彌富破摩雄「肥後方言俚謠「おてもやん」評釋」
をテンプレートにして作成
[
トップ
] [
新規
|
一覧
|
検索
|
最終更新
|
ヘルプ
|
ログイン
]
開始行:
彌富破摩雄
1932
「肥後方言俚謠「おてもやん」評釋」
『方言と国文学』2
https://app.box.com/s/rffodv7sdl2lzef4zbx0vwt32fzretw6
>>
肥後方言俚謠といへば、「おてもやん」といふのを以て白眉...
おてもやあん、あんた このごろ,
よめいり したではないかいな、
よめいりしたこつあ、したばつてん、むこうどんが,
ぐじやつぺ だけん、まあだ さかづきや、せんだつ
た、むらやく、とびやく、きもいりどん、あんふとた
ちの、をらすけん、いんまどぎやんきや、きやなろたい、
かわばたまつさん、きやまわれ、ぼうぶらどんが、し
りひつぴやじ、はなざあかり、はなざかり、
以上の通りであるが、到底他の國の人では理解が出來よう筈...
(一)オテモサン アナタ、此ノ頃、嫁入リシタデハナイカイ...
(二)ヨメ入リシタコトハ、シタケレド
聟ドンガ アバタダカラ
マダ盃ハ シナカツタ、
村役、鳶役、肝入ドン、
アノ人タチノ、居ラレルカラ、今ニドノヤウニカ、ナルダ...
(三)川端町ノ方へ 廻ツチマハウ
カボチヤドモガ、尻引キムイテ
花盛リ 花盛リ
といふのである。大略の筋は解らうが、末段の所が判然しまい...
先づ此の俚謠は三段に分れる。
第一段は
「オテモサン……デハナイカイナ」
迄で、此れは「おても」といふ薄馬鹿女の通り行くのを、熊本...
「やあん」は、「やん」で、「さん」。「したではないかいな...
第二段は
ヨメ入リシタコトハ……ナルダラウ
迄で、此れは「おても」が、其のからかひに引つかゝつて、ぺ...
「ばつてん」は肥前、肥後地方の特有の方言、此の語原に就...
行くばつてんー行くとはいひても
そりばつてんーそれ(り)とはいひても
したばつてんーしたりとはいひても。
「むこうどん」は「聟殿」。「ぐじやつぺだけん」「だけん」...
「さかづきやせんだつた」は、「盃はしなかつた」で、三々九...
「どぎやんきやきやなろたい」の「どぎやんきや」は「どのや...
「たい」、「ばい」は、咏嘆的接尾語で、上に「きや」といふ...
第三段は、上述の如き答を言ひすてゝ」、くるりと廻つて行...
川端町は白川端に添うた町、此れを出ると直ぐに白川で、此...
「きやまはれ」を意譯すると、「エゝ廻つちまへ」である。...
川端町を出きつた此の薄馬鹿の年増女は、路傍に用を足しつ...
以上の如く此れは熊本の方言を巧に綴り合はせ、一女性を躍...
<<
終了行:
彌富破摩雄
1932
「肥後方言俚謠「おてもやん」評釋」
『方言と国文学』2
https://app.box.com/s/rffodv7sdl2lzef4zbx0vwt32fzretw6
>>
肥後方言俚謠といへば、「おてもやん」といふのを以て白眉...
おてもやあん、あんた このごろ,
よめいり したではないかいな、
よめいりしたこつあ、したばつてん、むこうどんが,
ぐじやつぺ だけん、まあだ さかづきや、せんだつ
た、むらやく、とびやく、きもいりどん、あんふとた
ちの、をらすけん、いんまどぎやんきや、きやなろたい、
かわばたまつさん、きやまわれ、ぼうぶらどんが、し
りひつぴやじ、はなざあかり、はなざかり、
以上の通りであるが、到底他の國の人では理解が出來よう筈...
(一)オテモサン アナタ、此ノ頃、嫁入リシタデハナイカイ...
(二)ヨメ入リシタコトハ、シタケレド
聟ドンガ アバタダカラ
マダ盃ハ シナカツタ、
村役、鳶役、肝入ドン、
アノ人タチノ、居ラレルカラ、今ニドノヤウニカ、ナルダ...
(三)川端町ノ方へ 廻ツチマハウ
カボチヤドモガ、尻引キムイテ
花盛リ 花盛リ
といふのである。大略の筋は解らうが、末段の所が判然しまい...
先づ此の俚謠は三段に分れる。
第一段は
「オテモサン……デハナイカイナ」
迄で、此れは「おても」といふ薄馬鹿女の通り行くのを、熊本...
「やあん」は、「やん」で、「さん」。「したではないかいな...
第二段は
ヨメ入リシタコトハ……ナルダラウ
迄で、此れは「おても」が、其のからかひに引つかゝつて、ぺ...
「ばつてん」は肥前、肥後地方の特有の方言、此の語原に就...
行くばつてんー行くとはいひても
そりばつてんーそれ(り)とはいひても
したばつてんーしたりとはいひても。
「むこうどん」は「聟殿」。「ぐじやつぺだけん」「だけん」...
「さかづきやせんだつた」は、「盃はしなかつた」で、三々九...
「どぎやんきやきやなろたい」の「どぎやんきや」は「どのや...
「たい」、「ばい」は、咏嘆的接尾語で、上に「きや」といふ...
第三段は、上述の如き答を言ひすてゝ」、くるりと廻つて行...
川端町は白川端に添うた町、此れを出ると直ぐに白川で、此...
「きやまはれ」を意譯すると、「エゝ廻つちまへ」である。...
川端町を出きつた此の薄馬鹿の年増女は、路傍に用を足しつ...
以上の如く此れは熊本の方言を巧に綴り合はせ、一女性を躍...
<<
ページ名: