#author("2021-09-28T14:49:04+09:00","default:kuzan","kuzan")
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さくぶんつうへい                   
   作文通弊 寫本一巻  村田春海 ハルミ
 作文上用語の不當を指摘論評したるもの。例へぱ、物徂徠の「孔子賛」に「日本國夷人物茂卿」といへる、また「贈于士茄序」に、天子の御事をさして「共主」といへる、太宰春臺が「相中紀行」中に世々皇帝の額の字の事を記するに「某額は天皇某書」とやうに御諱を書きたること、また服部南郭が、我が國の事を稱するに「勝國國初」等の字句を用ひたる、室鳩巣が「大學新疏」に我が國號を稱して「日東」といひたる事等か國體上より、事實上より非難したるなり。故に本書は始め、「時文摘疵」といひたりし由なり。寛政七年乙卯〔二四五五〕孟秋の著録なる由を記す。
 ◎村田春海は平氏を姓とし士観と字し、平四郎と稱し、[[錦織斎]]また[[琴後翁]]と號せり。[[賀茂眞淵]]に從て我が古言を研究し、また[[服仲英]]、[[鵜士寧]]、[[皆川淇園]]等に就きて儒を學ぷ。故に和漢の學に通じ、兼ねて詩文和歌を善くし、また筆法に巧なり。當時に名を著す。嘗て道を論じて云へることあり、即ち我が國の道とするところに周公孔子の外に、別に太古にとるべきものあらす、和字は固有のものにあらす、漢字を假りて我が國音を充つるなり。衣服冠冕に隋唐の制、百官有司、律令格式に皆唐制か模倣せるなり。故に和學者とに儒者にして我が言語典故に通するものにして歌學者に儒者の見識を知るべきものなり。著書に本書の外に神道志、わかゝつら、歌苑類題抄、和學大概、齊明紀童謡考後案、[[假名拾要]]、[[五十音辨誤]]、椿太詣記、[[假字大意抄]]、[[字鏡考證]]、西土國習考、不問語、明道書、歌語、宇合稱呼考、冷野集拾遺、古人贈答抄、琴後集、錦織雑記、與稻懸大平書、仙語記、筆のさが等あり。文化八年辛未〔二四七一〕二月十三日、六十六にて歿す。

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