安米都知誦文考
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伴信友
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○安米都知誦文考
ある遠き国人の源順朝臣ノ家集に、あめつちの歌といふがある...
天保十二年正月廿七日
源順朝臣家集云、〔割註〕此集三十六人集、(また歌仙家集と...
あめつちの歌四十八首
もと藤原の有忠の朝臣藤六なむよめるかへしなり。かれはかみ...
春
あらさじとうちかへすらんをやま田の苗代水にぬれてつくるあ
めもはるに雪まもあをくなりにけり今日こそ野辺に若なつみてめ
つくは山さける桜の匂ひをはいりてをらねどよそながらみつ
千ぐさにもほころぶ花の匂ひかないづら青柳ぬひし糸すぢ
ほの%ヽと明石の浜を兒わたせは譽の波わけいづる船のほ
しづくさへ梅の花がさしるきかな雨にぬれじときてやかくれし
そら寒み結びし氷うちとけていまやゆくらむ春のたのみぞ
らにもかれきくもかれにし秋の野のもえにけるかなさほの山づら
夏
山も野も夏革しげく成にけりなどかまだしきやどのかるかや
待人も見えぬは夏も白雪や猶ふりしけるこしのしらやま
かた戀に身をやきつゝも夏虫のあはれわびしき物をおもふか
はつかにも思ひかけてはゆふだすき賀茂の河波立よらじやは
身をつめは物思ふらし郭公なきのみまどふ五月雨のやみ
ねをふかみまだあらはれぬあやめ單人を戀ちにえこそはなれね
たれによりいのるせゞにもあらなくにあさくいひなすおほぬさ...
庭みればやほたでおひて荒にけりからくしてだに君がとはぬに
秋
呉竹のよさむに今はなりぬとやかりそめぶしに衣かたしく
最上河いな舟のみはかよはずておりのぼりなほさわぐあしかも
昨日こそゆきて見ぬほどいつのまにうつろひぬらんのべの秋萩
りうだうも名のみなりけり秋の野の千草の花のかにはおとれり
結びおきししら露を見る物ならばよるひかるてふ玉もなにせむ
ろもかぢも船もかよはぬ銀河たなはたわたるほどやいくひろ
木のはのみふりしく秋は道をなみわたりぞわぶる山川のそこ
今朝みればうつろひにけり女郎花われにまかせて秋ははやゆけ
冬
日をさむみ氷もとけぬ池水やうへはつれなくふかきわがこひ
とへといひし人はありやと雪分てたづねきつるぞ三輸の山本
いづみともいざやしら波たちぬれてしたなる草にかけるくものい
ぬるごとに衣をかへす冬の夜に夢にだにやは君が見えこぬ
うちわたしまつあじろ木のいとひをのたえてよらぬはなぞやこ...
へびゆみのはれるにもあらでちる花は雪かと山にいる人にとへ
すみがまのもえこそまされ冬さむみひとりおもひのよるはいも...
ゑごひする君がはしたかしもがれの野になはなちそはやくてに...
思
夕さればいとゞわびしき大井川かゞり火なれやきえかへりもゆ
わすれずもおもほゆるかな朝な〳〵ねしくろかみのねくたれの...
さゝがにのいをだにやすくねぬころは夢にも君にあひみぬがうき
るり草の葉におく露の玉をさへものおもふ時はなみだとぞ見る
思ひをもこひをもせゞにみそぎすとひとべたなでゝはらへては...
吹風につけても人を思ふにはあまつそらにも有やとぞ思ふ
せをふちにさみだれ川の成ゆくはみをさへうみに思ひこそなせ
芳野河そこのいは波いはでのみくるしや人を立居ごふるよ
戀
えもいはで戀のみだるゝ心かないつとやいはにおふるまつがえ
残りなくおつる涙は露けきをいづら結びし草むらの野の
えもせがぬ涙の川のはて〳〵やしひて戀しき山はつくばえ
をぐら山おぼつかなくもあひみぬかなくしかはかり戀しき物を
なきたむる涙は袖にみつしほのひるまにだにもあひみてしがな
れうしにもあらぬ我こそ逢ことのともしのまつのもえこがれぬれ
ゐてもこぴふしてもこふるかひもなく影あさましくみえぬ山の井
照月ももるゝ板間のあはぬよはぬれこそわたれかへすころも手
今まづ件の端詞の意を按ふるに、そのかみ四十七音を物事の言...
あめつちほしそらやまかはみねたにくもきりむろこけひといぬ...
<!--大矢の引用ここから-->然るに戀部えの位にえもいはで云々...
あるところに庚申の夜、あめつちをかみしもにてよむとてよ...
春
あさみどり春めづらしくひとしほに花のいろますくれなゐのあめ
つきもせぬ子の日の千世を君がためまつひきつれむ春の山みち
はかよりはのどけき宿の庭さくら風のこゝろもそらこよくらし
そのかたとゆくへしらるゝ春ならば関すゑてまし春日野のはら
夏
やどちかき卯の花かげは波なれやおもひやらるゝ雪のしらはま
かたらはゞをしみなはてそ時鳥きゝながらだにあかぬこゑをば
みしまえの玉江のまこも夏がりにしげくゆきかふをちこちのふね
たぎつせによどむときなくみそぎせむみぎは陳しきけふのなご...
秋歌闕
冬
むしのねも秋すぎぬれば單むらにこりゐる露の霜むすぶころ
のはもる時雨ばかりのふるさとは軒のいたまもあらしと思ふを
えこそねゝ冬の夜ふかくねざめしてさえまさるかな袖のこはりの
えださむみつもれる雪のきえせねば冬と見るかな花のときはを
今按るに、あめつちの文を、歌の首尾にすゑてよまむには、二...
あめつちはしそらやまかはみねたに欠四首むろこけ。〔割註〕...
かゝれは順集と文の次第の異なると、又連語の異なるところも...
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○安米都知誦文考
ある遠き国人の源順朝臣ノ家集に、あめつちの歌といふがある...
天保十二年正月廿七日
源順朝臣家集云、〔割註〕此集三十六人集、(また歌仙家集と...
あめつちの歌四十八首
もと藤原の有忠の朝臣藤六なむよめるかへしなり。かれはかみ...
春
あらさじとうちかへすらんをやま田の苗代水にぬれてつくるあ
めもはるに雪まもあをくなりにけり今日こそ野辺に若なつみてめ
つくは山さける桜の匂ひをはいりてをらねどよそながらみつ
千ぐさにもほころぶ花の匂ひかないづら青柳ぬひし糸すぢ
ほの%ヽと明石の浜を兒わたせは譽の波わけいづる船のほ
しづくさへ梅の花がさしるきかな雨にぬれじときてやかくれし
そら寒み結びし氷うちとけていまやゆくらむ春のたのみぞ
らにもかれきくもかれにし秋の野のもえにけるかなさほの山づら
夏
山も野も夏革しげく成にけりなどかまだしきやどのかるかや
待人も見えぬは夏も白雪や猶ふりしけるこしのしらやま
かた戀に身をやきつゝも夏虫のあはれわびしき物をおもふか
はつかにも思ひかけてはゆふだすき賀茂の河波立よらじやは
身をつめは物思ふらし郭公なきのみまどふ五月雨のやみ
ねをふかみまだあらはれぬあやめ單人を戀ちにえこそはなれね
たれによりいのるせゞにもあらなくにあさくいひなすおほぬさ...
庭みればやほたでおひて荒にけりからくしてだに君がとはぬに
秋
呉竹のよさむに今はなりぬとやかりそめぶしに衣かたしく
最上河いな舟のみはかよはずておりのぼりなほさわぐあしかも
昨日こそゆきて見ぬほどいつのまにうつろひぬらんのべの秋萩
りうだうも名のみなりけり秋の野の千草の花のかにはおとれり
結びおきししら露を見る物ならばよるひかるてふ玉もなにせむ
ろもかぢも船もかよはぬ銀河たなはたわたるほどやいくひろ
木のはのみふりしく秋は道をなみわたりぞわぶる山川のそこ
今朝みればうつろひにけり女郎花われにまかせて秋ははやゆけ
冬
日をさむみ氷もとけぬ池水やうへはつれなくふかきわがこひ
とへといひし人はありやと雪分てたづねきつるぞ三輸の山本
いづみともいざやしら波たちぬれてしたなる草にかけるくものい
ぬるごとに衣をかへす冬の夜に夢にだにやは君が見えこぬ
うちわたしまつあじろ木のいとひをのたえてよらぬはなぞやこ...
へびゆみのはれるにもあらでちる花は雪かと山にいる人にとへ
すみがまのもえこそまされ冬さむみひとりおもひのよるはいも...
ゑごひする君がはしたかしもがれの野になはなちそはやくてに...
思
夕さればいとゞわびしき大井川かゞり火なれやきえかへりもゆ
わすれずもおもほゆるかな朝な〳〵ねしくろかみのねくたれの...
さゝがにのいをだにやすくねぬころは夢にも君にあひみぬがうき
るり草の葉におく露の玉をさへものおもふ時はなみだとぞ見る
思ひをもこひをもせゞにみそぎすとひとべたなでゝはらへては...
吹風につけても人を思ふにはあまつそらにも有やとぞ思ふ
せをふちにさみだれ川の成ゆくはみをさへうみに思ひこそなせ
芳野河そこのいは波いはでのみくるしや人を立居ごふるよ
戀
えもいはで戀のみだるゝ心かないつとやいはにおふるまつがえ
残りなくおつる涙は露けきをいづら結びし草むらの野の
えもせがぬ涙の川のはて〳〵やしひて戀しき山はつくばえ
をぐら山おぼつかなくもあひみぬかなくしかはかり戀しき物を
なきたむる涙は袖にみつしほのひるまにだにもあひみてしがな
れうしにもあらぬ我こそ逢ことのともしのまつのもえこがれぬれ
ゐてもこぴふしてもこふるかひもなく影あさましくみえぬ山の井
照月ももるゝ板間のあはぬよはぬれこそわたれかへすころも手
今まづ件の端詞の意を按ふるに、そのかみ四十七音を物事の言...
あめつちほしそらやまかはみねたにくもきりむろこけひといぬ...
<!--大矢の引用ここから-->然るに戀部えの位にえもいはで云々...
あるところに庚申の夜、あめつちをかみしもにてよむとてよ...
春
あさみどり春めづらしくひとしほに花のいろますくれなゐのあめ
つきもせぬ子の日の千世を君がためまつひきつれむ春の山みち
はかよりはのどけき宿の庭さくら風のこゝろもそらこよくらし
そのかたとゆくへしらるゝ春ならば関すゑてまし春日野のはら
夏
やどちかき卯の花かげは波なれやおもひやらるゝ雪のしらはま
かたらはゞをしみなはてそ時鳥きゝながらだにあかぬこゑをば
みしまえの玉江のまこも夏がりにしげくゆきかふをちこちのふね
たぎつせによどむときなくみそぎせむみぎは陳しきけふのなご...
秋歌闕
冬
むしのねも秋すぎぬれば單むらにこりゐる露の霜むすぶころ
のはもる時雨ばかりのふるさとは軒のいたまもあらしと思ふを
えこそねゝ冬の夜ふかくねざめしてさえまさるかな袖のこはりの
えださむみつもれる雪のきえせねば冬と見るかな花のときはを
今按るに、あめつちの文を、歌の首尾にすゑてよまむには、二...
あめつちはしそらやまかはみねたに欠四首むろこけ。〔割註〕...
かゝれは順集と文の次第の異なると、又連語の異なるところも...
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