は
     「名義不詳」 群書渉猟のみによる 『国邑志』と『利根川図志』
   3 矢田挿雲記者の『江戸から東京へ』の地・歴誌 59
     手と足でかく芥と泥で作った深川区小石川の流れ 朱舜水と本郷 矢田挿雲の浮世絵論 伊東玄朴のこと 物東京の都市計画論について

第13章 「康熙字典」以前の漢語字典と山片蟠桃の字書論
    『康煕字典』以前の中国の字書 山片蟠桃『夢ノ代』の字書論 蟠桃の漢字制限論 『玉篇』を精確に伝える弘法大師の『篆隷万象名義』

第14章 字体の変化・乱れと統一
   1 顔元孫編の『干祿字書』と『掌中漢和新辞典』の露伴の序文
    俗字・略字・和字・中国の簡体字 『干祿字書』 『掌中漢和新辞典』の特色-露伴の序から 漢字の将来
   2 幸田露伴の蘭亭文字論 
    『蘭亭叙』の文字 「籔そば」と「藪そぽ」

第15章 語源究明のむつかしさ
   1 方言の語源 86
    メダカの方言「ネンブー」
   2 日本語に隠れた外国語の問題 88
    法本義弘氏の説「けらい」と「にしき」「はた」「ぽんぴき」「まんびき」 「味噌」「むごい」「籔医し「てきぱき」

追補 「和魯通言比考」の著者橘耕斎の数奇なる生涯

あとがき
関連年表



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