#author("2021-10-28T14:04:42+09:00","default:kuzan","kuzan")
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>http://blog.livedoor.jp/bunkengaku/archives/26272388.html>
和字解 わじかい 語學書一卷一册
【著者】貝原篤信(益軒)
【刊行】元祿十二年の自序がある。同年出版か。なほ元文二年版・延享五年版・天保十三年版・明治年間版等がある。明治版は表題を「貝原益軒かなつかひ」と改稱してゐる。又「三十幅《みそのや》」「益軒全集」(明治四十三年刊)等にも收めてある。
【内容】假名遣について説いたもので、初めに假名遣の三要訣を擧げてゐる。即ち「一にはわいうゑお五字の同音の字を、和音五十字の相通によりて、各よろしき所に用ること」(例へば「とらへ」「たくはへ」は「とらふ」「たくはふ」とふに通ふ故に、への字を用ふべし)、これ假名遣の基本であると云ひ、「二には五音の内、こゑの[[輕重]]によりて用る字かはること」(例へば端のいは輕く弱き書に用ひ.中のゐは專一で重き音に用ふ)。「三には開合のかなをかきわくるにあり」(同じくオの長音に發音するもののうち.上にあ列の假名のある開音と、え列又はお列の假名のある合音とを區別する事)と云ひ. 次に、い・ゐ・ひ・ほ・を・お・へ・え・ゑ・う・ふ・は・わ等の假名について、端・中・奥・前・後の五類を立てて(端・奥・前・後等はいろはの順序に依って云ふ)、實例を擧げて説明してゐる。併し延享五年版のみは全く組織を變へ.問題になる語をイロハ順に排列してゐる。

【價値・影響】本書の假名遣法は.自序の中に「探舊説之可用者、且考於日本紀萬葉集和名抄古今和歌集等之古書、訂之以和音五十字、間加臆説云云」と云つてゐるが、舊説の用ふべきものを採るとは、所謂定家假名遣であり、「萬葉」「日本紀」等の古書を考へるとは、契沖等の歴史的假名遣の主義であつて、この兩者を折衷したもののやうに見えるが、併し歴史的假名遣主義の精神をどれだけ理解してゐたかは疑問である。本書の假名遣法は常時に於ては穩當なものと認められ.廣く行はれたやうである。
同時に本書に批判を加へたものも出た。即ち[[服部誾笑]]の「假名遣問答抄」(寛保元年刊)は、本書(この書では「或書」として書名を明示してゐない)は當時の假名遣書中.最も秀でたものであるから、世人のためにその書の非のあるところを指摘するものであるとして、所々に本書の説を引いてこれに反駁を加へてゐる。本書は 又、文雄の「和字大觀抄」(別項)にも相當影響を與へてゐることが認められる。   〔龜田〕
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和字解 一巻一冊
 元祿十二年頃貝原篤信著。元文二年刊本、延享五年刊本、明治刊本等がある。本書は假名遣について記したものであるが従來和歌者流の間に用ひられてゐた所謂語勢的假名遣の方法を採用すると同時に契沖等の歴史的假名遣法をも考へ合せて兩者を折衷してゐる。隨ってその所説は穏當なものとして當時廣く行はれた様であるが、その價値は語勢的假名遣よりも一歩進んだ程度のもので歴史的假名遣よりも一歩劣るものである。
(亀田次郎「国語学書目解題」)
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http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ho02/ho02_04725/
http://opac.ndl.go.jp/recordid/000000910522/jpn (明治印 延享版の後印)


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