#author("2020-08-31T11:56:22+09:00","default:kuzan","kuzan")
橘守部
>http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/kokusyokaidai/k5/kokusyo_ko066.html>
ごじふおんせうせつ
   五十音小説 一帖  橘守部
 五十連音の由來、いろは假名の様、五音十行の等次、音韻略圖、開ロの事。反切、延音等より始めて、體言用言助辭の用法、係結法等を詳説したるものなり。仁孝天皇の天保十三年壬寅〔二五〇二〕二月出版せり。
◎橘守部の傳は『稜威道別』の下にあり。

<<


>http://blog.livedoor.jp/bunkengaku/archives/25104313.html>
五十音小説 語学書一巻
【著者】橘守部
【刊行】著者の女浜の[[天保]]十三年二月の跋がある。その頃の刊行であらう。
【諸本】橘守部全集巻十二所収。
【内容】[[五十音図]]を基として[[国語]]の組織を説いたもので、先づ五十音図は誰の作などと云ふべきものでない。天地・自然の音は皆五十音の中に含まれてゐて、その排列、即ち音図は自然に出来たものである。五十音図は語の延約、活用等の基本になるものであるから、[[歌学]]に志す者はこの図を心得ねばならぬ。次に「いろは」は[[弘法大師]]の真筆から考へると、字は[[漢字]]から出たものではあるが、その形は漢字とは異つて声音と附合してゐる。帥ち「ア・ワ」の如く円体の音は、「あ・わ」と円く書き、「シ」の如く細長き音は「し」と細長く書く。かく声音の体を文字で現はしてゐるのは、世人は気がつかぬが、頗る微妙なことである。次に五十音の縦横の行は、凡て円く連つてゐる。あとおと対し、いとえと相対してゐる。[[あ行]]は[[わ行]]と相隣り、[[か行]]は[[あ行]]を助げ、[[ら行]]は[[や行]]を助け、[[や行]]は[[わ行]]を助け、さたなはまも亦各々助けてゐる。次に[[反切]]の事、[[延言]]の事を記し、次に五十音図の十行の大意及ぴ通音について記し、十行を概括して、「物にたとへて言はば、あ行は君王也。か行以下は侍臣也。やわの二行は棟梁の輔佐也。かくて其[[わ行]]は君の前駆して先に進み、其[[や行]]は後殿して蹤を押へ、[[ら行]]は徒隷の如くにして最後に従へる也。」次に活用について、かさたなはまらの七行について、行ごとに活用の段を五に分けて、「起・未定・既定・命令・休」とし、各段について説明してゐる。次に体用について記し、次に「詞活用格附助辞」の図を記してゐる。図は活用の段を五に分ち、「未然詞・続詞・絶詞・続詞・已然詞」とし、各段から受ける[[てにをは]]を図示してゐる。
【価値】本書の説くところ、五十音図の成立、組織。[[伊呂波]]の字体等についての説は殆ど取るに足らぬものである。又[[活用]]に就いての説は、本書より三十余年前に出た「[[詞八衢]]」(別項)等に比して甚しく劣るものである。従つて本書は[[語学書]]として、本質的価値に於て其殆ど見るに足るものが無い。ただ当時盛んであつた[[音義派]]の説を知るためには、少からず参考になるものである。   〔亀田〕

([[新潮社]]『日本文学大辞典』亀田次郎)

<<

http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/syomokukaidai/ka/kaidai_ka117.html
>>
五十音小説 一巻一冊
 天保の末頃橘守部著。[[橘守部全集]]所収。本書は[[五十音圖]]を基本として[[國語]]の組織を説いたものであるが、その説く所の五十音圖の成立・組織・[[伊呂波]]の[[字體]]等についての説は殆んど取るに足らぬものである。又[[活用]]についての説も本書より已に三十餘年も以前に出た「[[詞の八衢]]」に比して遥に劣るもので、[[語學書]]としての本質的價値は殆んど見るべきものなしと云ふべきである。只當時盛んであった[[音義派]]の所説を窺ふべきものとしては大に參考になるであらう。
(亀田次郎「国語学書目解題」)
<<

トップ   編集 差分 履歴 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS