松井簡治「源氏に於ける古代の註釈及び研究」
をテンプレートにして作成
[
トップ
] [
新規
|
一覧
|
検索
|
最終更新
|
ヘルプ
|
ログイン
]
開始行:
松井簡治
源氏物語
http://www.box.com/s/nn8rg7i84o7bgrms0aj9
『国語と国文学』
<!-- 一222一一
、困國語と國+人墨丁
二⊥ρ 艇
源氏物語號
源氏に於ける古代の註釋及び研究
丶
松井簡治
今回本雜誌に源氏物語の特別號が發刋きれるので何か書くや...
すべて何事でも一つの研究をするのには前人が其れに就いて...
必要がある。前人の既にやつた事と重複な事をして無釜な勞力...
業を受繼いで其の上に新研究をしてこそ學問も進歩するのであ...
ら註釋もし研究もしたものでは萬葉、源氏其他伊勢物語や古今...
でも約百數十部もある。其のゐもなる者について一逋うどんな...
うと思つて、煩瑣に渉る嫌はあるが書名丈でも舉げてあく事に...
源氏の研究は鎌倉時代から起つたもので伊行の奧入が其の魁...
も出たが、簡單な語句の註釋位で、未だ幼稚の域を脱しない。...
---------------------[End of Page 523]---------------------
223一一一
て大に面目を一薪し、」條兼良公の花鳥餘情が之に次で一層精...
の祀ともいふべきもので、後の註家は其の惠を蒙ら粗ものはな...
けて(後に圖示した逋)西三條家の實隆・公條・實澄の三代、宗...
ぬものはない。源氏の註釋は悉く其人々の手に成つたものであ...
進歩の跡はあるが大體其範圍を脱しない。中院逋勝は細川幽齊...
が出來て古來の読を一新し、此書以前を古註といつて一時期を...
多少訂正して新読もあるが契沖の著としては十分なものとはい...
編纂したもので、始の二三卷は原稿を更へて苦心せられたやう...
はないo多くは湖月抄の儘で薪説は少い。宣長の玉小櫛は註釋こ...
室前の卓見である。語句の註でも脱文か誤字かと指摘された箇...
るのを見ても讀書眼の非凡であつた事が知られる。安藤年山の...
の読は玉小櫛と共に永く傳ふべきものであるρ萩原廣道の詐釋は...
るが、花宴迄で未完なのは惜しむべきである。斯樣に多數の者...
の政治風俗に就いて未だ十分に述べた蔦のはない。叉源氏以前...
源氏に於ける古代の註釋及び研究 ...
---------------------[End of Page 524]---------------------
21.4,
國語乏國丈學源氏物語凱 .三八六
宇津保との類似關係を邇べてある外にあまり見えない。修辭上...
等は徇將來に待つべきものである。藤岡博士の國丈學杢史、五...
る詐論はきすがに明治以後の作として大に見るべきものである...
られん事を希ふのである。左に其の註釋書の著者及び其年代等...
一、全部に渉つて註釋したものo
源氏奧入及追加 三卷(群書類從三一五)奥入は藤原伊行等の...
水原抄 五十四卷 源光行及親行等 光行は後鳥豺帝の時の...
紫明抄一〇卷源孝行二読親行)孝行は光行の子で河内守式部丞...
紫明拾遺抄 一卷
原中最秘抄 二卷(類從三=ハ) 親行の孫行阿の著で藤原長親...
河海抄 二十卷 四辻善成(國丈註釋全書)善成は順徳院の御...
源氏物語千鳥抄 一卷 (續類從五一六) 此書は四辻誰晟の...
---------------------[End of Page 525]---------------------
一一一225
花鳥餘情
源氏物語和秘抄
種玉編次抄
源氏一滴集
弄花抄
明細.・一
星.流葉
抄抄抄
源:宗薄
源氏
4:物磧
於語
け抄抄紫
.る
変なものである〇
二十卷薗文註釋全書)一條兼冥が應仁の胤を奈頁に避けて層るψ...
の跋がある。兼良は輕飼ω子で關白太政大臣となり應仁...
一卷 」條兼良(續類從五天)初學者のため簡單に摘註したも...
一卷 宗祗
二卷 正徹 永享十二年作
七卷 牡丹花省柏 文明八年作
西三條實隆よりの聞書で花鳥河海の繍…正をしたもの〇
十五卷 同人 朋應四年作
二十卷 西三條公條 大永八年作 (國丈註釋全書)
五十五卷・西三條實澄
細流に小補婁)たものO
二十卷宗長
山ハ卷 日刀村齋心不碩
五卷 猪苗代兼載 二喝
古代の註釋及び研究 ・ ...
---------------------[End of Page 526]---------------------
國語ピ國丈學 源氏物語號 ...
孟津抄 五十四卷 九條種逋 天正三年作
萬水一露 六十二冊(二十八卷)能登永閑 天正三年作、寛文三...
覺性院抄 二十五冊 覺性
多く西三條實隆の読によるo
紹巴抄 九册(二十卷)里村紹巴 是れに水原紫明抄と名づけた...
休聞抄(一名源氏物語隣書) 十五册 昌林 天丈十九年作
林逸抄五十四卷林宗二
源氏物語註 五十卷 細川幽齋
眠江入楚五十五卷中院逋勝慶長三年作(國丈註釋全書)
三源一覽十卷藤原逋俊
源義弁引抄 廿卷 一華堂切臨 萬治刊
四三條實澄の講義を筆記したものo
源氏物語講釋五十五卷中院逋茂
首書源氏物語 五十四卷 子眞 延寶元年刊
諸抄を抄錐して頭設にしたものO
---------------------[End of Page 527]---------------------
一一227一一一
湖月抄
源氏一簣抄
源註拾遺
源氏物語新釋
玉小櫛
同補遺
源註餘滴
源氏物語註
源氏物語評釋諦讎
源氏に於ける
源氏物玉の御須磨流
志ハ十巻 北n村季叭呪 延㎞轡恐二年刊
七十三卷 堀河悠見
八卷 契沖 元祿九年作
湖月抄によつて諸註の誤を正し又自詭を加へたもの〇
五十四卷 賀茂眞淵 寶暦八年作 (藁淵全集)
九卷 本居宣長 (宣長全集)
源氏鈴の音色、.七卷は本書と同様なものであるQ
二冊 鈴木朗 丈政三年刊
廿卷 (國書刊行會)
十六卷 激加亠小田守訓
五十三卷 齋藤彦麿
十三卷 萩原廣遘 (國丈註釋全書)
語釋二卷餘釋二卷は夕顔迄、詳釋丈は花宴まであるO
古代の註釋及び研究
一二丸九
---------------------[End of Page 528]---------------------
一一228亠
鼻
國語と國丈學 源氏物語號
兼良以後契沖以前の註釋系統を圖示すれば左の如くである。
一條兼良…-ll宗祗
(花鳥餘情)
(源語秘訣)
(源氏和秘抄)
● 齟
(不審抄,出)
(雨夜談抄)
(種玉編次抄)
一三〇〇
…西三條實隆-!ー公 條ーー實 澄レー「
(細流抄) (㎎星抄ノ 一
叩
ー宗長
(薄紫)
癒逋
(孟津抄)
f紹巴
(紹巴抄)
- 宗碩ーー……t能登永閑(宗碩異母弟)
(宗碩抄) (萬水一露)
(源氏男女裝束抄)
ー肯柏ー宗 二
(弄花抄) (林逸抄)
(一葉抄)
f
類源肇
字 田
源氏代
語 兼
軫軫載
---------------------[End of Page 529]---------------------
一一・229一一・
箕源細
形氏川
物
如語幽
摩彗欝
雨夜談抄一轡喀蝙
オ拐磁
伏屋塵韈
紫語素註遡賦
少女卷抄註
湖月抄別註糴
雨夜物語疫み詞
リニし
源語會讀抄翻.蜜
「ー松永貞徳ー
庵…・…北村季叭ユ
ニ、源氏の或一二卷だけ註繹し控もの。.
.伽
一轟ニー一^一一^.一A
卷燈冊卷卷卷卷
{
ーー帝院逋勝」
(眠江入楚)
.淋…ー、.
「北村季吟
}(湖月抄)
「一華堂切臨
(源語辨引抄)
…(源氏綱目)
「毒中院通茂
(源氏物語講義)
宀不祗冖 (續類從五一九)
後水尾帝御作 (同五二〇)
村上影面
鈴・木朗 文政七年刊
橘守晶郡 (橘守部臺集)
加藤宇萬伎 安永六年刊
石擂眞國 ・
.三、源氏物語の語彙をいろは引にして説明した辭書
源氏に於ける古代の註釋及び研究
●
噌三〇U
'
---------------------[End of Page 530]---------------------
一一230一一
國語と國丈學 源氏物語號
仙源抄臣瞭揚
類字源語鈔卜銘
源氏目案
源氏節用集
源 語 詁
一卷 長慶帝御作 (群書類從三,一八〉、、
三卷 竺常(墸補一卷紹永) (續類從五一七)
四一六
卷:卷卷
刊
五井純頑}
四、源氏物語の梗概及び摘要
源氏の杢部叉は各卷の梗概を述たもの、叉大要を摘録したもの...
源ゐ六十源源紫源木
氏き帖帖美睚氏
な 略 芙
肝源源源露綱愚小
要氏氏氏勉目抄鑑蓉
二漕卷 元久元年の作で正四位下左近衞權少將とある。
三卷 藤原長親(慶安四年刊)
四卷 是は宗長の作だといふ。一篇中簡要な部分を抄録したも...
九卷 一華堂切臨(刊本).
十二卷(刊本)
十卷 野々口立圃(刊本)
六卷
十卷 同人{寛文十年刊)
一卷
一三〇二
---------------------[End of Page 531]---------------------
一一231一
源氏大概抄 一卷(刊本)
源氏遘しるべ 一卷 素兄堂(寶永三年刊)
源氏物甑㎜提要 六卷 源籔…政
五、普逋語に譯し拠もの
是れには原文の字句を一々たどつて譯したものと大意だけ摘ん...
紫文蜑の囀七十二冊多賀牛七
宿木の卷迄四十九帖丈出來たが著者が病氣に罹つて五帖だけ完...
帚木室嬋の三卷は享保八年に刊行したが、跡は未完のま丶傳つ...
譯し、難いものは頭註を施してある。譯解としては最も親切な...
たものでは、
薪 編 紫 史 十卷 増田于信 明治卅七年刊
叉近年出來たものでは佐々博士外二氏の新譯源氏物語二冊(明治...
ある。
六、源氏中の秘事秘傳及び難語摘解
源氏の中の或る事物の説明を秘事秘傳として師弟簿承したのは...
源氏に於ける古代の註釋及び研究 . ...
---------------------[End of Page 532]---------------------
一一一232
國語と國文學-源氏物語號.、■ . 、,,、
られるが、其れも研究の幼稚な時代の歴史的遺物と七て捨て難...
源氏三箇大事 一卷
源氏十五箇條奧義 一卷(刊本)
叉難解の事項を詭明したものには、
弘安源氏論義
源語秘訣鈔
不審抄出
清石問答
源氏爪印
楊名介考
冊冊巻卷卷
源具顯判(類聳三七)ド
一條兼良(延寳八年刊) (類從三一四)
{ホ祗 河海花鳥所載以外の不審の條につき一條条頁との問答。
濡水濱臣と石川雅切孟との問答o
黒澤翕満
高田與清
一.三〇四
七、源氏に表れ控有職故實
源氏の中の故實に關しては各註釋書にも多少説明があ5、特に萩...
が、單行本と↓ては、
源氏男女装束抄一巻月村齊宗碩の著に壷井義知壜補し其に渡邊...
源氏官職故貧秘抄八冊壷井義知の署で少女卷迄ある。嬰藤籌に...
季
---------------------[End of Page 533]---------------------
一一233=一一一一一
源語問答 →卷 松岡行義
八~源氏に表はれた人物
源氏の中に表はれて居る人物の略傳は前に述べた系圖には大體...
し得るものでは、
掌中源氏物語 一卷 尾崎雅嘉(寛政九年刊)
源氏物語名寄圖考 一折 源氏物語名寄圖に清水濱臣が解釋...
源氏紐鏡 一卷 源匡李(安政五年刊)是れは源氏に衷はたて...
源氏人々の心くらべ 一卷 (類聳=四)源氏に表はれた人物の...
、九、準據説(即ち何人かをモデμとして書いたといふ説)
仙源抄には光源氏は宇多帝の四子敦慶親王(玉光宮)に擬しπもの...
在原業李叉は源光といひ、左邏の事より西宮高明だといひ、河...
はない。時代も種々に擬して論じてあるが、左の書の外別に單...
源氏紐鏡一卷堀内昌卿當時靂史にあて重實の類似を説きたるも...
十、年表系圖
年表は眠江入楚などには毎卷の年立があるが、單行したもので...
源氏に於ける古代の註釋及び研究 ...
---------------------[End of Page 534]---------------------
234一一一
國語と國交學 源氏物語號 . ...
源氏物語年立-二卷 一條条良レ
湖月抄附録年立 一卷
首書源氏物語附録年立 一卷
玉小櫛(卷の三) 一卷
源氏年紀考付年紀圖読 一卷 本居宣長
すみれ草(下卷) 北村久備
人物の系圖では、
湖月抄附録系圖 一卷 ...
首害源氏物説附録系圖 一卷
すみれ草(上中卷) 二卷
掌中源氏物語系圏 一帖 山田常典(弘化元年刊)
補訂源氏物語系圖 一鋪 森嘉某(文政三年刊)
年表系圖共にすみれ草が最もよい。掌中源氏系圖も座右に具へ...
十圃、源氏物語の卷數
源氏の卷數は名ばかりで詞のない雲隱の巻を合せて五十四帖と...
---------------------[End of Page 535]---------------------
一一X35一一一
る。五†四帖の外に獪二卷があるといふ読(拾芥抄)っ雲隱の卷は...
らうといふ説(紫明抄)。雲隱卷は詞も卷名もなかつたのを後人...
學全史)。甚しいのは天台の六十卷に擬して六卷を僞作して添附...
ら餘ウの年數隔たら顧更科日記には五十餘卷とある。餘卷では...
(籍祿元年「一八八五」二月十六日の條)に自二去年十一月一以=...
昨日表紙訖、今書二外題一とあるから定家時代には五十四帖で...
元年「一八九五」に歿した人。)の源氏供養の表自(湖月抄附録)...
從三一三に載せてある漢文の願文(聖覺の文を後人が私意を加へ...
之袈階一とある。雲隱の名はあつて詞のないといふ事は前にい...
年(一九五一)の賦コ源氏物語一詩(類從一三四)にも卷名だけが...
に浦傳、束屋の次に狹席の卷があつて二卷多い。拾芥抄は中園...
院實熈の著ではない)であるから淀海抄などよめは古い。此事に...
自分も説はあるが今回は參考書を基げる丈の目的だから省く。...
六卷を僞作したのは室町時代のものである。(清少塾昌口の作と...
に掲げる。
櫻人存賄一卷別に註一卷
源氏に於ける古代の註釋及び研究 ...
---------------------[End of Page 536]---------------------
一236
國語と國丈學
集 守
八、. 橋
嵯.峨野-トばレ諸
法師レ檳い
源氏物語號
ぬ
卷卷卷卷
一三〇八
同前二
同前
同前
同前
獪山路の露(伊行の作といひ又實隆の作ともいふのもある)Q(續...
僞作したもの一卷あつて合せて六卷となるo獪雲隱には淺井了意...
十二、源氏の索引
索引には語彙の索引と事項の索引とが二種ある。前者にはう
源氏物語類語
電源氏物語不携塵
語語類詞
.源氏物語麻袋
源語類聚抄
事項の索引では、
源氏事類
六冊 岸本弓絃
二冊 本多忠憲
三冊 著者未詳
五十卷,榎並隆嗹
五卷 高田與清
いろは引で卷名も湖月抄本の丁數も擧げてある。
是れも前書と同樣卷名も丁數も擧げて簡單ではあるが要を得て...
\
五卷 皿薯冖者不詳 事物をいろ孤引に《、例へば「いし...
---------------------[End of Page 537]---------------------
一一237一一
を拔抄してあるo
・源 氏 彙 事 六卷 畑中成雄
十三・源氏物語㊨影響
源氏が後世の文學に影響した事は多大なものであるが、其の事...
源氏に關係のある後世の和歌を蒐集し霞ものには、
源氏支流 二册 著者不詳
十四、源氏の歌
源氏の中にある歌を抄出して編輯したものには、
源氏歌鑑か蠡噸甑 一卷
源氏に引用せられた歌を卷を追うて抄録したものには、
源氏引歌 」卷(承應三年刊)
十五、作歌作文等の資料
源氏物語中から佳句叉は一節を抄出して和歌俳句叉は作文の資...
源語斷錦 十卷 川上靜庵
紫文製錦 八卷 橋本稻彦(文化十四年刊)
源氏に於け"る古代の註釋及び研究 ...
---------------------[End of Page 538]---------------------
一238一騨
國語と國丈學 源氏物語號 ...
源氏物語一部連歌可用詞.一卷
蘭六、式部の傳記及び源氏編纂時代
式部の傳記は各註釋書に見え、獪石山寺で須磨明石の二卷を書...
は萬水一.露を始め契冲の源註拾遺にもあるが是等に就いて最も...
紫家七論で卷安藤爲章
獪儒學の見よう式部を論じたもの。
源氏外傳五卷熊澤蕃山もと五四卷あつたのを中院通蔡鏤したも...
日本記御局考 一冊藤井高徇 (是は式部を日本紀の局といつ...
嗣七、定家の源氏各卷の歌
藤原定家が源氏の各卷に、一首づ丶詠んだといふ歌がある。其...
,水 原跿瀦敵二冊黏倫文安六年(一コ〇九)作. ...
源氏物語歌註 細川幽齋
源氏の異本については河内本青表紙本耕雲本等があるが今回は...
海o
---------------------[End of Page 539]---------------------
-->
終了行:
松井簡治
源氏物語
http://www.box.com/s/nn8rg7i84o7bgrms0aj9
『国語と国文学』
<!-- 一222一一
、困國語と國+人墨丁
二⊥ρ 艇
源氏物語號
源氏に於ける古代の註釋及び研究
丶
松井簡治
今回本雜誌に源氏物語の特別號が發刋きれるので何か書くや...
すべて何事でも一つの研究をするのには前人が其れに就いて...
必要がある。前人の既にやつた事と重複な事をして無釜な勞力...
業を受繼いで其の上に新研究をしてこそ學問も進歩するのであ...
ら註釋もし研究もしたものでは萬葉、源氏其他伊勢物語や古今...
でも約百數十部もある。其のゐもなる者について一逋うどんな...
うと思つて、煩瑣に渉る嫌はあるが書名丈でも舉げてあく事に...
源氏の研究は鎌倉時代から起つたもので伊行の奧入が其の魁...
も出たが、簡單な語句の註釋位で、未だ幼稚の域を脱しない。...
---------------------[End of Page 523]---------------------
223一一一
て大に面目を一薪し、」條兼良公の花鳥餘情が之に次で一層精...
の祀ともいふべきもので、後の註家は其の惠を蒙ら粗ものはな...
けて(後に圖示した逋)西三條家の實隆・公條・實澄の三代、宗...
ぬものはない。源氏の註釋は悉く其人々の手に成つたものであ...
進歩の跡はあるが大體其範圍を脱しない。中院逋勝は細川幽齊...
が出來て古來の読を一新し、此書以前を古註といつて一時期を...
多少訂正して新読もあるが契沖の著としては十分なものとはい...
編纂したもので、始の二三卷は原稿を更へて苦心せられたやう...
はないo多くは湖月抄の儘で薪説は少い。宣長の玉小櫛は註釋こ...
室前の卓見である。語句の註でも脱文か誤字かと指摘された箇...
るのを見ても讀書眼の非凡であつた事が知られる。安藤年山の...
の読は玉小櫛と共に永く傳ふべきものであるρ萩原廣道の詐釋は...
るが、花宴迄で未完なのは惜しむべきである。斯樣に多數の者...
の政治風俗に就いて未だ十分に述べた蔦のはない。叉源氏以前...
源氏に於ける古代の註釋及び研究 ...
---------------------[End of Page 524]---------------------
21.4,
國語乏國丈學源氏物語凱 .三八六
宇津保との類似關係を邇べてある外にあまり見えない。修辭上...
等は徇將來に待つべきものである。藤岡博士の國丈學杢史、五...
る詐論はきすがに明治以後の作として大に見るべきものである...
られん事を希ふのである。左に其の註釋書の著者及び其年代等...
一、全部に渉つて註釋したものo
源氏奧入及追加 三卷(群書類從三一五)奥入は藤原伊行等の...
水原抄 五十四卷 源光行及親行等 光行は後鳥豺帝の時の...
紫明抄一〇卷源孝行二読親行)孝行は光行の子で河内守式部丞...
紫明拾遺抄 一卷
原中最秘抄 二卷(類從三=ハ) 親行の孫行阿の著で藤原長親...
河海抄 二十卷 四辻善成(國丈註釋全書)善成は順徳院の御...
源氏物語千鳥抄 一卷 (續類從五一六) 此書は四辻誰晟の...
---------------------[End of Page 525]---------------------
一一一225
花鳥餘情
源氏物語和秘抄
種玉編次抄
源氏一滴集
弄花抄
明細.・一
星.流葉
抄抄抄
源:宗薄
源氏
4:物磧
於語
け抄抄紫
.る
変なものである〇
二十卷薗文註釋全書)一條兼冥が應仁の胤を奈頁に避けて層るψ...
の跋がある。兼良は輕飼ω子で關白太政大臣となり應仁...
一卷 」條兼良(續類從五天)初學者のため簡單に摘註したも...
一卷 宗祗
二卷 正徹 永享十二年作
七卷 牡丹花省柏 文明八年作
西三條實隆よりの聞書で花鳥河海の繍…正をしたもの〇
十五卷 同人 朋應四年作
二十卷 西三條公條 大永八年作 (國丈註釋全書)
五十五卷・西三條實澄
細流に小補婁)たものO
二十卷宗長
山ハ卷 日刀村齋心不碩
五卷 猪苗代兼載 二喝
古代の註釋及び研究 ・ ...
---------------------[End of Page 526]---------------------
國語ピ國丈學 源氏物語號 ...
孟津抄 五十四卷 九條種逋 天正三年作
萬水一露 六十二冊(二十八卷)能登永閑 天正三年作、寛文三...
覺性院抄 二十五冊 覺性
多く西三條實隆の読によるo
紹巴抄 九册(二十卷)里村紹巴 是れに水原紫明抄と名づけた...
休聞抄(一名源氏物語隣書) 十五册 昌林 天丈十九年作
林逸抄五十四卷林宗二
源氏物語註 五十卷 細川幽齋
眠江入楚五十五卷中院逋勝慶長三年作(國丈註釋全書)
三源一覽十卷藤原逋俊
源義弁引抄 廿卷 一華堂切臨 萬治刊
四三條實澄の講義を筆記したものo
源氏物語講釋五十五卷中院逋茂
首書源氏物語 五十四卷 子眞 延寶元年刊
諸抄を抄錐して頭設にしたものO
---------------------[End of Page 527]---------------------
一一227一一一
湖月抄
源氏一簣抄
源註拾遺
源氏物語新釋
玉小櫛
同補遺
源註餘滴
源氏物語註
源氏物語評釋諦讎
源氏に於ける
源氏物玉の御須磨流
志ハ十巻 北n村季叭呪 延㎞轡恐二年刊
七十三卷 堀河悠見
八卷 契沖 元祿九年作
湖月抄によつて諸註の誤を正し又自詭を加へたもの〇
五十四卷 賀茂眞淵 寶暦八年作 (藁淵全集)
九卷 本居宣長 (宣長全集)
源氏鈴の音色、.七卷は本書と同様なものであるQ
二冊 鈴木朗 丈政三年刊
廿卷 (國書刊行會)
十六卷 激加亠小田守訓
五十三卷 齋藤彦麿
十三卷 萩原廣遘 (國丈註釋全書)
語釋二卷餘釋二卷は夕顔迄、詳釋丈は花宴まであるO
古代の註釋及び研究
一二丸九
---------------------[End of Page 528]---------------------
一一228亠
鼻
國語と國丈學 源氏物語號
兼良以後契沖以前の註釋系統を圖示すれば左の如くである。
一條兼良…-ll宗祗
(花鳥餘情)
(源語秘訣)
(源氏和秘抄)
● 齟
(不審抄,出)
(雨夜談抄)
(種玉編次抄)
一三〇〇
…西三條實隆-!ー公 條ーー實 澄レー「
(細流抄) (㎎星抄ノ 一
叩
ー宗長
(薄紫)
癒逋
(孟津抄)
f紹巴
(紹巴抄)
- 宗碩ーー……t能登永閑(宗碩異母弟)
(宗碩抄) (萬水一露)
(源氏男女裝束抄)
ー肯柏ー宗 二
(弄花抄) (林逸抄)
(一葉抄)
f
類源肇
字 田
源氏代
語 兼
軫軫載
---------------------[End of Page 529]---------------------
一一・229一一・
箕源細
形氏川
物
如語幽
摩彗欝
雨夜談抄一轡喀蝙
オ拐磁
伏屋塵韈
紫語素註遡賦
少女卷抄註
湖月抄別註糴
雨夜物語疫み詞
リニし
源語會讀抄翻.蜜
「ー松永貞徳ー
庵…・…北村季叭ユ
ニ、源氏の或一二卷だけ註繹し控もの。.
.伽
一轟ニー一^一一^.一A
卷燈冊卷卷卷卷
{
ーー帝院逋勝」
(眠江入楚)
.淋…ー、.
「北村季吟
}(湖月抄)
「一華堂切臨
(源語辨引抄)
…(源氏綱目)
「毒中院通茂
(源氏物語講義)
宀不祗冖 (續類從五一九)
後水尾帝御作 (同五二〇)
村上影面
鈴・木朗 文政七年刊
橘守晶郡 (橘守部臺集)
加藤宇萬伎 安永六年刊
石擂眞國 ・
.三、源氏物語の語彙をいろは引にして説明した辭書
源氏に於ける古代の註釋及び研究
●
噌三〇U
'
---------------------[End of Page 530]---------------------
一一230一一
國語と國丈學 源氏物語號
仙源抄臣瞭揚
類字源語鈔卜銘
源氏目案
源氏節用集
源 語 詁
一卷 長慶帝御作 (群書類從三,一八〉、、
三卷 竺常(墸補一卷紹永) (續類從五一七)
四一六
卷:卷卷
刊
五井純頑}
四、源氏物語の梗概及び摘要
源氏の杢部叉は各卷の梗概を述たもの、叉大要を摘録したもの...
源ゐ六十源源紫源木
氏き帖帖美睚氏
な 略 芙
肝源源源露綱愚小
要氏氏氏勉目抄鑑蓉
二漕卷 元久元年の作で正四位下左近衞權少將とある。
三卷 藤原長親(慶安四年刊)
四卷 是は宗長の作だといふ。一篇中簡要な部分を抄録したも...
九卷 一華堂切臨(刊本).
十二卷(刊本)
十卷 野々口立圃(刊本)
六卷
十卷 同人{寛文十年刊)
一卷
一三〇二
---------------------[End of Page 531]---------------------
一一231一
源氏大概抄 一卷(刊本)
源氏遘しるべ 一卷 素兄堂(寶永三年刊)
源氏物甑㎜提要 六卷 源籔…政
五、普逋語に譯し拠もの
是れには原文の字句を一々たどつて譯したものと大意だけ摘ん...
紫文蜑の囀七十二冊多賀牛七
宿木の卷迄四十九帖丈出來たが著者が病氣に罹つて五帖だけ完...
帚木室嬋の三卷は享保八年に刊行したが、跡は未完のま丶傳つ...
譯し、難いものは頭註を施してある。譯解としては最も親切な...
たものでは、
薪 編 紫 史 十卷 増田于信 明治卅七年刊
叉近年出來たものでは佐々博士外二氏の新譯源氏物語二冊(明治...
ある。
六、源氏中の秘事秘傳及び難語摘解
源氏の中の或る事物の説明を秘事秘傳として師弟簿承したのは...
源氏に於ける古代の註釋及び研究 . ...
---------------------[End of Page 532]---------------------
一一一232
國語と國文學-源氏物語號.、■ . 、,,、
られるが、其れも研究の幼稚な時代の歴史的遺物と七て捨て難...
源氏三箇大事 一卷
源氏十五箇條奧義 一卷(刊本)
叉難解の事項を詭明したものには、
弘安源氏論義
源語秘訣鈔
不審抄出
清石問答
源氏爪印
楊名介考
冊冊巻卷卷
源具顯判(類聳三七)ド
一條兼良(延寳八年刊) (類從三一四)
{ホ祗 河海花鳥所載以外の不審の條につき一條条頁との問答。
濡水濱臣と石川雅切孟との問答o
黒澤翕満
高田與清
一.三〇四
七、源氏に表れ控有職故實
源氏の中の故實に關しては各註釋書にも多少説明があ5、特に萩...
が、單行本と↓ては、
源氏男女装束抄一巻月村齊宗碩の著に壷井義知壜補し其に渡邊...
源氏官職故貧秘抄八冊壷井義知の署で少女卷迄ある。嬰藤籌に...
季
---------------------[End of Page 533]---------------------
一一233=一一一一一
源語問答 →卷 松岡行義
八~源氏に表はれた人物
源氏の中に表はれて居る人物の略傳は前に述べた系圖には大體...
し得るものでは、
掌中源氏物語 一卷 尾崎雅嘉(寛政九年刊)
源氏物語名寄圖考 一折 源氏物語名寄圖に清水濱臣が解釋...
源氏紐鏡 一卷 源匡李(安政五年刊)是れは源氏に衷はたて...
源氏人々の心くらべ 一卷 (類聳=四)源氏に表はれた人物の...
、九、準據説(即ち何人かをモデμとして書いたといふ説)
仙源抄には光源氏は宇多帝の四子敦慶親王(玉光宮)に擬しπもの...
在原業李叉は源光といひ、左邏の事より西宮高明だといひ、河...
はない。時代も種々に擬して論じてあるが、左の書の外別に單...
源氏紐鏡一卷堀内昌卿當時靂史にあて重實の類似を説きたるも...
十、年表系圖
年表は眠江入楚などには毎卷の年立があるが、單行したもので...
源氏に於ける古代の註釋及び研究 ...
---------------------[End of Page 534]---------------------
234一一一
國語と國交學 源氏物語號 . ...
源氏物語年立-二卷 一條条良レ
湖月抄附録年立 一卷
首書源氏物語附録年立 一卷
玉小櫛(卷の三) 一卷
源氏年紀考付年紀圖読 一卷 本居宣長
すみれ草(下卷) 北村久備
人物の系圖では、
湖月抄附録系圖 一卷 ...
首害源氏物説附録系圖 一卷
すみれ草(上中卷) 二卷
掌中源氏物語系圏 一帖 山田常典(弘化元年刊)
補訂源氏物語系圖 一鋪 森嘉某(文政三年刊)
年表系圖共にすみれ草が最もよい。掌中源氏系圖も座右に具へ...
十圃、源氏物語の卷數
源氏の卷數は名ばかりで詞のない雲隱の巻を合せて五十四帖と...
---------------------[End of Page 535]---------------------
一一X35一一一
る。五†四帖の外に獪二卷があるといふ読(拾芥抄)っ雲隱の卷は...
らうといふ説(紫明抄)。雲隱卷は詞も卷名もなかつたのを後人...
學全史)。甚しいのは天台の六十卷に擬して六卷を僞作して添附...
ら餘ウの年數隔たら顧更科日記には五十餘卷とある。餘卷では...
(籍祿元年「一八八五」二月十六日の條)に自二去年十一月一以=...
昨日表紙訖、今書二外題一とあるから定家時代には五十四帖で...
元年「一八九五」に歿した人。)の源氏供養の表自(湖月抄附録)...
從三一三に載せてある漢文の願文(聖覺の文を後人が私意を加へ...
之袈階一とある。雲隱の名はあつて詞のないといふ事は前にい...
年(一九五一)の賦コ源氏物語一詩(類從一三四)にも卷名だけが...
に浦傳、束屋の次に狹席の卷があつて二卷多い。拾芥抄は中園...
院實熈の著ではない)であるから淀海抄などよめは古い。此事に...
自分も説はあるが今回は參考書を基げる丈の目的だから省く。...
六卷を僞作したのは室町時代のものである。(清少塾昌口の作と...
に掲げる。
櫻人存賄一卷別に註一卷
源氏に於ける古代の註釋及び研究 ...
---------------------[End of Page 536]---------------------
一236
國語と國丈學
集 守
八、. 橋
嵯.峨野-トばレ諸
法師レ檳い
源氏物語號
ぬ
卷卷卷卷
一三〇八
同前二
同前
同前
同前
獪山路の露(伊行の作といひ又實隆の作ともいふのもある)Q(續...
僞作したもの一卷あつて合せて六卷となるo獪雲隱には淺井了意...
十二、源氏の索引
索引には語彙の索引と事項の索引とが二種ある。前者にはう
源氏物語類語
電源氏物語不携塵
語語類詞
.源氏物語麻袋
源語類聚抄
事項の索引では、
源氏事類
六冊 岸本弓絃
二冊 本多忠憲
三冊 著者未詳
五十卷,榎並隆嗹
五卷 高田與清
いろは引で卷名も湖月抄本の丁數も擧げてある。
是れも前書と同樣卷名も丁數も擧げて簡單ではあるが要を得て...
\
五卷 皿薯冖者不詳 事物をいろ孤引に《、例へば「いし...
---------------------[End of Page 537]---------------------
一一237一一
を拔抄してあるo
・源 氏 彙 事 六卷 畑中成雄
十三・源氏物語㊨影響
源氏が後世の文學に影響した事は多大なものであるが、其の事...
源氏に關係のある後世の和歌を蒐集し霞ものには、
源氏支流 二册 著者不詳
十四、源氏の歌
源氏の中にある歌を抄出して編輯したものには、
源氏歌鑑か蠡噸甑 一卷
源氏に引用せられた歌を卷を追うて抄録したものには、
源氏引歌 」卷(承應三年刊)
十五、作歌作文等の資料
源氏物語中から佳句叉は一節を抄出して和歌俳句叉は作文の資...
源語斷錦 十卷 川上靜庵
紫文製錦 八卷 橋本稻彦(文化十四年刊)
源氏に於け"る古代の註釋及び研究 ...
---------------------[End of Page 538]---------------------
一238一騨
國語と國丈學 源氏物語號 ...
源氏物語一部連歌可用詞.一卷
蘭六、式部の傳記及び源氏編纂時代
式部の傳記は各註釋書に見え、獪石山寺で須磨明石の二卷を書...
は萬水一.露を始め契冲の源註拾遺にもあるが是等に就いて最も...
紫家七論で卷安藤爲章
獪儒學の見よう式部を論じたもの。
源氏外傳五卷熊澤蕃山もと五四卷あつたのを中院通蔡鏤したも...
日本記御局考 一冊藤井高徇 (是は式部を日本紀の局といつ...
嗣七、定家の源氏各卷の歌
藤原定家が源氏の各卷に、一首づ丶詠んだといふ歌がある。其...
,水 原跿瀦敵二冊黏倫文安六年(一コ〇九)作. ...
源氏物語歌註 細川幽齋
源氏の異本については河内本青表紙本耕雲本等があるが今回は...
海o
---------------------[End of Page 539]---------------------
-->
ページ名: