#author("2021-04-12T10:32:25+09:00;2020-11-01T17:34:35+09:00","default:kuzan","kuzan")
[[鮎川哲也]]
推理小説


>「言葉はどうでした? なまりはなかったですか、九州弁とか関西弁とか……」
「標準語でした。ラジオのアナウンサーのように、歯切れのいい言葉づかいでした」
「声はどうでした? テノールとかバリトンとか……」
「さあ……、まあ普通ですな」


>九州弁と関西弁をまじえて語るのである。


「はんごうするというのは、都合をつけるという若松弁です」

博多弁でがなりたてて

 刑事がよこからアクセントのつよい高松弁でたしなめると、

 この辺りでは、 「ばってん」を「ばって」と発音するのである。

力行とタ行のかたい発音

>いや、変ったのは食べ物だけじゃありません。早い話が、言葉だってそうです。東京人にも正確な標準語をしゃべれる人は少いですよ。ラジオのアナウンサーの話をきいてごらんなさい。町長夫人というから何かと思うと、これが蝶々夫人のことです。アクセントの区別さえ、あやしくなってきています。こうした遷《うつ》り変りを考えていますとふっとさびしくなって、ひとり取残されたよう気持がするのですよ」


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