朝山信彌「鶴林玉露の「黄榜」などについて」
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朝山信彌
「国語・国文」第7巻第12号(昭和12年12月)
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一
南宋の「鶴林玉露」の中に、
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余少年時於鐘陸邂逅日本国一僧名安覚自言離其国已十年欲尽記...
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と言ふ記載がある。その中の日本語彙「僧曰黄榜」とあるのに...
二
此処に一言お断りして置きたいと思ふ事は、以下の私の論は...
さて、「榜」字は、古代音は別として、現代の諸方言悉く音...
〔paη〕
〔pa゜η〕
〔poη〕
〔pa〕
〔pa゜〕
〔po〕
等が考へられるが、韻尾の消失は新しい形であり、韻母につい...
第一、第二、第三、の場合には韻尾の〔ng〕がある。これが...
私のこの臆説が許されるならば、次に、「榜」字の母音部〔a...
三
国語におけるエウ・オウの母音群が、漸くオ列の単長母音に...
古今集の「芭蕉」が「ばせを」(5)であったと同時に、又程な...
四
エウ・オウの長母音化が表記法上の混乱をきたしたにかゝは...
唯今までの学説では所謂開音のオの歴史が不明瞭であって、...
以上はもとより論文の体をなさない平俗な覚書であった。唯...
註
(1) B. Karlgren: Etude sur la phonologie chinoise.
(2) これは大体の論であって、実は十分に説明のついて居な...
(3) 国語国文昭和九年九月、伊藤寿一氏稿
(4) 承徳三年点将門記、兇の音註の「ケウ」、東寺百合文書...
(5) 和名類聚抄、新撰字鏡等にも。
(6) 字音仮字用格。太田方、関藤政方等に説があるが採用出...
(7) 大唐三蔵玄奘表啓の「許のコウ」、金剛般若集験記の「...
(8) 伊藤氏の前掲論文によれば、同書にはアハワ三行の表記...
(9) 国語と国文学昭和十年五月、星加宗一氏稿。
(10)橋本進吉博士「吉利支丹教義の研究」土井忠生博士「近...
(追記) 本文には直接関係のない事で省略したが、「黄」字は...
第二項について――オウ・エウの表記法上の混乱例は、平安末...
最後に前には言はなかった事であるが、「黄」の鼻音尾が後...
以上、初校後の余白を戴いて追記して置く。(十一月一日)
―昭和十二年十月十六日―
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朝山信彌
「国語・国文」第7巻第12号(昭和12年12月)
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一
南宋の「鶴林玉露」の中に、
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余少年時於鐘陸邂逅日本国一僧名安覚自言離其国已十年欲尽記...
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と言ふ記載がある。その中の日本語彙「僧曰黄榜」とあるのに...
二
此処に一言お断りして置きたいと思ふ事は、以下の私の論は...
さて、「榜」字は、古代音は別として、現代の諸方言悉く音...
〔paη〕
〔pa゜η〕
〔poη〕
〔pa〕
〔pa゜〕
〔po〕
等が考へられるが、韻尾の消失は新しい形であり、韻母につい...
第一、第二、第三、の場合には韻尾の〔ng〕がある。これが...
私のこの臆説が許されるならば、次に、「榜」字の母音部〔a...
三
国語におけるエウ・オウの母音群が、漸くオ列の単長母音に...
古今集の「芭蕉」が「ばせを」(5)であったと同時に、又程な...
四
エウ・オウの長母音化が表記法上の混乱をきたしたにかゝは...
唯今までの学説では所謂開音のオの歴史が不明瞭であって、...
以上はもとより論文の体をなさない平俗な覚書であった。唯...
註
(1) B. Karlgren: Etude sur la phonologie chinoise.
(2) これは大体の論であって、実は十分に説明のついて居な...
(3) 国語国文昭和九年九月、伊藤寿一氏稿
(4) 承徳三年点将門記、兇の音註の「ケウ」、東寺百合文書...
(5) 和名類聚抄、新撰字鏡等にも。
(6) 字音仮字用格。太田方、関藤政方等に説があるが採用出...
(7) 大唐三蔵玄奘表啓の「許のコウ」、金剛般若集験記の「...
(8) 伊藤氏の前掲論文によれば、同書にはアハワ三行の表記...
(9) 国語と国文学昭和十年五月、星加宗一氏稿。
(10)橋本進吉博士「吉利支丹教義の研究」土井忠生博士「近...
(追記) 本文には直接関係のない事で省略したが、「黄」字は...
第二項について――オウ・エウの表記法上の混乱例は、平安末...
最後に前には言はなかった事であるが、「黄」の鼻音尾が後...
以上、初校後の余白を戴いて追記して置く。(十一月一日)
―昭和十二年十月十六日―
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