#author("2022-08-26T12:01:28+09:00","default:kuzan","kuzan")
[[伊藤雅光]]
Jポップの日本語研究
一創作型人工知能のために一

2017年5月25日 初版第1刷
2017年8月10日  第2刷
朝倉書店


第1部 Jポップの言語学
 21世紀に入ってJポップ界に起こった「日本語回帰」現象の実態を明らかにし,その原因を考察する.

 第1章 和風化するJポップ
日本語回帰現象の実態を「中島みゆきと松任谷由実の歌詞テクスト],「ヒットランキン
グ100の歌詞タイトル⊥「ヒットランキング100め歌詞テクスト⊥「戦後ポップス史」
の順に明らかにしていく.さらに,「日本語回帰」現象が発生するまでの戦後ポップス史
における「洋風化」の流れをジャンル別に確認していく.
  1.1松任谷由実と中島みゆきの歌詞テクストにみられる日本語回帰現象  1
   松任谷由実と中島みゆきの歌詞テクストの語種構成比率 1
   松任谷由実の歌詞にみられる日本語回帰現象 2
   中島みゆきの歌詞にみられる日本語回帰現象 3
  1.2 ヒットランキングgooの歌詞タイトルにおける外来語と外国語の増減過程  5
   歌詞タイトルの言語単位6
   タイトル語種とは何か6
   タイトル語種構成比率の変遷7
  1.3 ヒットランキング100の歌詞テクストにおける外来語と外国語の増減過程  8
  1.4 戦後ポップス史における和風化段階モデル  10
  1.5 洋楽カバーポップスの時代  11
  1920年代~1930年代:第一次ジャズブーム期,1940年代後半~1950年代:第二次ジャズ
 ブーム期 11
   1950年代後半~1960年代:ムード歌謡期・第三次ジャズブーム期 12
   1950年代前半~1960年代前半:ラテン音楽ブーム期 12
   1950年代後半:ロカビリーブーム期 12
   1950年代後半~1960年代前半:洋楽カバーポップス時代'13
   1960年代:和製ポップス時代 14
   1960年代後半:グループ・サウンズ時代14
   1960年代後半~1970年代:フォーク時代 15
   1970年代~,2010年代現在:和製ロックンロール時代 15
  1.6 Jポップの時代  16
   1970年代~1980年代:ニューミュ一ジック時代 16
   1990年代~2010年代現在:Jポップの時代 17

 第2章 Jポップはなぜ和風化するか               18
 Jポップはなぜ和風化するかという視点から,「日本語回帰」現象が起こった原因を日本文化論に基づいて考察する.
  2.1 「洋楽離れ」と「邦楽志向」 18
   若者の「洋楽離れ」か,日本人全体の「洋楽離れ」か18
   音楽ヒットランキング100における洋楽のランクイン率の変遷 19
   1981~2015年のレコード・CD洋盤の販売率の変遷21
   ミリオンセラーの時代:1990年代~2000年代前半 23
   1953~1960年の洋盤の盤種別生産枚数比率の変遷 25
   音楽メディアの売り上げからみた「邦楽志向」26
   「洋楽離れ」と「日本語回帰」はなぜ起こったか 28
 [コラム】日本におけるハリウッド映画の興行収入シェアの推移 27
  2.2 日本語回帰説の土台となる日本文化論28
   三島由紀夫の「無の柑禍モデル」28
   河合隼雄の「中空構造モデル」29
   大瀧詠一の「分母分子論」と「ポップス"普動説n」30

第2部 中島みゆきとユーミンの言語学
 中島みゆきとユーミンとでは,どちらの方が語彙が豊かか,二人の「語り」の文体の特徴は何か,そして人称代名詞の変遷からみた二人の創作の秘密を探る.

 第3章 中島みゆきと松任谷由実の歌詞はどちらが豊かか       32
 中島みゆきとユーミンの全歌詞の語彙を文体指標に基づいて分析することにより,.どちらの方が語彙が豊かか,そしてその理由は何かを明らかにする.
  3.1 中島みゆきと松任谷由実の創作力発揮モデル  32    '
   オリジナルァルバム数の比較32
   歌詞数の比較 33
  3.2 中島とユーミンの語彙はどちらが豊かか  34
   語彙の豊かさの指標 34
   TTRの有効性の検証35
   中島とユーミンのTTR比較39
   なぜユーミンの方が語彙が豊かなのか1一リフレインとの関係39
   なぜユーミンの方が語彙が豊かなのかa一語種との関係 40

 第4章 中島とユーミンの「語り」の文体をさぐる         43
まず歌詞の「語り」の文体の体系を構築してから,中島とユーミンの歌詞における人称代名詞の使用比率を比較すること7 二人の歌詞における「語り」の文体の特徴を明らかにする.
  4.1 歌詞の「語り」の文体の体系  43
   対話体43
   独白体45
   歌詞の「語り」の文体の体系と構造 46
  4.2 人称代名詞から中島とユーミンの「語り」の文体的特徴をさぐる  46
   人称代名詞の使用状況と解釈 46
   一人称代名詞の使用状況47
   男性の「語り」49
   男性の「発言」49
   二人称代名詞の使用状況50
   三人称代名詞の使用状況 51
   不定人称代名詞の使用状況 52

 第5章 ナラティブモデルによる中島とユーミンの創作の秘密の解明…・・…54
 心理療法のナラティブモデルを応用して,人称代名詞の変遷からみた中島とユーミンの創作の秘密を探る.
  5.1「ドミナントストーリー(支配的な物語)」と「オルタナティブストーリー(代替的な物語)」とは何か  54
   ナラティブモデルとは何か54
   「語り」における主体の二重性と生成 55
   歌詞の「語り」における主体の生成 55
   日本語の歌詞の「語り」における主体の多重性56
   ナラティブセラピーにおける「ドミナントストーリー」と「オルタナティブストーリー」57
  5.2 中島とユーミンの創作の秘密  57
   中島とユーミンにおける「ドミナントストーリー」と「オルタナティブストーリー」57
   中島における一人称単数の変遷 59
   ユーミンにおける一人称単数の変遷 60

第3部 男歌と女歌のテーマ分析62
 1999~2008年のランキング・ベストワンの流行歌と男性ソングライター7名の歌詞,そして女性ソングライター4名とアイドル歌手2名の歌詞のテーマ分析を行い,さらにテーマの男女差を明らかにしていく.
 第6章 ユーミンは何を歌ってきたか
ユーミンがこれまで発表してきた383作品を対象にしてテーマ分析と,もっとも多いテ一マである「恋」のテーマタイプの体系と構造を構築する.
  6.1ユーミンの「恋」の類型論  62
   ユーミン作品の全体的テーマ63
   「恋」の類型的特徴(1) 「過去・現在・未来」63
   「恋」の類型的特徴(2) 「相思相愛」と「片思い」 64
   「恋」の類型的特徴(3) 「未練」と「非未練」64
   「恋」の類型的特徴(4)「破局への不安」と「現在の冷却」65
   ユーミン作品における「恋」のタイプ体系とその構造 66
  6.2 「恋」のタイプとユーミンソング  67
   ユーミン好みの「恋」のタイプ67
   恋愛過程における「恋」のタイプとユーミンソング 68

 第7章 男性作詞家(シンガーソングライター)は何を歌ってきたか・……・71
 1999~2008年のランキング・ベストワンの流行歌と男性ソングライター7名の歌詞のテーマ分析と,「恋愛」のテーマタイプの体系と構造を構築する.(小椋佳,ミスチル:桜井,ゆず:北川・岩沢,コブクロ:小渕,いきものがかり:水野・山下)
  7.1 流行歌ランキング・ベストワンのソングライターは何をテ≧マにしてきたか 71  
   分析対象とテーマ71
   流行歌ランキング・ベストワンで好まれる「恋」のタイプ72
  7.2 男性ソングライターは何を歌ってきたか  73
   小椋佳は何を歌ってきたか74
   「Mr. Children」は何を歌ってきたか 76
   「ゆず」は何を歌ってきたか78
   「コブクロ」は何を歌ってきたか81
   「いきものがかり」は何を歌ってきたか83

 第8章 女性作詞家とアイドルは何を歌ってきたか         86
 女性ソングライター4名とアイドル歌手2名の歌詞のテーマ分析と,「恋愛」のテーマタイプの体系と構造を構築する.(竹内まりや,ドリカム:吉田美和,aiko, miwa,松田聖子,中森明菜)
  8.1 女性ソングライターは何を歌ってきたか  86
   竹内まりやは何を歌ってきたか86
   「DREAMS COME TRUE」の吉田美和は何を歌ってきたか88
   aikoは何を歌ってきたか90
   miwaは何を歌ってきたか92
  8.2 アイドル歌手・松田聖子と中森明菜は何を歌ってきたか 93
   松田聖子と中森明莱のプロフィール94
   松田聖子のアイドルイメージを形成したソングライター達95
   中森明菜のアイドルイメージを形成したソングライター達96
   松田と中森の全体的なテーマ分析 97
   松田の「恋」のイメージタイプ98
   中森の「恋」のイメージタイプ98
   松田と中森の「恋」のイメージタイプ比較 99

 第9章 男女の作詞家のテーマを比較する              101
 これまでの男女のソングライターとアイドル歌手のデータを比較することにより,テーマの男女差を明らかにしていく.
  9.1 テーマ全体の比較  101
   男性ソングライターのテーマ全体の比較101
   女性ソングライターとアイドル歌手のテーマ全体の比較 102
  9.2 恋愛のテーマタイプの比較  102
   男性ソングライターの恋愛のタイプ比較 102
   女性ソングライターの恋愛のタイプ比較 103
   男性ソングライターと女性ソングライターの「恋愛」のタイプ体系と構造の比較 104

第4部 男歌と女歌の語彙分析
失恋の歌詞における男歌と女歌の語彙的特徴を明らかにしていく.
 第10章 男歌と女歌のことばを計算する
「タイニーコーパス」と「度数順語彙表」の作成方法を説明する.
  10.1 男歌と女歌のタイニーコーパスを作成する  106
   作業過程の概要106
   プレイン・テクストの作成109
   タイニーコーパスまでの作業 112
  10.2 男女別の度数順語彙表の作成  117
  10.3 Jポップソング分析のための品詞論 117
   擬音詞と擬態詞 117
   日英共通品詞論 121
  10.4 品詞構成比率からみた歌詞テクストの表現性  122
   ミクロ分類とマクロ分類の品詞構成比率 122
   男歌と女歌の表現性を計算する一MVRという文章指標 123

 第11章 男歌と女歌のことばを分類する             125
 前章で作成した二つの度数順語彙表を利用して,男歌と女歌の対照語彙表と構造語彙表とを作成する.
  11.1対照語彙表の作成  125
   簡略版対照語彙表の作成 125
   詳細版対照語彙表の作成 130
  11.2 構造語彙表の作成  isa
   構造語彙表と構造度数分布表の共通枠組みシートの作成 131
   構造語彙表の作成 132
   構造度数分布表の作成 134

 第12章 男歌と女歌のことばを分析する135
 前章で作成した構造語彙表の分析法と分析事例とを紹介していく.
  12.1構造語彙表の第一次分析  135
   構造語彙豪の見出し語の多い区画とない区画の分析 135
   基本語彙と特徴語彙の条件 136
   構造語彙表の各区画の性格 136
   語彙分布の分析 137
  12.2 構造語黎表の第二次分析 ・138
   Jポップソングにおける語彙の三分類138
   書き言葉基本語彙の構造語彙表の作成と第二次分析 139
   話し言葉語彙の構造語彙表の作成と第二次分析 141
   テーマ語彙の構造語彙表の作成と第二次分析 143
  12.3 構造語彙表の第三次分析  143
   失恋語彙の意味分野別構造語彙表の作成 143
   失恋語彙の意味分野別分析 146
   男歌と女歌の主要な意味分野 147
   構造語彙表分析法のまとめ 147


第5部 創作型人工知能とは何か
創作型人工知能の原理,研究史そして疑似ユーミンソングの自動生成実験から得られた創作型人工知能の可能性と,その意義について考察する.

 第13章 機械はラブソングを作れるか             149
 筆者が開発した創作型人工知能(創作型AI)の原理と研究史と疑似ユーミンソングの自動生成実験から得られた創作型AIの可能性を考察する.
  13.1 創作型人工知能のしくみ  149
   創作型人工知能とは何か 149
   機械が作ったラブソング149
   テクスト自動生成の原理 151
  13.2 テクスト自動生成の研究史  153
   欧米におけるテクスト自動生成の研究史 153
   日本におけるテクスト自動生成の研究史 154
  13:3 疑似ユーミンソングを生成する創作型
   人工知能システム  156
   対象とした歌曲 156
   三つの歌詞自動生成システム 156
  13.4 創作型人工知能が生成する「テクストらしさ」 157
   結束性とテクスト構造とテーマ性の生成 157
   首尾一貫性の生成 158
   テーマ生成語彙論 160
  13.5 創作型人工知能システムの改良161
   トリグラムによる全自動式システム 161
   「初音ミク」が歌い,「キャラミん」が踊るシステム 162
  13.6 Jポップソングのテクスト構造と曲構造  163            '
   Jポップー般の曲構造164
   ユーミンソングの既成曲の構造とテクスト構造 164
   疑似ユーミンソングの曲構造とテクスト構造165
【コラム】清水ミチコがユーミン風の曲を作って疑似ユーミンソングを歌う 165

 第14章 機械的にラブソングを作る一失恋ソング生成語彙表の使い方…167
 巻末付録の「失恋ソング生成語彙表」をどのように使って,ユーミン風の失恋ソングを機械的に作成していくかを説明する.
  14.1 失恋ソング生成語彙表とは何か
   生成語彙表の元となった歌詞 167
   生成語彙表の構成 167
   日本語の見出し語の代表形 168
   日本語の語形の「ゆれ」と融合形の統一 168
   その他の記号の意味 168
  14.2 失恋ソング生成語彙表による歌詞の自動生成法 169

 終章 歌詞創作型AI研究の意義 172
 次の諸分野からみた歌詞創作型AI研究の意義について考察する.「科学的研究方法,人
文科学,文学研究,感性工学,複雑系,言語学」
  15.1 科学的研究方法からみた歌詞創作型AI  172
   これまでの科学的研究方法一要素還元主義172
   これからの科学的研究方法≧ホーリズム(全体論)173
  15.2 人文科学からみた歌詞創作型AI 173
   人間と機械のテクスト生成過程の関係 173
   歌詞の創作過程とテーマの発生 174
  15.3 文学研究からみた歌詞創作型AI 175
   パリの実験文学グループ「ウリポ」の実践活動のために 175
   現代文学理論の研究のために 175
  15.4 感性工学からみた歌詞創作型Al 176
   人工知能における感情 176
   歌詞創作型AIにおける感情 177
  15.5 複雑系からみた歌詞創作型Al 178
   複雑系とは何か 178
   人工生命からみた歌詞創作型AI 179
   創発システムとしての歌詞創作型AI 180
   自己組織化システムとしての歌詞創作型AI 181
   カオス理論からみた歌詞創作型AI 182
  15.6 言語学からみた歌詞創作型Al 183
   伝統的言語学と複雑系言語学 183
   複雑系言語学の方法論,184
   科学史のなかにおける複雑系言語学の位置 184
   諸科学における知のパラダイム転換の進度 185
  15.7 「クローン人工知能」としての歌詞創作型AI 186
 [コラム]高次脳機能障害と歌詞創作型Al 187

付録 「失恋ソング生成語彙表」
参考文献・楽曲 192
索引 199


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