#author("2025-07-26T22:44:29+09:00","default:kuzan","kuzan") #author("2025-08-13T20:34:02+09:00;2025-07-26T22:44:29+09:00","default:kuzan","kuzan") [[横光利一]] [[「文芸作品の関西弁」]] http://web.archive.org/web/20040930180111/http://csx.jp/~amizako/yokomitsukazokukaigi.txt 東京へ出て来ると忍はいつの間にか[[東京弁]]になる癖があったが、ガードの下をくぐって日本橋の方へ突き抜けていくころには、そろそろ忍の[[大阪弁]]も[[東京語]]に近づき始めた。 軽井沢の|万平《まんぺい》ホテルヘ出かけて来た。二人は去年もここへ来たけれども、そのときはすぐ信州の野沢へ廻った。一年の違いで万平の客たちの言葉はめっきり[[大阪弁]]が増えていた。 忍の東京弁が妙にあどけなく響いたので、春子は一寸|軽蔑《けいぺつ》した微笑を浮べ 忍の[[東京弁]]が妙にあどけなく響いたので、春子は一寸|軽蔑《けいぺつ》した微笑を浮べ 春子は大阪弁を|真似《まね》て云った。 春子は[[大阪弁]]を|真似《まね》て云った。 「ぜんざい、おくれ」 と大阪弁で|註文《ちゆうもん》した。すると、花十の眼は急に高之に向って光り出した。高之はさも初めてのように、じろじろ泰子の顔や着物を|眺《なが》め廻してから、|顎《あご》をなでつつ花十の顔も眺め廻した。 「このごろは東京の人も、なかなか大阪弁がうまなったな」 と[[大阪弁]]で|註文《ちゆうもん》した。すると、花十の眼は急に高之に向って光り出した。高之はさも初めてのように、じろじろ泰子の顔や着物を|眺《なが》め廻してから、|顎《あご》をなでつつ花十の顔も眺め廻した。 「このごろは東京の人も、なかなか[[大阪弁]]がうまなったな」