#author("2020-07-25T19:21:58+09:00","default:kuzan","kuzan")
//<!--  帝国大学文科大学に国語研究室を興すへき儀
//謹て惟るに我大日本帝国の国語は 皇祖 皇宗以来我国民的思想の顕表したる者にして所謂大和民族の精神的血液
//たる者なり 人種の結合之に頼りて鞏固を増し教育の実行之に拠りて国民的性質を帯ふ 故にこれか過去に於ける
//歴史を討究しこれか現在に於ける状況を洞察し 而して後にこれか未来に於ける隆盛を希図するは当に国家の自ら
//為すへき義務と謂ふへし これ立憲の制既に確立し教育方針已に一定せる今日に於て今又更に喋々を要せさる者な
//り 况や帝国の版図新に拡張せられ国光の闡揚実に空前なる際に於てをや 唯此上にて吾輩国民たる者の熱心攻究
//すへき点は如何に其義務を尽すへきかの手段にあり
//帝国大学は国家の須要に応ずる学術技芸を教授し及其蘊奥を攻究するを以て目的とする所なれは即其分科たる文科
//大学は応に進んて此重要なる国語問題を解釈すへき責任を有する所とす 是に於て小官は我文科大学内に其研究室
//を創立し茲に其研究資料を網羅し茲に有為の子弟を教育して緻密なる科学的智識及方法を以て此広大深遠なる事業
//の各方面より漸次|合期《ママ》的の解釈を試み行く事の最良策たることを信す
//
//かくの如にして此研究事業其歩を進め全国の教育これか為に其趣を改め東洋の言語学こゝに其中枢を得るに至らば
//これ帝国の為め世界のため最も慶賀すへき事ならすや
//然れども事は其始を慎む軽挙大事に臨むは危険の甚しき者なり且已に事業に着手する以上は些少の費用を節減して
//他日の発達を妨碍すへきにあらす かくの如きは小官の最も屑とせさる處故に今其第一着として左の予算の下に左
//の数事項を討究する事を始め余は皆他日俊秀の士の起つを待たんと欲す
//伏しで高慮を煩す
//  明治廿八年 月 日(「四月廿九日」ヲ消ス)
//                         文科大学主任(「教授」ヲ改メル) 上田萬年
// 帝国大学総長(「宛」ヲ加エル) 濱 尾  新殿
//
//   研究に関する事項
//一国語に関する著書を網羅しこれを研究室に備へ附くる事
//  附其学科的人名的書名的分類目録を編纂する事及ひ貴重にして且必要なる書籍は出版に従事する事
//   但第一項の事業の一部は既に博言学教室に於て着手し居る者なり  .
//二研究室に当分十二名の研究生を置く事
//   但し学生にして志願する者少き時は有志研究生を募集すへき事
//三文典及大辞典(他日帝国大学に望むへき大事業)の編纂準備に着手すへき事
//四方言攻究の事
//五教育上必要な事項を攻究する事
// 仮令は文字の事仮名遣の事小学生徒に必要なる語彙の事其他読書作文教授法等に関する事項等の如し
//明治三十年度概算書類
//   歳出之部
// 三十年度国語研究室費用ノ概算額
//  俸   給 金九百円 但助手六給二人、九給一人
//  庁費金九百四十三円八十銭
//  旅費金三百円
//  雑給及雑費 金弍百十九円
//   合  計 金弍千参百六拾弍円八拾銭
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