平野彦次郎「徳川時代に於ける助字・虚字・実字の著書に就て」
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[[平野彦次郎]]
徳川時代に於ける[[助字]]・[[虚字]]・[[実字]]の著書に就て
(上)斯文(第九編・第九号)昭和二年九月一日発行
(中)斯文(第九編・第十一号)昭和二年十一月一日発行
(下)斯文(第九編・第十二号)昭和二年十二月一日発行
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勉誠社文庫59『助辞訳通』(勉誠社 1979.4)に再録
// 一 緒 誚
// 徳川時代に於ける助字・虚字・實字の著書は、大抵同訓異...
//ので、厨訓異義の研究といふ題にせんかとも思ひましたが、...
// 同訓異義の文字が、何故にかく多數にあるかは、勿論種々...
//に、我が國語に之に對する適切な言葉がなく、正確に訓する...
//ら瀚oそれでは煩雜に堪へないので已むを得す路ぼ類似した國...
//ふのが典の圭なる原因であらう。伊藤東所が「如二本邦之訓→...
//v能「無v錯」・といって居るのもそれである、 又は一箇の...
//れぞ軸の訓を附してあるのに、實際は普遯に讀み慣らされた...
//居る爲、同訓異義の數を培したといふ點もあらう。兎に角同...
//は必要なことではあるが、それにも
// (イ)本來の意義を異にし、隨つて其の用法も全く異なるものo
// (ロ)本來の意義は異なれども、其の用法には區別する場合...
// (ハ)字義には差別はないが、地方により用法の別ある爲、...
// (二)字義は同じであるが、時代によつて變遷ある爲、別義...
// (ボ)本來の意義用法に大差ぱないが、偶然用法を異せる例...
// (へ)同一の句が兩書に記載せられて、共の中=一の文字を變...
//等があつて、其の辨別は甚だ容易でない○而して之を説朋した...
//て説明して居るが、其の助字・虚字。實字とは如何なるもの...
// 伊藤東涯の助字考の序には、
// 文有虚箕而實爲v圭虚爲"賓.天地日月山川草木、字之實者也...
// 也.所下以道昌賓圭之際嚇逋舮虚實之用占者、共助辭乎.
//とて助字・虚字・實字の三者に對する説明を與へて居る。是...
//類である。然し操觚字訣の字例には、助字の外に語辭といふ...
// 凡文字、而於乎哉ノ類ヲ助字ト云フ、文章ノテニハナリ、...
//といふのである。夂物徂徠も四種に分類して居る。譯文筌蹄...
// 是編有形状字面看昌作用字蚕有二聾辭字壷有物名字面〜詩...
//といひ、凡例には更に之を説明して、
// 是編部目.有出宇虚字い即題言所v謂形状字面是也.有呂虚字...
// 名字面是也、有助字ハ即聾辭字面是也.
//といつて居る。東涯の説に比すると、虚字を「虚字(圭として...
//た點が異つて居る。而へ訓譯示蒙の卷首には更に細かに之を...
// 字義ノ大綱ヲ云フニ字品ト字勢ト云フコトアソ、字品ハ字...
//今、徳川時代の書中に見えたる助字。虚字・實字を概記する...
// 助字(助辭・助語とも書す)圭としては恕契却引.乎釧軅等〆...
// 期等の代名詞をも含み、甚だしきは望到瓔等の如き動詞を...
//---------------------[End of Page 4]---------------------
// く助字の外に語辭といふ名目を置いて居る)
// 虚字 主として思想憶懐念や善し好し等の動詞形容詞であ...
// 觚字訣には、動詞形容詞中の入事に關する語のみを虚字...
// して居る)
// 明清の人の著書には、助字のことを虚字と稱して居る...
// 實字 主として名詞で、それに測剥口禦予洳爾等の入稱代...
//斯く内容に出入のあるのは、種々の原因に基くのであるが、...
// 但是編圭意、元在二同訓異義之辨薊同訓所v牽虚或人二宇虚...
// 往々有v之、而絡不v能二逐一精選以從嵩本類一者.爲y是故...
//と云つて居る。已むを得ない次第である。
// 此の同訓異義の字に就いて、其の異同を辨せんとせば、如...
//の結果此の混同を生じだとせば、支那に於て同訓の文字を類...
//つて各時代に出でたる諸種の字書を參考するより外はないが...
//の此の要求に滿足を與へることは困難である、今説文に説く...
//走趨也 趨走也 奔走也
//倚依也 依倚也
//の如き次第で、↓ハ書故にも
//---------------------[End of Page 5]---------------------
// 凡文各有v義、以v彼喩v此、終不昌親切「説文依倚互相釋....
//といつて居る。是れでは劉別の爲し樣はない。後世の字書も...
//字を類排しては居ない。然し稀には爾雅や釋名の如き書も無...
// 初哉首基肇祀元胎俶落權輿始也(釋詁上)
// 印吾台予股身甫言我也(釋詁下)
// 懐惟慮願念怒思也(釋詁下)
// 大波爲v瀾、小波爲v淪(釋水)
// 大陸日v阜.大阜日v陵、大陸貝阿、可v食日v原(釋地)
//といふ風に類列してある○説明はないが、注疏等によれば其の...
//は
// 山産也.産二生物一也,土山日v阜、阜厚也.言告同厚庖.大阜...
// 也.在ゾ上之言也、山大而高日v嵩、嵩煉也、亦高稱也、山...
// 江公也、小水流入昌共中「公共也.河下也、隨地下處「而逋...
// 念黏也.意相親愛、心黏着不v能v忘也.憶意也、恒在「意中...
// 也、(釋言語)
//釋名の方は説明があろので、大分辨別の參考になる。然し全...
//つて是等の字書を根篠とし、多く古書中の用例を綜合し、諸...
//はないのである。然らば我が國の先儒は之に謝して如何なる...
//
// 二 徳川時代初期の概況
//
// 我が國漢籍の傳來久しく、詩文も相當に作られて居たが、...
//専書は見當らない。徳川時代に入つても、特に我が邦儒の著...
//る。重野博士も操觚字訣の序に
// 中古以前之學者、皆用昌力於此茹二源順和名鈔是也、而未...
// 者図有v之蓋從昌正亨諸子「始、諸子中又以噂東涯徂彼二子...
//と云つて居られる逋り、實に徂徠東涯を以て第一としなけれ...
//共に助虚字に關する著逋、而も我邦最初の著述があつたのは...
//庵門下に於ても、右と相前後して著邇された。即ち三宅觀瀾...
// 尤も此の三家以外にも助字の事を書いたものが全然無いの...
//問題であるから、多少の考慮は拂はれ、又多少の意見は有つ...
//なかつた。其の一二の例を擧げれば、藤原惺窩の|文章逹徳録...
//部に、助語といふ一項があつて四箇の例が擧げてある。例へば
// 論語日.子日.學而時習v之、不昌亦説一乎.
// 學時習説四字、是實字、而之不亦乎五字、是助語.
//といつて、實字と助字との別を示してある。又字法の部には...
//---------------------[End of Page 7]---------------------
//し、又羅大經が詩に助語を用ふる法とて、六箇だけ古人の句...
//は
// 吾邦人之作女字也.讀v之不v能v無二顛倒只中略)且不v諳y有...
// 老師宿鑑布置處字之間不v竟v有一顛倒錯鞏豈非脅而不7察乎。
// 豈字、字書以爲`非v然之壁篤信謂.又有事可v爲二疑問之辭...
// 以致v危、注、呂延濟日豈自發問也、篤信謂、論語入侑篇、...
// 附薈共説歟.此類亦多矣、是不v可v爲昌非v然之辭苛v爲輔倉...
//等の説があつて、一箇の見識を具へて居られるが、助字の著...
// 諸學者が多く此の程度であつたのに、徂徠東涯觀瀾諸家の...
//其の學問の趨向と其の人の圭張とが自ら然らしめた者ではあ...
//原因が無いとは云へない。
// 三 助語辭の影響
// 支那には、我が國の所謂同訓異義の文字を王として、類排...
//が、跳ハの助字を解したものには、幾分參考すべきものがあ...
// 助字の使用は、支那人の方が我が邦人よりは悟り易い筈で...
//自然之を説く必要が生じたのである。特に助字に關する專書...
//といふ語ぱ、漢以前に既に見えて、禮記檀弓上の「母唱從從...
//---------------------[End of Page 8]---------------------
//書してある。又梁の周興嗣の次韻せる千字文には、
// 謂昌語助鱒者、焉哉乎也.
//とあつて、當時既に語助が注意されたことが知られる○唐の代...
// 但見二生用一助字h丕當二律金唯以v此奉答、所v謂乎歟耶哉...
// 則ア之、
//といつて居る。助字の使用は時代によつて多少の相違があつ...
//も分らなかつたとは、聊か意外に戚せられる程である。此の...
//説いた書には屡ζ引用されて居る.、
// 宋の代に至つて陳驟の文則が出た。此の書は元來文の法則...
//理例の如きは、此の書に胚胎した點が多い樣に思はれるが、...
//齋の冠解助語辭等に文則の説を引用して居るのでも分る。又...
// 歐蘇文名噪昌海内h古則蕩然、宋之弊也.陳驥生二其間「心...
// 矢矣.
//と云つて居るのを見ても、此の書が愛讀されたことが分る。...
// ◎助語辭一卷 明 盧允武著
//を推さねばなら濾。此の書は助字百餘字を選びて其の意義用...
//が國の助字研究には非常に影響を與へたもので、毛利貞齋は
//---------------------[End of Page 9]---------------------
// 盧允武所y著助語辭、寔是雖電冊小葉莢範龜鏡、不v爲び不...
//と云つて居る。共の著者盧允武の事歴は詳かでないが、胡文...
// 一日偶得盧允武所v著助語一帙一覽ソ之深恢二鄙懐ハ途不敢...
// 世焉.
//とあり、序文の成りしは萬暦壬辰(二十年、我が文祿元年)な...
//初で、盧允武も或は萬暦に近い頃の人なりしならんと思はれ...
//利貞齋は
// 傳不v見. 予往年長崎の耆老の物語を聞くに、賈人にて時...
//といつて居る。ヌ
// 文會堂は、胡氏が書堂の號なり。此の人諸書を印板に行は...
//とも云つて居るG而して貞齋の舉げたる諸書、及び陳驥の文則...
//叢書中にあるから、右諸書は大凡同時に渡來したるなるべく...
//して差支ば無からう。
// 我が國の刻本も、新刊助語辭の卷首には、盧允武著胡文煥...
//---------------------[End of Page 10]------------------...
//した事は明自であるが、漢籍解題に擦れば、延寳二年の翻刻...
//語辭解(別に解がある譯ではない)と題し、中村敬宇博士の序...
//文には
// 往自マ盧氏者一唱昌助語辭「而踵v跟撰述者.無慮数十家、...
//を刺戟し、助字研究の氣運を促進したことも略ぽ想像される○...
// つ鼇頭助語辭二卷 毛利貞齋著
// 一名、重訂冠解助語辭、又、重訂培廣冠解引證擧例助...
//貞齋の跋に
// 引證少.舉例稀.後生憾ソ難二通暁h予往昔應昌家童之扣問¶...
//と云つて居る迥り、原書が簡に過ぐるが故に、其の説明に就...
//のである。此の書は天和三年即ち新刊助語辭が始めて印刻さ...
//三十五年を經て文字漫滅したので、更に多少の増訂を加へて...
//に歡迎されたかを知ることが出來る。
// 鼇頭助語辭の再刻に先つこと九年、即ち寳永五年に、毛利...
// ◎訓蒙助語辭諺解大成四卷 毛利貞齋...
//の著がある。此の書を冠解助語辭と封照するに、其の詳悉の...
//る。冠解は漢文で、一字毎に諸書を引證して、博く集めてあ...
//---------------------[End of Page 11]------------------...
//參考に供すべきものである。諺解の方は假名交りで處々に概...
//しめんとした者である。又冠解は原本を圭として居るが、諺...
// ◎廣盆助語辭集例三卷 三好似山編集
//此の書は元祿七年の刊行で、凡例に
// 凡盧氏所ソ載之字辭.僅一百有籐、今所二増盆「者一千有除...
// 切昔h又依[若干韻書「抑訓詁一以便攻考一也.
//とある逋り、原書より十倍も増加して居る。又其の舉例につ...
// 凡毎字舉v例者、皆以わ所v在二於四書五經一者上載v之.無...
// 前後之一兩句轂v之、欲v使二見者有v所v考而易・曉也、
// 凡有異字而同意者、意異而字同壷今集典類「分v之、以載二...
//と云つて居るので、本書の大體を知ることが出來る○要するに...
//く蒐めたことは多とすべきであるが、一家の見として諸説を...
//點はない。
// ◎助語辭考録大成一冊 穗積以貫 撰
//此の書は原本の説朋を共儘に書し、共の説を某礎として自家...
//余の藏せるは寫本で序跋がないが、何れ元祿から享保頃の間...
// 以上舉げ驚四書の内には、一箇の成書として別名を附し得...
//---------------------[End of Page 12]------------------...
//居るので、獨立した邦入の著書とは云へない。此の如く助語...
//が、固より簡箪な小册子で、共の説に滿足し難い點あるは勿...
// 世有昌盧氏助語辭h蓋擾乏郷里小兒ハ以便吾伊一耳.而世獪...
// 筏、莫一此若一也膚淺之書.見以爲昌金科玉條「今且指二點...
//とて之を論じて居る。かゝる非難あるは、却て助語辭の盛行...
// 四 明清人の著書
// 序に我が國先儒の參考せし支那の著述を記して見よう、
// ◎操觚字要 明 李廷機
// ◎操字法 湯 賓 尹
//右二書は東涯等の參考したものであるが、余は未だ見ない。...
//貞齋の冠解助語辭の如きには、殊に多く引用されて居る。そ...
//は、助語辭よりは詳細である。
// ◎文字竅 }卷 石成金...
//助字を、起語(爿劃の類)、接語(此是則の類)、轉語(姻國躙の...
//て説明してあるo我が國では寛政六年に岡田挺之の序を添へて...
// ◎虚字啓蒙}卷 清 王濟師著
// 此の書より以下三書に虚字と穩するは、皆助字のこ乏で...
//---------------------[End of Page 13]------------------...
//此の書は助語辭等と同じく例を畢げないで、唯意義用法だけ...
//生著として天保亠ハ年に山本北山の詩用虚字と共に合刻して...
// ◎虚字説一卷 清 袁仁林著
//右の虚字啓蒙と相似た書で、字數も百蜍字しかないo
// ◎虚字註釋備考亠ハ卷 清 張文炳點定
//此の書は⊥ハ卷といへば、内容も豐富の樣であるが、實は一卷...
//冊子である。起語、接語、轉語、襯語、束語、歇語の六類に...
//第四類までの名は全く同じく、而も各類の説明、例へば「起...
//いふが如きは殆んど同一である。此の點より考へると、文字...
//し各助字の説明は決して前者を套襲したものではない。
// 此の書は嘉永四年に安積艮齋の序文を添へて翻刻され、艮...
// 盧緯助字解甚疏.王引之經傳釋詞備矣、而非以昌作文驅爲シ...
// 博議麟者幽設.以爲鵠擧業之資h共詮釋簡明、有v裨手操觚匪...
//とあつて、盧允武の助語辭も此の頃には餘り喜ばれない樣に...
//も助語辭に比して甚だしく優つて居るとは思はれない。
// 〔附記〕 此の書は舶來の東莱博議の末に附載してあつた...
// 四年より以前(寛政十二年)に既に刻本がある。それは
//---------------------[End of Page 14]------------------...
// ○虚字註釋備考考證九卷 山世孺仲直...
// で、原文の説明に對して一々經史の句を引いて用例を示...
// て垉補した所がある、
// ◎經傳釋詞十卷 清 王引之著
//此の書は王引之の序中に
// 自昌九經三傳ハ及二周秦西漢之書h凡助語之文.偏爲昌探討...
// 十字.前人所v未v及者補v之.誤解者正v之.共易v曉者.則略而...
//とある逋り、助字百六十字に就き、經傳の例を擧げて詳細に...
//は、全く前數書の比ではない。我が國では天保十二年に東條...
//た。隨って東條父子の著たる助辭新譯には、此の書を引用し...
//〔附記〕
// ○經詞衍釋十卷 補遺一卷 清 呉昌瑩...
// 此の書は同治十二年の出版で、經傳釋詞に説いた百六十...
// 詞日」として王引之の説を引き、次に「衍日」として釋...
// ものである。補遺は釋詞に舉げない助字二十三、例へば...
// るo
// O經傳釋詞補一卷 清孫經世撰
//---------------------[End of Page 15]------------------...
// 此の書は光緒十四年の出版で、釋詞に載せた百六十字中...
// いて、更に例證して意見を述べ幻者である。
// ○經傳釋詞再補一卷 清 孫經世撰
// 此の書は光緒十一年即ち前の補より以前に出版されて居...
// 一字の説朋が二十餘枚に亙つて居るのもあつて、頗る詳...
// ◎助字辨略五卷 清 劉淇撰
//助字を四聾の各韻に分つて排列してある、經傳釋詞と比較す...
//上つて居るが、一字の説明は釋詞よ6簡なる所がある。其の刊...
//三年に先だつこと八十七年であるが、其流傅は釋詞に及ばな...
//b影響を與へて居ない樣である。
// ◎虚字用法 清 唐彪撰
//此の書は明治九年に岡三慶氏が選逋されだ、作文用字明辨の...
//者で、或は參考に値するかとも思はれるが、未だ見ないo是れ...
//置く。
// 五 觀瀾・徂徠・東涯・友竹
//以下我が國先儒の著書を逋べるのであるが、先づ左の書より...
// ◎助字雅 一卷 三宅觀瀾著
//---------------------[End of Page 16]------------------...
// 此の書は元祿十二年即ち觀瀾の二十五歳の時の自跋があるo...
//十五亠ハ歳の時で元祿の初年である(出版はそれより二十年も...
//のは二十歳前後で、其の自序を書い花のは二十四歳の時、是...
//た一箇の書として編逋したのが何れも元祿の頃で、而かも何...
//は、誠に奇とすべきである。
// 此の書は文化五年に薩藩府學で出版した者及び傳寫の者に...
//に刻したのは助字雅と題して居る。(明治十年出版の者には飜...
//上改めたものであらう)。即ち書名が兩樣になつて居るが、其...
//漢文で説明し、其の部分を助字雅と名づけてある。他の一部...
//る。甘雨亭叢書の本は漢文の部分のみであるから、自然助字...
//又其れに依つて名を冠したのであらう。唯薩藩出版の者は右...
//'附し、次に假字文の説明を附してある.、是れは繙讀の便を...
// 説明は漢文の部は、李廷機の操觚字要、盧允武の助語辭、...
//部は我が俗語に封譯して説いてある。殊に輝幽期飆、初葡劉...
//見ることが出來る。但し何れも説明のみで用例はないc
// ◎譯文筌蹄 六卷 ...
// 此の書は徂徠二十五六歳の時ロ授したのを門人等が筆記し...
//---------------------[End of Page 17]------------------...
//例があるから、徂徠の四十五六歳の頃に出版しだものであら...
//書目記には、
// 譯文筌蹄六卷
// 右夫子初年授昌門入凸而令筆受一者、雖氈刊行「焉.晩年...
//といつて居る。又肥後の藪愼庵が譯文筌蹄の後生に盆あるこ...
// 譯文筌蹄土苴也.著夫二辨之書、僕自謂.開闢以來.聖門大功...
//と答へて居る。徂糠自身に於ては、固より重んぜし書では無...
//あらう。然し此の書は實に室前の著書で、學者を裨盆するこ...
// 譯文筌蹄の如きは、今の人、文字の業にさかしくなbたるは...
// 方、今に至りて文字の解をなせる書、數々世に行はる丶も...
// は、東涯の用字格徂徠の譯文筌蹄は、初學には有益の書な...
// は大方ならざる事といへり、今の末學、南湖の十分の一も...
// 園の册子になづらへ思ふは、量を知らすとやいふべき、
//と云つて居るのは實に至當の言である。其の内容は、
// (イ)卷首に題言十則があつて、初學者の心得とすべき事を...
// 點がある。共の中に形状字面、作用字面、聾辭字面、物...
// 別に部目は設けてない。唯粥騨躑劇の次に型完、善矧欟...
//---------------------[End of Page 18]------------------...
// 錮遐等があるといふ樣に幾分排列に注意した點は認めら...
// (ロ)同訓異義を辨することは此の書の主眼であるから、大...
// 似した者は同訓でなくとも一類にしたのもある、例へば、
// 漲瀏酬皿 麺測…瀾漁綿 淵 淵…瀏…霽澗溺
// の如きであるo
// (、ノ)品詞としては動詞が尤も多く、形容詞副詞に屬すべ...
//文字の排列について一の注意すべき事がある○それは共の開卷...
//て、頴7言中に左の語があるo
// 予昔趨二先大夫之庭h與二聞閑靜字義「此共撥二脱和訓h精...
// 爲二首則¶示v不ド忘y本也。
//微細の事ではあるが、誠にゆかしい威がある○
// 毎字の説明は懇篤で極めて逋曉し易く、殊に論斷の明快な...
//ものがある。此の書は操觚字訣と共に類書中に嶄然頭角を見...
//見ると、
// (イ)彼れは説明中の用例に専ら文語を引いて、詩語を引く...
// が多い。
// (ロ)彼れは用例を器ぐることが精密で、多く句を取つて居...
//---------------------[End of Page 19]------------------...
// あるo
// (ハ)彼れは多く雅語を圭として居るが、此れは往々俗語に...
// (}輔)彼れは辨似を圭として、説明の餘事に及ぷことは稀で...
// るo即ち其の文字に關する諸種の用方に及び、諸種の熟語...
// 又諸種の智識を得しめるには盆があるが、重野博士の所...
// せねばならぬ。
// ◎譯文筌蹄後篇三卷 徂徠先生遺譯 ...
//此の書は諸家人物誌に載せたる徂徠著書辨に、
// 譯筌後編別二寫本アリ、刊行スル者狹兒贋作ナリ、
//とある逋b徂徠の著書ではないが、多く前の六卷と並穩されて...
//文がある。即ち、
// 余故友齋大禮、從周遊南郭服氏h得徠翕譯筌寫本囀而還、照...
// 昧「蓋是其初稿也.嘗謂ド余日.暇日補缺已.途不v果而卒.余...
// 經史一抄録.更得】千有餘字「乃爲二分類'以施訓譯ハ合葺...
// 志一云.
//といふので、此の序は天明八年卸ち徂徠歿後六十年目に書い...
//寫本中に、板本にない百餘字があつたので、是れを基礎とし...
//---------------------[End of Page 20]------------------...
//徂徠の著ではない。南郭の物夫子著述書日記に、
// 後編未v刊者、亦舉以火v之、不v藏r干家「今世姦猾之徒、...
// 所丕用者、
//といつて居るのと丼せ考へると、徂徠の自著でない事は盆ζ朋...
//左の語があるc
// 竹里先生改正初編之殘字h別撰二千有除字h爲二之訓鐸合乏...
// 人子裕岡君h請二上木h乃命昌剞圃「三卷已成、共後尋刻云、
//之れによると、書は天明八年に成つたが、出版はそれより八...
//出版する積りであつた樺であるが、それは途に出なかつた。...
//刻」と書したのはあるが、是れは内容の追補ではない。 ...
// 此の書の鶻裁は卷首に文理三昧とて租徠の漢文法に關する...
//列及び説明の模樣等ば大抵初編と同じで、縱倉徂徠の著でな...
// ◎訓譯示蒙五卷 物徂徠
// 此の書は卷一は請書作文に注意すべき大綱二十蜍條を説き...
//り、卷二は文理例とて訓讀譯文の法及び文の變化を詭き、卷...
//つ】括して説明してある。
// 序跋がないから著邇の時代は明自でない。板本は多く明和...
//---------------------[End of Page 21]------------------...
//のもある。果して徂徠の自著であるか否かに就いては頗る疑...
// 否 定 説
// ω服南郭の物夫子著述書目記に「不v見一以上目中一者.皆非...
// 訓譯示蒙の名が見えて居ない。是れに依ると先づ徂徠の...
// 働諸家人物誌中の徂徠著書辨にも、
// 名ヲ剽シナ贋作轟力・〃モノ 訓譯示蒙
// としてあるo
// 働江村北海の授業編には、
// 譯文筌蹄は虚字の倭讀の同じきを辨析す、未だ助字に...
// 説す、是は名を徂徠に託したるものといふ、
// と云つて居る。
// ←り内容に疑はしい所が多いo共の一例としては、示蒙の初...
// 書籍ハ文ノ方ナラバ朱子ノ文ガヨシ、朱子ノ文ハ奇崛ナ...
// 的當セヌコトナシ、故二字義文理ノヨキ師範ナソ、字義...
// 二至テハ韓柳等ノ文人ノ文ヲ見ルベシ、四書五經諸子...
// 二合ニクキ間、字義文理合點ノ以後二見ルベシ、詩ノ...
// 點二落チヤスシ、ッイデニ唐ノ風骨ヲ覺エズ曾スルナ...
//---------------------[End of Page 22]------------------...
// 此の文を見るに、
//(イ)深く朱子を電奉して「上代の文は時代異なるゆゑ今人の...
// 朱子尊奉の意は全編に見え、卷二の文理例は悉く朱子の大...
// にも朱子の語を引くことが多く、論語詩經の詩を引くにも...
//字の解に、
// 依。元來ソフト云字ニテ依傍ト連用ス。ツキソヒ、ハナ...
// 「相依而不v舍之意」ト毛「如昂身著表」トモ「隨v之而...
// フテハナレズタガハヌ處ナソ。故ニタヨル意ニモ通ヒテ...
// ニカ・リク居ル意ナソ。由レ是因v是ナドノヨッ一7二倭...
// ノ|註法《OOOO》ヲ|忘《つ 》vタル|故。ナリ○|論。語...
// リ。「獪」ノ字ヲ置キタル註ハ字義的當セズ。共ノ證據...
// コレガ一ッニナルモノカo
// とあるが如きは、徂徠の定論と合しないo即ち.
// 讀書之道.以下識舌文辭「識申古語占爲v先.如昌宋諸老先...
// 所二能及一哉、然自二韓柳出而後、文辭大變、而言古今...
// |以《つ》二|今言《づつ》「|覗舌言。ハ|故其用《 ワ...
// 大學程朱の解、大きに違候事に候、(徂徠先生答問書)
//---------------------[End of Page 23]------------------...
// といふ論と全く相反して居る。又示蒙中に「仁者愛之理...
// も辨名中に駁して居る。
// (ロ)三體詩を引いた點も徂徠の持論と合はない。
// 南郭云、今の學者皆來翕に開眼せられたり〇三體詩を...
// 翕にて夜があけたり、(湯淺常山の文會雜記)
// |四書五經。の新註大全等宋儒語録、詩文にては東坡山...
// 法發明等、損友と可被思召候、(中略)唐詩逡唐詩品彙...
// と云つて居る通りで、三體詩に就ては徂徠は却て後世よ...
// 居る。
//以上の諸點より考へれば、僞書といふ説も頗る理由がある樣...
// 肯定説
// ①那波魯堂の學問源流には、
// 初朱子の學を喜んで護園隨筆といふ書を著逋す、「譯...
// とあつて、是れは肯定説である。 (但し魯堂が筌蹄と示...
// 正當で無い樣に思ふ)
// ②徂徠も最初は程朱を尊奉したことは、護園隨筆中に予十七...
// 之舞v之.足之蹈7之.自v此之後、愈盆戴昌程朱諸先生之...
//---------------------[End of Page 24]------------------...
// と云つて居るのでも分る。隨筆の著は正徳四年、徂徠四...
// の説に疑を抱いたことは、
// 蓋不佞小少時、已覺・宋儒之説.於・六經・有中不v...
// v意.左支右吾、中弯自省、甚不v安焉、(讓園隨筆)
// といへるを見ても分るが、兎に角五十歳以前は程朱を奉...
// すれば、例中に朱子の語を引くことは別に怪しむに足ら...
// 働三體誌は勿論徂徐の取らざる所であるが、實は示蒙のみ...
// 王を奉じて初唐盛唐の詩を圭張するに至る以前に於ては...
// の詩)を愛讀した時代があつたことは明かである。隨つて...
// ないo
// ω南郭の書目記に見えない事も否定する理由にはならない。...
// には、其の書の流傳を迷惑に威する餘り、廢毀を欲する...
// えない者で、徂徠の著に相違ないと云はれて居る書は他...
// ㈲山本北山著作文牽の中に「訓譯示蒙謬誤」といふ説があ...
// は明かである○即ち是亦肯定説に加ふべきか○
//要するに示蒙は筌蹄と同じく徂徐初年の著で、自身には出版...
//は、徠門に於て餘り重きを澄かなかつた事は、山縣周南の作...
//---------------------[End of Page 25]------------------...
//で、是れ等の事も出版を喜ばなかつた理由の一つであらう○然...
// 附記
// ○文筌か冒二卷 服部南郭著
// 南郭は、助辭には種々の用法ありて一概に説き瀧すべきも...
// も、共の趣は終に見るべからす、大に惑へ6と謂ふべし○と...
// 然し門人に問はれるの煩を避ける爲めに、數箇を筆にした...
// 過ぎない。助字を用ふる心得及び助字用法を=一論じてある...
// が、徠門の助字に對引る一端を見る參考にもと思ひて附記...
// ◎助字考 一卷 伊藤東涯著
//元祿六年即ち東涯二十四歳の時の序がある○奥田十亨の跋に
// 此書係二先師二十左右作h蓋要v爲乏乎者也用得底秀才蒔也、
//と云つて居る樣に、東涯弱年の作である。然し直ぐに出版し...
// 曷謂射利者、私刊公v世、蕁火v之、許以昌書成改刊n他日書...
// 而就v官.不v給二於務己v幾而先師易簀パ中略)不v果者二十...
// 稿稜ゾ之.途刊貽二同好「令v知二先師早歳之苦心騨焉已也...
//と云へるを見れば、東涯が士亨に校讐を命じたのは、死する...
//れより又二十年も經過して居るo時に士亨の追加した所もあるo
//---------------------[End of Page 26]------------------...
// 此の書は助字の中でも後置詞のみを解説したもので、初め...
//二字に就き、諸書の説を集め、一字毎に「胤按」として意見...
//る。是れは也矣也爾矣等の加く二字三字或は四字相連用した...
//た者である○用例は諸子百家の文が多く、經書は甚だ少い。卷...
//る○
// 附 記
// ○助字考小解 伊藤東所著
// 此の書は父の著に小解を附したものであらう。未見。
// ◎操觚字訣十卷 伊藤東涯
// ◎操觚字訣補遺五卷 伊藤東涯
//此の書は東涯の子東所の序に
// 先子嘗著|女訣。等書初學晩進、因以有v資焉.夙年爲昌|辨...
// 未v成v書.吁惜哉.於v是就一先子之遺稿「襲舊名嚇以纂二著...
//とある○「文訣」及び「辨同訓」は見るを得ないが、それを大...
//未定稿を東所が纂修したもので、此の序は寶暦十三年即ち東...
//未だ出版はされなかつた。それを明治十二年に村山徳淳の校...
//凡例中に
//---------------------[End of Page 27]------------------...
// 先子初年に、|異字同訓考。ヲ輯ム、タ・古文ノ同訓アル句...
// 操觚字訣ヲ草ス、同訓ノ義ヲ解ノ、古語ヲ引ク、三書未定...
// 文字ノ義二及ブモノァソ、韶悉哀集培補ノ、以・ブ此書ヲ...
// 一二用字格二傚ト云、先子所v輯ノ古語及注解、十居二=二...
// フス、皆奉昌承遺意h不三敢用昌拙見一云、
//とあるが、「異字同訓考」と「同訓雜誌」とは、序中の「文...
//い。但し東所が是れ等を一括し且つ培補して「字訣」を大成...
// 此の書の内容は、同訓異義の文字の意義を引證辨別し元者...
//(助字語辭の別は、一の緒説の部に舉げて置いた)卷四卷五は...
//別は、動詞形容詞等の中にて、多く人事に用ふるものを虚字...
//中に説明してある○)以上各ζ五十音順に文字を排列してある。...
//地理・人品・宮室等、門類を以て分つて居る。但し實際の文...
//區別は出來て居ない。
// 補遺は上編下編續編に分ち、上下雨編は虚字雜字を五十音...
//に就いて説いてある。此の補遺は眞に未定稿で、唯例を擧げ...
// 要するに本書は東涯東所父子の合同に・ひ6て成つた者で、...
//卷首に掲げセ篇法助辭及び字例數條の如きも、實に初學を盆...
//---------------------[End of Page 28]------------------...
// 附記
// ○新刊用字格三卷 伊藤東涯著
//此の書は各助字の意義を辨析したものではない。助字虚字の...
//勝こ「常不v行」.「不二自知こ「自不y信」等の如く位畳の變...
//集めて辨別したもので、寧ろ文法書に屬する者である。助字...
//に定評あれば今亦贅せす、此の書の刊行に就いて一言する。...
// 此書初稿未v經二改修h嘗被昌坊間竊刻「傳譌匪v鮮、印行既...
// 上木h爰就昌定杢逐件校樹、彙分臚列、條貫井然、庶菟噂魯...
//とある。此の跋は享保十九年に書いたもので、東涯の死する...
//字格は、定本に據うたものであるが、それより二十三年前、...
//がある○是れが右の跋に所謂「初稿未v經昌改修ハ嘗被二坊間...
//下二卷で甚だ不十分なものである。初刊も新刊も共に元祿十...
//別で、前者には「凡百四十條」といひ、後者には「凡得二三...
//べき點があるo内容に於ても亦大に精粗の差がある。或は東涯...
//だのかも知れない。
// ◎文家必用三卷 人見友竹著
//此の書は正徳五年に成つたもので、爾來最も廣く行はれて居...
//---------------------[End of Page 29]------------------...
// 世間助字解.不y下數十書爺其最膾炙者、文家必用、訓譯示...
//とあつて、果して妄鑿にして取るべきなきか否かは、固より...
//行はれたかは、之によつて察することが出來る。
// 序文によれば友竹始め此の書を著はし、之を講經作文に適...
//とは憚つて居た。共の中長崎にて舌人の業をなせる一儒生の...
//ひ、共の説を聞いて改竄を加へ、屡ζ草稿を易へて漸く出來た...
// 書中分つて三類とし、上卷は和辨類とて多くば副詞を説き...
//を説いて居る。中卷は助語類とて韻,契轗等を説いて居る。下...
//が、副詞等も混じて居る○和辨類と分辨類とはいろは順に排列...
//に例を舉げ、李易明瞭頗る要領を得たものが多いo譯文筌蹄に...
//引拷せし字書に就いては、凡例中に左の語がある○
// 註中日二字書【者.多引許氏説文、洪武正韻、韻會、培韻、...
//---------------------[End of Page 30]------------------...
// 六 皆川淇園
// 徳川時代に於て助字虚字實字に關する著逋の尤も豐富なの...
//を一括すると、
//史記助字法(一名太史公助字法)二〇卷』左傳助字法二卷』詩...
// 卷』實字解三卷』實字解二編三卷』虚字詳解十五卷』助字...
//の十部ある。淇園の博學なると其の著書の多きとは、今之を...
//多いのに就いては一言しなければなら兎。
// 洪園は字義に特にカを用ひた人である。而も助字詳解卷首...
// 字義ハ字苔ノ注ニョリテ其大略ハ知〃レトモ、其精義に至...
// 法ニヨリコレヲ開カザレバ、トクトシタル處ハ知レザルコ...
//と言つて居る樣に、易の開物の法といふ事がある。開物の法...
//蟶より心意志情馨κ十九23を説解してある)の初に洋冷してあ...
//編の欠が痂朔で解し紡い〃ら.そμ〃引川;るワ
//---------------------[End of Page 31]------------------...
// 淇園及v長.恒謂.不v知二字義薊文不v可v作.書不v可v解自v...
// 其眞h乃類彙古人用字之例反取二諸象形「求昌諸聲音門乃始...
// 聾生二於物h物生二於天地陰陽四時之有v常煮統轟乎道徳賀=...
// 卦傅ロ.紳也者、妙昌萬物爺爲"言者也、凡聖人之道、辨v名...
// 繋辭徳日.夫易何爲者也、囲物成ゾ務、又日、聞而當v名.辨...
// 記象式之法百、以v是開二名物之義薊雖二精微之極「亦可二...
// 讀二古人之書「則明白如v掲v日矣,
//と.以て其の意見を見ることが出來る。故に淇園の解は甚だ詳...
//のもある。
// ◎史記助字法(一名太史公助字法) 二卷
// ◎左傳助字法 二卷
// ◎詩經助字法 二卷
//〔三書編述年代〕 淇園の門人堀榮吉の左傳助字法の序に
// 曩者淇園先生、使下令・木・岡二君.就二左司馬二氏之書ハ...
//とある逋り、淇園の命によつて門人等が史記左傳兩書の助字...
//が、右の内史記左傅の助字法である。門人命木龍の記する所...
//たのを、後に史記の部と左傅の部とに分收して、兩助字法と...
//---------------------[End of Page 32]------------------...
// 史記助字法は寳暦十年の出版で、淇園が二+亠ハ歳の時であ...
//録を命じたのは、淇園が二十三四歳の時であつたらう。
// 左傳助字法は朋和六年の出版で、九年も後れて居るが、吏...
//豫告してあるのを見ると、略ぱ同時代に成つたことは明白で...
// 詩經助字法は史記助字法より二十三年後の天明三年に、淇...
//が、其の序文中に、
// 蓋、先・是吾門嘗有二輯繁詩經助字法上者h業未v就、而稿...
//とあるより察すると、是れ亦門人が淇園の命によつて輯録し...
//其の初稿の成つた年代は明白でないが、何れ前の兩書と相距...
//[内容〕 史記助字法は、載する所の助字凡そ二百二十字、近...
//といふ樣に、標題を掲げて一逋りの説明を爲し、次に其の文...
//處簡單な説明が附せられ、其の各例の出處の如きは丁寧に枚...
// 左傳助字法は、.載する所の助字百九十徐、類排、出處、説...
//ば一用・也法一といふ詭明の末に冖略慶といふ一類がある樣...
//の助字の有るべき處に略せられて居ることを説いたのである○...
//例を出して説明してはあるが、特に標題を附したのは左傅助...
// 詩經助字法は、載する所百二十七字で、大體は前の兩助字...
//---------------------[End of Page 33]------------------...
// 十六枚程の文を附載してある。
//〔詐論〕 史記助字法題言十則中に曰く、
// 左氏國語.倶有昌出入司馬班掾、互見輔異同h世途以謂、古...
// 屈垂h自不v得v不v然也、其矩度何曾差二銖分「故是編命v題...
//と、左國史漢各書、各ζ助字に異同あるは論を待たない所であ...
//といふのは、固よb妄論である。其の異同の中に自ら定法の存...
//それには各人各書に就いて探究しなければなら瀰。左傳助字...
//曰く、
// 至論共微ハ蓋亦人々有二其蜑夫人異則所v慮各殊、所慮各殊...
// 之於助字則安得二其同雍v然、古今載籍汗牛充棟不v啻也.我...
// 之於助字則又安得其不向蓋其不v同者形、其同者情、今苟欲...
// 逋'其情亠焉彼已渙然氷釋.
//助字の用法は、人により時代によりて異同があるばかbでなく...
//吏記左傳中にあつても、韻文を引用したものは除外してある...
//の逋りに言つてあるo
// 賦騷銘賛之類所v用助字、典雅精湛.自爲「二蟻與散文所7用...
//「別に成書あり」とあるは、或は詩經助字法を指すか、若し...
//---------------------[End of Page 34]------------------...
//るに至らなかつたのは、甚だ遺憾であるo
//要するに、從來の漠然πる助字の研究に一歩を進めて、各書に...
//着眼は、實に敬服に値すぺきもので、而も淇園が二十三四歳...
//卓見に服すべきである。
// 〔附記〕
// ○論語助字解 臼田陽山
// 各書に就いて其の書特有の語法を知るのは誠に大切なこと...
// が、未だ見ない。江村北海の授業編に、
// 矣の字の如き、先輩多く決定したる所にある字とし、和...
// を、臼田陽山と云ひし人の「論語助字解」に委しく是を...
// 論語中の矣の字を多く擧て其説を證す。今其一をいはゴ...
// ならす。天下のひろき、決して無とはの玉はす、まつは...
// 聞えて、其説を見れば、いかにも「ならん」と云程の事...
// と讀みては一向すまね所あり。「不幸短命死矣」などの...
// 多し。一偏に定め難し。
// とあるにて大凡其の書の一斑が窺はれるo要するに、 一書...
// め、己の説に合すると否とに關せす、公卆に到斷する樣に...
//---------------------[End of Page 35]------------------...
// ◎虚字解 二 卷 天明三年...
// ◎續虚字解 二 卷 寛政四...
//門人の序によると、淇園は壯歳に「虚字詮譯」といふ著があ...
//を、二十許年を經て門人の懇請巳むを得す之を補完したので...
//るo是れが虚字解であるG
// 遍周普等の虚字を類集して五十音順に排列し、説明は極め...
//部分もあつたが、初學の逋曉し難きを懼れて簡易にしたとあ...
//い處が多い。
// 績虚字解は虚字解に後る丶こと九年にして出版された。序...
//門生等が補ひ集めて又數千百字を得たので、讃園に其説明を...
//いふ。全く虚字解と同一體裁であるo
// ◎實字解 三卷 寛政三年出版
// ◎實字解二編 三卷 不 明
//初編の方は、天文、地理、衣飾の三部に分れて、天文の部六...
//九十四字で、大抵近似のものを類排してある。毎字の説明は...
//大に參考すべき所がある。
// 二編の方は、時令、宮室の二部で、時倉の部を一冊とし、...
//樣であるい
// ◎虚字詳解 十五卷 文化十年刊
//此の書は序跋がないが、町版された文化十年は、抵園の歿後...
// 虚字をいろは順に類排して詳密に説明したものであるが、...
//「虚字解獨簡奥、因更作二之詳解ことある逋り、前の虚字解...
//は一種の文章で甚だ解し難いo其の一例を示すと、
// |姿《スガメ》、,ソレガ向フヘモッテユクフヲガ、コチラ....
// トニスルト云フコトニナ、物ノ體ノタチユクシナノブ...
// 書生見v之日、龍鳳之姿.トイヘルモ其體ノ立ユキタル...
// ナリ(下略)
// ◎助字詳解 三卷 文化
終了行:
[[平野彦次郎]]
徳川時代に於ける[[助字]]・[[虚字]]・[[実字]]の著書に就て
(上)斯文(第九編・第九号)昭和二年九月一日発行
(中)斯文(第九編・第十一号)昭和二年十一月一日発行
(下)斯文(第九編・第十二号)昭和二年十二月一日発行
https://app.box.com/s/hg5l6jxh97x51uq3s2cs47ruhec4zxac
勉誠社文庫59『助辞訳通』(勉誠社 1979.4)に再録
// 一 緒 誚
// 徳川時代に於ける助字・虚字・實字の著書は、大抵同訓異...
//ので、厨訓異義の研究といふ題にせんかとも思ひましたが、...
// 同訓異義の文字が、何故にかく多數にあるかは、勿論種々...
//に、我が國語に之に對する適切な言葉がなく、正確に訓する...
//ら瀚oそれでは煩雜に堪へないので已むを得す路ぼ類似した國...
//ふのが典の圭なる原因であらう。伊藤東所が「如二本邦之訓→...
//v能「無v錯」・といって居るのもそれである、 又は一箇の...
//れぞ軸の訓を附してあるのに、實際は普遯に讀み慣らされた...
//居る爲、同訓異義の數を培したといふ點もあらう。兎に角同...
//は必要なことではあるが、それにも
// (イ)本來の意義を異にし、隨つて其の用法も全く異なるものo
// (ロ)本來の意義は異なれども、其の用法には區別する場合...
// (ハ)字義には差別はないが、地方により用法の別ある爲、...
// (二)字義は同じであるが、時代によつて變遷ある爲、別義...
// (ボ)本來の意義用法に大差ぱないが、偶然用法を異せる例...
// (へ)同一の句が兩書に記載せられて、共の中=一の文字を變...
//等があつて、其の辨別は甚だ容易でない○而して之を説朋した...
//て説明して居るが、其の助字・虚字。實字とは如何なるもの...
// 伊藤東涯の助字考の序には、
// 文有虚箕而實爲v圭虚爲"賓.天地日月山川草木、字之實者也...
// 也.所下以道昌賓圭之際嚇逋舮虚實之用占者、共助辭乎.
//とて助字・虚字・實字の三者に對する説明を與へて居る。是...
//類である。然し操觚字訣の字例には、助字の外に語辭といふ...
// 凡文字、而於乎哉ノ類ヲ助字ト云フ、文章ノテニハナリ、...
//といふのである。夂物徂徠も四種に分類して居る。譯文筌蹄...
// 是編有形状字面看昌作用字蚕有二聾辭字壷有物名字面〜詩...
//といひ、凡例には更に之を説明して、
// 是編部目.有出宇虚字い即題言所v謂形状字面是也.有呂虚字...
// 名字面是也、有助字ハ即聾辭字面是也.
//といつて居る。東涯の説に比すると、虚字を「虚字(圭として...
//た點が異つて居る。而へ訓譯示蒙の卷首には更に細かに之を...
// 字義ノ大綱ヲ云フニ字品ト字勢ト云フコトアソ、字品ハ字...
//今、徳川時代の書中に見えたる助字。虚字・實字を概記する...
// 助字(助辭・助語とも書す)圭としては恕契却引.乎釧軅等〆...
// 期等の代名詞をも含み、甚だしきは望到瓔等の如き動詞を...
//---------------------[End of Page 4]---------------------
// く助字の外に語辭といふ名目を置いて居る)
// 虚字 主として思想憶懐念や善し好し等の動詞形容詞であ...
// 觚字訣には、動詞形容詞中の入事に關する語のみを虚字...
// して居る)
// 明清の人の著書には、助字のことを虚字と稱して居る...
// 實字 主として名詞で、それに測剥口禦予洳爾等の入稱代...
//斯く内容に出入のあるのは、種々の原因に基くのであるが、...
// 但是編圭意、元在二同訓異義之辨薊同訓所v牽虚或人二宇虚...
// 往々有v之、而絡不v能二逐一精選以從嵩本類一者.爲y是故...
//と云つて居る。已むを得ない次第である。
// 此の同訓異義の字に就いて、其の異同を辨せんとせば、如...
//の結果此の混同を生じだとせば、支那に於て同訓の文字を類...
//つて各時代に出でたる諸種の字書を參考するより外はないが...
//の此の要求に滿足を與へることは困難である、今説文に説く...
//走趨也 趨走也 奔走也
//倚依也 依倚也
//の如き次第で、↓ハ書故にも
//---------------------[End of Page 5]---------------------
// 凡文各有v義、以v彼喩v此、終不昌親切「説文依倚互相釋....
//といつて居る。是れでは劉別の爲し樣はない。後世の字書も...
//字を類排しては居ない。然し稀には爾雅や釋名の如き書も無...
// 初哉首基肇祀元胎俶落權輿始也(釋詁上)
// 印吾台予股身甫言我也(釋詁下)
// 懐惟慮願念怒思也(釋詁下)
// 大波爲v瀾、小波爲v淪(釋水)
// 大陸日v阜.大阜日v陵、大陸貝阿、可v食日v原(釋地)
//といふ風に類列してある○説明はないが、注疏等によれば其の...
//は
// 山産也.産二生物一也,土山日v阜、阜厚也.言告同厚庖.大阜...
// 也.在ゾ上之言也、山大而高日v嵩、嵩煉也、亦高稱也、山...
// 江公也、小水流入昌共中「公共也.河下也、隨地下處「而逋...
// 念黏也.意相親愛、心黏着不v能v忘也.憶意也、恒在「意中...
// 也、(釋言語)
//釋名の方は説明があろので、大分辨別の參考になる。然し全...
//つて是等の字書を根篠とし、多く古書中の用例を綜合し、諸...
//はないのである。然らば我が國の先儒は之に謝して如何なる...
//
// 二 徳川時代初期の概況
//
// 我が國漢籍の傳來久しく、詩文も相當に作られて居たが、...
//専書は見當らない。徳川時代に入つても、特に我が邦儒の著...
//る。重野博士も操觚字訣の序に
// 中古以前之學者、皆用昌力於此茹二源順和名鈔是也、而未...
// 者図有v之蓋從昌正亨諸子「始、諸子中又以噂東涯徂彼二子...
//と云つて居られる逋り、實に徂徠東涯を以て第一としなけれ...
//共に助虚字に關する著逋、而も我邦最初の著述があつたのは...
//庵門下に於ても、右と相前後して著邇された。即ち三宅觀瀾...
// 尤も此の三家以外にも助字の事を書いたものが全然無いの...
//問題であるから、多少の考慮は拂はれ、又多少の意見は有つ...
//なかつた。其の一二の例を擧げれば、藤原惺窩の|文章逹徳録...
//部に、助語といふ一項があつて四箇の例が擧げてある。例へば
// 論語日.子日.學而時習v之、不昌亦説一乎.
// 學時習説四字、是實字、而之不亦乎五字、是助語.
//といつて、實字と助字との別を示してある。又字法の部には...
//---------------------[End of Page 7]---------------------
//し、又羅大經が詩に助語を用ふる法とて、六箇だけ古人の句...
//は
// 吾邦人之作女字也.讀v之不v能v無二顛倒只中略)且不v諳y有...
// 老師宿鑑布置處字之間不v竟v有一顛倒錯鞏豈非脅而不7察乎。
// 豈字、字書以爲`非v然之壁篤信謂.又有事可v爲二疑問之辭...
// 以致v危、注、呂延濟日豈自發問也、篤信謂、論語入侑篇、...
// 附薈共説歟.此類亦多矣、是不v可v爲昌非v然之辭苛v爲輔倉...
//等の説があつて、一箇の見識を具へて居られるが、助字の著...
// 諸學者が多く此の程度であつたのに、徂徠東涯觀瀾諸家の...
//其の學問の趨向と其の人の圭張とが自ら然らしめた者ではあ...
//原因が無いとは云へない。
// 三 助語辭の影響
// 支那には、我が國の所謂同訓異義の文字を王として、類排...
//が、跳ハの助字を解したものには、幾分參考すべきものがあ...
// 助字の使用は、支那人の方が我が邦人よりは悟り易い筈で...
//自然之を説く必要が生じたのである。特に助字に關する專書...
//といふ語ぱ、漢以前に既に見えて、禮記檀弓上の「母唱從從...
//---------------------[End of Page 8]---------------------
//書してある。又梁の周興嗣の次韻せる千字文には、
// 謂昌語助鱒者、焉哉乎也.
//とあつて、當時既に語助が注意されたことが知られる○唐の代...
// 但見二生用一助字h丕當二律金唯以v此奉答、所v謂乎歟耶哉...
// 則ア之、
//といつて居る。助字の使用は時代によつて多少の相違があつ...
//も分らなかつたとは、聊か意外に戚せられる程である。此の...
//説いた書には屡ζ引用されて居る.、
// 宋の代に至つて陳驟の文則が出た。此の書は元來文の法則...
//理例の如きは、此の書に胚胎した點が多い樣に思はれるが、...
//齋の冠解助語辭等に文則の説を引用して居るのでも分る。又...
// 歐蘇文名噪昌海内h古則蕩然、宋之弊也.陳驥生二其間「心...
// 矢矣.
//と云つて居るのを見ても、此の書が愛讀されたことが分る。...
// ◎助語辭一卷 明 盧允武著
//を推さねばなら濾。此の書は助字百餘字を選びて其の意義用...
//が國の助字研究には非常に影響を與へたもので、毛利貞齋は
//---------------------[End of Page 9]---------------------
// 盧允武所y著助語辭、寔是雖電冊小葉莢範龜鏡、不v爲び不...
//と云つて居る。共の著者盧允武の事歴は詳かでないが、胡文...
// 一日偶得盧允武所v著助語一帙一覽ソ之深恢二鄙懐ハ途不敢...
// 世焉.
//とあり、序文の成りしは萬暦壬辰(二十年、我が文祿元年)な...
//初で、盧允武も或は萬暦に近い頃の人なりしならんと思はれ...
//利貞齋は
// 傳不v見. 予往年長崎の耆老の物語を聞くに、賈人にて時...
//といつて居る。ヌ
// 文會堂は、胡氏が書堂の號なり。此の人諸書を印板に行は...
//とも云つて居るG而して貞齋の舉げたる諸書、及び陳驥の文則...
//叢書中にあるから、右諸書は大凡同時に渡來したるなるべく...
//して差支ば無からう。
// 我が國の刻本も、新刊助語辭の卷首には、盧允武著胡文煥...
//---------------------[End of Page 10]------------------...
//した事は明自であるが、漢籍解題に擦れば、延寳二年の翻刻...
//語辭解(別に解がある譯ではない)と題し、中村敬宇博士の序...
//文には
// 往自マ盧氏者一唱昌助語辭「而踵v跟撰述者.無慮数十家、...
//を刺戟し、助字研究の氣運を促進したことも略ぽ想像される○...
// つ鼇頭助語辭二卷 毛利貞齋著
// 一名、重訂冠解助語辭、又、重訂培廣冠解引證擧例助...
//貞齋の跋に
// 引證少.舉例稀.後生憾ソ難二通暁h予往昔應昌家童之扣問¶...
//と云つて居る迥り、原書が簡に過ぐるが故に、其の説明に就...
//のである。此の書は天和三年即ち新刊助語辭が始めて印刻さ...
//三十五年を經て文字漫滅したので、更に多少の増訂を加へて...
//に歡迎されたかを知ることが出來る。
// 鼇頭助語辭の再刻に先つこと九年、即ち寳永五年に、毛利...
// ◎訓蒙助語辭諺解大成四卷 毛利貞齋...
//の著がある。此の書を冠解助語辭と封照するに、其の詳悉の...
//る。冠解は漢文で、一字毎に諸書を引證して、博く集めてあ...
//---------------------[End of Page 11]------------------...
//參考に供すべきものである。諺解の方は假名交りで處々に概...
//しめんとした者である。又冠解は原本を圭として居るが、諺...
// ◎廣盆助語辭集例三卷 三好似山編集
//此の書は元祿七年の刊行で、凡例に
// 凡盧氏所ソ載之字辭.僅一百有籐、今所二増盆「者一千有除...
// 切昔h又依[若干韻書「抑訓詁一以便攻考一也.
//とある逋り、原書より十倍も増加して居る。又其の舉例につ...
// 凡毎字舉v例者、皆以わ所v在二於四書五經一者上載v之.無...
// 前後之一兩句轂v之、欲v使二見者有v所v考而易・曉也、
// 凡有異字而同意者、意異而字同壷今集典類「分v之、以載二...
//と云つて居るので、本書の大體を知ることが出來る○要するに...
//く蒐めたことは多とすべきであるが、一家の見として諸説を...
//點はない。
// ◎助語辭考録大成一冊 穗積以貫 撰
//此の書は原本の説朋を共儘に書し、共の説を某礎として自家...
//余の藏せるは寫本で序跋がないが、何れ元祿から享保頃の間...
// 以上舉げ驚四書の内には、一箇の成書として別名を附し得...
//---------------------[End of Page 12]------------------...
//居るので、獨立した邦入の著書とは云へない。此の如く助語...
//が、固より簡箪な小册子で、共の説に滿足し難い點あるは勿...
// 世有昌盧氏助語辭h蓋擾乏郷里小兒ハ以便吾伊一耳.而世獪...
// 筏、莫一此若一也膚淺之書.見以爲昌金科玉條「今且指二點...
//とて之を論じて居る。かゝる非難あるは、却て助語辭の盛行...
// 四 明清人の著書
// 序に我が國先儒の參考せし支那の著述を記して見よう、
// ◎操觚字要 明 李廷機
// ◎操字法 湯 賓 尹
//右二書は東涯等の參考したものであるが、余は未だ見ない。...
//貞齋の冠解助語辭の如きには、殊に多く引用されて居る。そ...
//は、助語辭よりは詳細である。
// ◎文字竅 }卷 石成金...
//助字を、起語(爿劃の類)、接語(此是則の類)、轉語(姻國躙の...
//て説明してあるo我が國では寛政六年に岡田挺之の序を添へて...
// ◎虚字啓蒙}卷 清 王濟師著
// 此の書より以下三書に虚字と穩するは、皆助字のこ乏で...
//---------------------[End of Page 13]------------------...
//此の書は助語辭等と同じく例を畢げないで、唯意義用法だけ...
//生著として天保亠ハ年に山本北山の詩用虚字と共に合刻して...
// ◎虚字説一卷 清 袁仁林著
//右の虚字啓蒙と相似た書で、字數も百蜍字しかないo
// ◎虚字註釋備考亠ハ卷 清 張文炳點定
//此の書は⊥ハ卷といへば、内容も豐富の樣であるが、實は一卷...
//冊子である。起語、接語、轉語、襯語、束語、歇語の六類に...
//第四類までの名は全く同じく、而も各類の説明、例へば「起...
//いふが如きは殆んど同一である。此の點より考へると、文字...
//し各助字の説明は決して前者を套襲したものではない。
// 此の書は嘉永四年に安積艮齋の序文を添へて翻刻され、艮...
// 盧緯助字解甚疏.王引之經傳釋詞備矣、而非以昌作文驅爲シ...
// 博議麟者幽設.以爲鵠擧業之資h共詮釋簡明、有v裨手操觚匪...
//とあつて、盧允武の助語辭も此の頃には餘り喜ばれない樣に...
//も助語辭に比して甚だしく優つて居るとは思はれない。
// 〔附記〕 此の書は舶來の東莱博議の末に附載してあつた...
// 四年より以前(寛政十二年)に既に刻本がある。それは
//---------------------[End of Page 14]------------------...
// ○虚字註釋備考考證九卷 山世孺仲直...
// で、原文の説明に對して一々經史の句を引いて用例を示...
// て垉補した所がある、
// ◎經傳釋詞十卷 清 王引之著
//此の書は王引之の序中に
// 自昌九經三傳ハ及二周秦西漢之書h凡助語之文.偏爲昌探討...
// 十字.前人所v未v及者補v之.誤解者正v之.共易v曉者.則略而...
//とある逋り、助字百六十字に就き、經傳の例を擧げて詳細に...
//は、全く前數書の比ではない。我が國では天保十二年に東條...
//た。隨って東條父子の著たる助辭新譯には、此の書を引用し...
//〔附記〕
// ○經詞衍釋十卷 補遺一卷 清 呉昌瑩...
// 此の書は同治十二年の出版で、經傳釋詞に説いた百六十...
// 詞日」として王引之の説を引き、次に「衍日」として釋...
// ものである。補遺は釋詞に舉げない助字二十三、例へば...
// るo
// O經傳釋詞補一卷 清孫經世撰
//---------------------[End of Page 15]------------------...
// 此の書は光緒十四年の出版で、釋詞に載せた百六十字中...
// いて、更に例證して意見を述べ幻者である。
// ○經傳釋詞再補一卷 清 孫經世撰
// 此の書は光緒十一年即ち前の補より以前に出版されて居...
// 一字の説朋が二十餘枚に亙つて居るのもあつて、頗る詳...
// ◎助字辨略五卷 清 劉淇撰
//助字を四聾の各韻に分つて排列してある、經傳釋詞と比較す...
//上つて居るが、一字の説明は釋詞よ6簡なる所がある。其の刊...
//三年に先だつこと八十七年であるが、其流傅は釋詞に及ばな...
//b影響を與へて居ない樣である。
// ◎虚字用法 清 唐彪撰
//此の書は明治九年に岡三慶氏が選逋されだ、作文用字明辨の...
//者で、或は參考に値するかとも思はれるが、未だ見ないo是れ...
//置く。
// 五 觀瀾・徂徠・東涯・友竹
//以下我が國先儒の著書を逋べるのであるが、先づ左の書より...
// ◎助字雅 一卷 三宅觀瀾著
//---------------------[End of Page 16]------------------...
// 此の書は元祿十二年即ち觀瀾の二十五歳の時の自跋があるo...
//十五亠ハ歳の時で元祿の初年である(出版はそれより二十年も...
//のは二十歳前後で、其の自序を書い花のは二十四歳の時、是...
//た一箇の書として編逋したのが何れも元祿の頃で、而かも何...
//は、誠に奇とすべきである。
// 此の書は文化五年に薩藩府學で出版した者及び傳寫の者に...
//に刻したのは助字雅と題して居る。(明治十年出版の者には飜...
//上改めたものであらう)。即ち書名が兩樣になつて居るが、其...
//漢文で説明し、其の部分を助字雅と名づけてある。他の一部...
//る。甘雨亭叢書の本は漢文の部分のみであるから、自然助字...
//又其れに依つて名を冠したのであらう。唯薩藩出版の者は右...
//'附し、次に假字文の説明を附してある.、是れは繙讀の便を...
// 説明は漢文の部は、李廷機の操觚字要、盧允武の助語辭、...
//部は我が俗語に封譯して説いてある。殊に輝幽期飆、初葡劉...
//見ることが出來る。但し何れも説明のみで用例はないc
// ◎譯文筌蹄 六卷 ...
// 此の書は徂徠二十五六歳の時ロ授したのを門人等が筆記し...
//---------------------[End of Page 17]------------------...
//例があるから、徂徠の四十五六歳の頃に出版しだものであら...
//書目記には、
// 譯文筌蹄六卷
// 右夫子初年授昌門入凸而令筆受一者、雖氈刊行「焉.晩年...
//といつて居る。又肥後の藪愼庵が譯文筌蹄の後生に盆あるこ...
// 譯文筌蹄土苴也.著夫二辨之書、僕自謂.開闢以來.聖門大功...
//と答へて居る。徂糠自身に於ては、固より重んぜし書では無...
//あらう。然し此の書は實に室前の著書で、學者を裨盆するこ...
// 譯文筌蹄の如きは、今の人、文字の業にさかしくなbたるは...
// 方、今に至りて文字の解をなせる書、數々世に行はる丶も...
// は、東涯の用字格徂徠の譯文筌蹄は、初學には有益の書な...
// は大方ならざる事といへり、今の末學、南湖の十分の一も...
// 園の册子になづらへ思ふは、量を知らすとやいふべき、
//と云つて居るのは實に至當の言である。其の内容は、
// (イ)卷首に題言十則があつて、初學者の心得とすべき事を...
// 點がある。共の中に形状字面、作用字面、聾辭字面、物...
// 別に部目は設けてない。唯粥騨躑劇の次に型完、善矧欟...
//---------------------[End of Page 18]------------------...
// 錮遐等があるといふ樣に幾分排列に注意した點は認めら...
// (ロ)同訓異義を辨することは此の書の主眼であるから、大...
// 似した者は同訓でなくとも一類にしたのもある、例へば、
// 漲瀏酬皿 麺測…瀾漁綿 淵 淵…瀏…霽澗溺
// の如きであるo
// (、ノ)品詞としては動詞が尤も多く、形容詞副詞に屬すべ...
//文字の排列について一の注意すべき事がある○それは共の開卷...
//て、頴7言中に左の語があるo
// 予昔趨二先大夫之庭h與二聞閑靜字義「此共撥二脱和訓h精...
// 爲二首則¶示v不ド忘y本也。
//微細の事ではあるが、誠にゆかしい威がある○
// 毎字の説明は懇篤で極めて逋曉し易く、殊に論斷の明快な...
//ものがある。此の書は操觚字訣と共に類書中に嶄然頭角を見...
//見ると、
// (イ)彼れは説明中の用例に専ら文語を引いて、詩語を引く...
// が多い。
// (ロ)彼れは用例を器ぐることが精密で、多く句を取つて居...
//---------------------[End of Page 19]------------------...
// あるo
// (ハ)彼れは多く雅語を圭として居るが、此れは往々俗語に...
// (}輔)彼れは辨似を圭として、説明の餘事に及ぷことは稀で...
// るo即ち其の文字に關する諸種の用方に及び、諸種の熟語...
// 又諸種の智識を得しめるには盆があるが、重野博士の所...
// せねばならぬ。
// ◎譯文筌蹄後篇三卷 徂徠先生遺譯 ...
//此の書は諸家人物誌に載せたる徂徠著書辨に、
// 譯筌後編別二寫本アリ、刊行スル者狹兒贋作ナリ、
//とある逋b徂徠の著書ではないが、多く前の六卷と並穩されて...
//文がある。即ち、
// 余故友齋大禮、從周遊南郭服氏h得徠翕譯筌寫本囀而還、照...
// 昧「蓋是其初稿也.嘗謂ド余日.暇日補缺已.途不v果而卒.余...
// 經史一抄録.更得】千有餘字「乃爲二分類'以施訓譯ハ合葺...
// 志一云.
//といふので、此の序は天明八年卸ち徂徠歿後六十年目に書い...
//寫本中に、板本にない百餘字があつたので、是れを基礎とし...
//---------------------[End of Page 20]------------------...
//徂徠の著ではない。南郭の物夫子著述書日記に、
// 後編未v刊者、亦舉以火v之、不v藏r干家「今世姦猾之徒、...
// 所丕用者、
//といつて居るのと丼せ考へると、徂徠の自著でない事は盆ζ朋...
//左の語があるc
// 竹里先生改正初編之殘字h別撰二千有除字h爲二之訓鐸合乏...
// 人子裕岡君h請二上木h乃命昌剞圃「三卷已成、共後尋刻云、
//之れによると、書は天明八年に成つたが、出版はそれより八...
//出版する積りであつた樺であるが、それは途に出なかつた。...
//刻」と書したのはあるが、是れは内容の追補ではない。 ...
// 此の書の鶻裁は卷首に文理三昧とて租徠の漢文法に關する...
//列及び説明の模樣等ば大抵初編と同じで、縱倉徂徠の著でな...
// ◎訓譯示蒙五卷 物徂徠
// 此の書は卷一は請書作文に注意すべき大綱二十蜍條を説き...
//り、卷二は文理例とて訓讀譯文の法及び文の變化を詭き、卷...
//つ】括して説明してある。
// 序跋がないから著邇の時代は明自でない。板本は多く明和...
//---------------------[End of Page 21]------------------...
//のもある。果して徂徠の自著であるか否かに就いては頗る疑...
// 否 定 説
// ω服南郭の物夫子著述書目記に「不v見一以上目中一者.皆非...
// 訓譯示蒙の名が見えて居ない。是れに依ると先づ徂徠の...
// 働諸家人物誌中の徂徠著書辨にも、
// 名ヲ剽シナ贋作轟力・〃モノ 訓譯示蒙
// としてあるo
// 働江村北海の授業編には、
// 譯文筌蹄は虚字の倭讀の同じきを辨析す、未だ助字に...
// 説す、是は名を徂徠に託したるものといふ、
// と云つて居る。
// ←り内容に疑はしい所が多いo共の一例としては、示蒙の初...
// 書籍ハ文ノ方ナラバ朱子ノ文ガヨシ、朱子ノ文ハ奇崛ナ...
// 的當セヌコトナシ、故二字義文理ノヨキ師範ナソ、字義...
// 二至テハ韓柳等ノ文人ノ文ヲ見ルベシ、四書五經諸子...
// 二合ニクキ間、字義文理合點ノ以後二見ルベシ、詩ノ...
// 點二落チヤスシ、ッイデニ唐ノ風骨ヲ覺エズ曾スルナ...
//---------------------[End of Page 22]------------------...
// 此の文を見るに、
//(イ)深く朱子を電奉して「上代の文は時代異なるゆゑ今人の...
// 朱子尊奉の意は全編に見え、卷二の文理例は悉く朱子の大...
// にも朱子の語を引くことが多く、論語詩經の詩を引くにも...
//字の解に、
// 依。元來ソフト云字ニテ依傍ト連用ス。ツキソヒ、ハナ...
// 「相依而不v舍之意」ト毛「如昂身著表」トモ「隨v之而...
// フテハナレズタガハヌ處ナソ。故ニタヨル意ニモ通ヒテ...
// ニカ・リク居ル意ナソ。由レ是因v是ナドノヨッ一7二倭...
// ノ|註法《OOOO》ヲ|忘《つ 》vタル|故。ナリ○|論。語...
// リ。「獪」ノ字ヲ置キタル註ハ字義的當セズ。共ノ證據...
// コレガ一ッニナルモノカo
// とあるが如きは、徂徠の定論と合しないo即ち.
// 讀書之道.以下識舌文辭「識申古語占爲v先.如昌宋諸老先...
// 所二能及一哉、然自二韓柳出而後、文辭大變、而言古今...
// |以《つ》二|今言《づつ》「|覗舌言。ハ|故其用《 ワ...
// 大學程朱の解、大きに違候事に候、(徂徠先生答問書)
//---------------------[End of Page 23]------------------...
// といふ論と全く相反して居る。又示蒙中に「仁者愛之理...
// も辨名中に駁して居る。
// (ロ)三體詩を引いた點も徂徠の持論と合はない。
// 南郭云、今の學者皆來翕に開眼せられたり〇三體詩を...
// 翕にて夜があけたり、(湯淺常山の文會雜記)
// |四書五經。の新註大全等宋儒語録、詩文にては東坡山...
// 法發明等、損友と可被思召候、(中略)唐詩逡唐詩品彙...
// と云つて居る通りで、三體詩に就ては徂徠は却て後世よ...
// 居る。
//以上の諸點より考へれば、僞書といふ説も頗る理由がある樣...
// 肯定説
// ①那波魯堂の學問源流には、
// 初朱子の學を喜んで護園隨筆といふ書を著逋す、「譯...
// とあつて、是れは肯定説である。 (但し魯堂が筌蹄と示...
// 正當で無い樣に思ふ)
// ②徂徠も最初は程朱を尊奉したことは、護園隨筆中に予十七...
// 之舞v之.足之蹈7之.自v此之後、愈盆戴昌程朱諸先生之...
//---------------------[End of Page 24]------------------...
// と云つて居るのでも分る。隨筆の著は正徳四年、徂徠四...
// の説に疑を抱いたことは、
// 蓋不佞小少時、已覺・宋儒之説.於・六經・有中不v...
// v意.左支右吾、中弯自省、甚不v安焉、(讓園隨筆)
// といへるを見ても分るが、兎に角五十歳以前は程朱を奉...
// すれば、例中に朱子の語を引くことは別に怪しむに足ら...
// 働三體誌は勿論徂徐の取らざる所であるが、實は示蒙のみ...
// 王を奉じて初唐盛唐の詩を圭張するに至る以前に於ては...
// の詩)を愛讀した時代があつたことは明かである。隨つて...
// ないo
// ω南郭の書目記に見えない事も否定する理由にはならない。...
// には、其の書の流傳を迷惑に威する餘り、廢毀を欲する...
// えない者で、徂徠の著に相違ないと云はれて居る書は他...
// ㈲山本北山著作文牽の中に「訓譯示蒙謬誤」といふ説があ...
// は明かである○即ち是亦肯定説に加ふべきか○
//要するに示蒙は筌蹄と同じく徂徐初年の著で、自身には出版...
//は、徠門に於て餘り重きを澄かなかつた事は、山縣周南の作...
//---------------------[End of Page 25]------------------...
//で、是れ等の事も出版を喜ばなかつた理由の一つであらう○然...
// 附記
// ○文筌か冒二卷 服部南郭著
// 南郭は、助辭には種々の用法ありて一概に説き瀧すべきも...
// も、共の趣は終に見るべからす、大に惑へ6と謂ふべし○と...
// 然し門人に問はれるの煩を避ける爲めに、數箇を筆にした...
// 過ぎない。助字を用ふる心得及び助字用法を=一論じてある...
// が、徠門の助字に對引る一端を見る參考にもと思ひて附記...
// ◎助字考 一卷 伊藤東涯著
//元祿六年即ち東涯二十四歳の時の序がある○奥田十亨の跋に
// 此書係二先師二十左右作h蓋要v爲乏乎者也用得底秀才蒔也、
//と云つて居る樣に、東涯弱年の作である。然し直ぐに出版し...
// 曷謂射利者、私刊公v世、蕁火v之、許以昌書成改刊n他日書...
// 而就v官.不v給二於務己v幾而先師易簀パ中略)不v果者二十...
// 稿稜ゾ之.途刊貽二同好「令v知二先師早歳之苦心騨焉已也...
//と云へるを見れば、東涯が士亨に校讐を命じたのは、死する...
//れより又二十年も經過して居るo時に士亨の追加した所もあるo
//---------------------[End of Page 26]------------------...
// 此の書は助字の中でも後置詞のみを解説したもので、初め...
//二字に就き、諸書の説を集め、一字毎に「胤按」として意見...
//る。是れは也矣也爾矣等の加く二字三字或は四字相連用した...
//た者である○用例は諸子百家の文が多く、經書は甚だ少い。卷...
//る○
// 附 記
// ○助字考小解 伊藤東所著
// 此の書は父の著に小解を附したものであらう。未見。
// ◎操觚字訣十卷 伊藤東涯
// ◎操觚字訣補遺五卷 伊藤東涯
//此の書は東涯の子東所の序に
// 先子嘗著|女訣。等書初學晩進、因以有v資焉.夙年爲昌|辨...
// 未v成v書.吁惜哉.於v是就一先子之遺稿「襲舊名嚇以纂二著...
//とある○「文訣」及び「辨同訓」は見るを得ないが、それを大...
//未定稿を東所が纂修したもので、此の序は寶暦十三年即ち東...
//未だ出版はされなかつた。それを明治十二年に村山徳淳の校...
//凡例中に
//---------------------[End of Page 27]------------------...
// 先子初年に、|異字同訓考。ヲ輯ム、タ・古文ノ同訓アル句...
// 操觚字訣ヲ草ス、同訓ノ義ヲ解ノ、古語ヲ引ク、三書未定...
// 文字ノ義二及ブモノァソ、韶悉哀集培補ノ、以・ブ此書ヲ...
// 一二用字格二傚ト云、先子所v輯ノ古語及注解、十居二=二...
// フス、皆奉昌承遺意h不三敢用昌拙見一云、
//とあるが、「異字同訓考」と「同訓雜誌」とは、序中の「文...
//い。但し東所が是れ等を一括し且つ培補して「字訣」を大成...
// 此の書の内容は、同訓異義の文字の意義を引證辨別し元者...
//(助字語辭の別は、一の緒説の部に舉げて置いた)卷四卷五は...
//別は、動詞形容詞等の中にて、多く人事に用ふるものを虚字...
//中に説明してある○)以上各ζ五十音順に文字を排列してある。...
//地理・人品・宮室等、門類を以て分つて居る。但し實際の文...
//區別は出來て居ない。
// 補遺は上編下編續編に分ち、上下雨編は虚字雜字を五十音...
//に就いて説いてある。此の補遺は眞に未定稿で、唯例を擧げ...
// 要するに本書は東涯東所父子の合同に・ひ6て成つた者で、...
//卷首に掲げセ篇法助辭及び字例數條の如きも、實に初學を盆...
//---------------------[End of Page 28]------------------...
// 附記
// ○新刊用字格三卷 伊藤東涯著
//此の書は各助字の意義を辨析したものではない。助字虚字の...
//勝こ「常不v行」.「不二自知こ「自不y信」等の如く位畳の變...
//集めて辨別したもので、寧ろ文法書に屬する者である。助字...
//に定評あれば今亦贅せす、此の書の刊行に就いて一言する。...
// 此書初稿未v經二改修h嘗被昌坊間竊刻「傳譌匪v鮮、印行既...
// 上木h爰就昌定杢逐件校樹、彙分臚列、條貫井然、庶菟噂魯...
//とある。此の跋は享保十九年に書いたもので、東涯の死する...
//字格は、定本に據うたものであるが、それより二十三年前、...
//がある○是れが右の跋に所謂「初稿未v經昌改修ハ嘗被二坊間...
//下二卷で甚だ不十分なものである。初刊も新刊も共に元祿十...
//別で、前者には「凡百四十條」といひ、後者には「凡得二三...
//べき點があるo内容に於ても亦大に精粗の差がある。或は東涯...
//だのかも知れない。
// ◎文家必用三卷 人見友竹著
//此の書は正徳五年に成つたもので、爾來最も廣く行はれて居...
//---------------------[End of Page 29]------------------...
// 世間助字解.不y下數十書爺其最膾炙者、文家必用、訓譯示...
//とあつて、果して妄鑿にして取るべきなきか否かは、固より...
//行はれたかは、之によつて察することが出來る。
// 序文によれば友竹始め此の書を著はし、之を講經作文に適...
//とは憚つて居た。共の中長崎にて舌人の業をなせる一儒生の...
//ひ、共の説を聞いて改竄を加へ、屡ζ草稿を易へて漸く出來た...
// 書中分つて三類とし、上卷は和辨類とて多くば副詞を説き...
//を説いて居る。中卷は助語類とて韻,契轗等を説いて居る。下...
//が、副詞等も混じて居る○和辨類と分辨類とはいろは順に排列...
//に例を舉げ、李易明瞭頗る要領を得たものが多いo譯文筌蹄に...
//引拷せし字書に就いては、凡例中に左の語がある○
// 註中日二字書【者.多引許氏説文、洪武正韻、韻會、培韻、...
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// 六 皆川淇園
// 徳川時代に於て助字虚字實字に關する著逋の尤も豐富なの...
//を一括すると、
//史記助字法(一名太史公助字法)二〇卷』左傳助字法二卷』詩...
// 卷』實字解三卷』實字解二編三卷』虚字詳解十五卷』助字...
//の十部ある。淇園の博學なると其の著書の多きとは、今之を...
//多いのに就いては一言しなければなら兎。
// 洪園は字義に特にカを用ひた人である。而も助字詳解卷首...
// 字義ハ字苔ノ注ニョリテ其大略ハ知〃レトモ、其精義に至...
// 法ニヨリコレヲ開カザレバ、トクトシタル處ハ知レザルコ...
//と言つて居る樣に、易の開物の法といふ事がある。開物の法...
//蟶より心意志情馨κ十九23を説解してある)の初に洋冷してあ...
//編の欠が痂朔で解し紡い〃ら.そμ〃引川;るワ
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// 淇園及v長.恒謂.不v知二字義薊文不v可v作.書不v可v解自v...
// 其眞h乃類彙古人用字之例反取二諸象形「求昌諸聲音門乃始...
// 聾生二於物h物生二於天地陰陽四時之有v常煮統轟乎道徳賀=...
// 卦傅ロ.紳也者、妙昌萬物爺爲"言者也、凡聖人之道、辨v名...
// 繋辭徳日.夫易何爲者也、囲物成ゾ務、又日、聞而當v名.辨...
// 記象式之法百、以v是開二名物之義薊雖二精微之極「亦可二...
// 讀二古人之書「則明白如v掲v日矣,
//と.以て其の意見を見ることが出來る。故に淇園の解は甚だ詳...
//のもある。
// ◎史記助字法(一名太史公助字法) 二卷
// ◎左傳助字法 二卷
// ◎詩經助字法 二卷
//〔三書編述年代〕 淇園の門人堀榮吉の左傳助字法の序に
// 曩者淇園先生、使下令・木・岡二君.就二左司馬二氏之書ハ...
//とある逋り、淇園の命によつて門人等が史記左傳兩書の助字...
//が、右の内史記左傅の助字法である。門人命木龍の記する所...
//たのを、後に史記の部と左傅の部とに分收して、兩助字法と...
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// 史記助字法は寳暦十年の出版で、淇園が二+亠ハ歳の時であ...
//録を命じたのは、淇園が二十三四歳の時であつたらう。
// 左傳助字法は朋和六年の出版で、九年も後れて居るが、吏...
//豫告してあるのを見ると、略ぱ同時代に成つたことは明白で...
// 詩經助字法は史記助字法より二十三年後の天明三年に、淇...
//が、其の序文中に、
// 蓋、先・是吾門嘗有二輯繁詩經助字法上者h業未v就、而稿...
//とあるより察すると、是れ亦門人が淇園の命によつて輯録し...
//其の初稿の成つた年代は明白でないが、何れ前の兩書と相距...
//[内容〕 史記助字法は、載する所の助字凡そ二百二十字、近...
//といふ樣に、標題を掲げて一逋りの説明を爲し、次に其の文...
//處簡單な説明が附せられ、其の各例の出處の如きは丁寧に枚...
// 左傳助字法は、.載する所の助字百九十徐、類排、出處、説...
//ば一用・也法一といふ詭明の末に冖略慶といふ一類がある樣...
//の助字の有るべき處に略せられて居ることを説いたのである○...
//例を出して説明してはあるが、特に標題を附したのは左傅助...
// 詩經助字法は、載する所百二十七字で、大體は前の兩助字...
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// 十六枚程の文を附載してある。
//〔詐論〕 史記助字法題言十則中に曰く、
// 左氏國語.倶有昌出入司馬班掾、互見輔異同h世途以謂、古...
// 屈垂h自不v得v不v然也、其矩度何曾差二銖分「故是編命v題...
//と、左國史漢各書、各ζ助字に異同あるは論を待たない所であ...
//といふのは、固よb妄論である。其の異同の中に自ら定法の存...
//それには各人各書に就いて探究しなければなら瀰。左傳助字...
//曰く、
// 至論共微ハ蓋亦人々有二其蜑夫人異則所v慮各殊、所慮各殊...
// 之於助字則安得二其同雍v然、古今載籍汗牛充棟不v啻也.我...
// 之於助字則又安得其不向蓋其不v同者形、其同者情、今苟欲...
// 逋'其情亠焉彼已渙然氷釋.
//助字の用法は、人により時代によりて異同があるばかbでなく...
//吏記左傳中にあつても、韻文を引用したものは除外してある...
//の逋りに言つてあるo
// 賦騷銘賛之類所v用助字、典雅精湛.自爲「二蟻與散文所7用...
//「別に成書あり」とあるは、或は詩經助字法を指すか、若し...
//---------------------[End of Page 34]------------------...
//るに至らなかつたのは、甚だ遺憾であるo
//要するに、從來の漠然πる助字の研究に一歩を進めて、各書に...
//着眼は、實に敬服に値すぺきもので、而も淇園が二十三四歳...
//卓見に服すべきである。
// 〔附記〕
// ○論語助字解 臼田陽山
// 各書に就いて其の書特有の語法を知るのは誠に大切なこと...
// が、未だ見ない。江村北海の授業編に、
// 矣の字の如き、先輩多く決定したる所にある字とし、和...
// を、臼田陽山と云ひし人の「論語助字解」に委しく是を...
// 論語中の矣の字を多く擧て其説を證す。今其一をいはゴ...
// ならす。天下のひろき、決して無とはの玉はす、まつは...
// 聞えて、其説を見れば、いかにも「ならん」と云程の事...
// と讀みては一向すまね所あり。「不幸短命死矣」などの...
// 多し。一偏に定め難し。
// とあるにて大凡其の書の一斑が窺はれるo要するに、 一書...
// め、己の説に合すると否とに關せす、公卆に到斷する樣に...
//---------------------[End of Page 35]------------------...
// ◎虚字解 二 卷 天明三年...
// ◎續虚字解 二 卷 寛政四...
//門人の序によると、淇園は壯歳に「虚字詮譯」といふ著があ...
//を、二十許年を經て門人の懇請巳むを得す之を補完したので...
//るo是れが虚字解であるG
// 遍周普等の虚字を類集して五十音順に排列し、説明は極め...
//部分もあつたが、初學の逋曉し難きを懼れて簡易にしたとあ...
//い處が多い。
// 績虚字解は虚字解に後る丶こと九年にして出版された。序...
//門生等が補ひ集めて又數千百字を得たので、讃園に其説明を...
//いふ。全く虚字解と同一體裁であるo
// ◎實字解 三卷 寛政三年出版
// ◎實字解二編 三卷 不 明
//初編の方は、天文、地理、衣飾の三部に分れて、天文の部六...
//九十四字で、大抵近似のものを類排してある。毎字の説明は...
//大に參考すべき所がある。
// 二編の方は、時令、宮室の二部で、時倉の部を一冊とし、...
//樣であるい
// ◎虚字詳解 十五卷 文化十年刊
//此の書は序跋がないが、町版された文化十年は、抵園の歿後...
// 虚字をいろは順に類排して詳密に説明したものであるが、...
//「虚字解獨簡奥、因更作二之詳解ことある逋り、前の虚字解...
//は一種の文章で甚だ解し難いo其の一例を示すと、
// |姿《スガメ》、,ソレガ向フヘモッテユクフヲガ、コチラ....
// トニスルト云フコトニナ、物ノ體ノタチユクシナノブ...
// 書生見v之日、龍鳳之姿.トイヘルモ其體ノ立ユキタル...
// ナリ(下略)
// ◎助字詳解 三卷 文化
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