田島利三郎「琉球語研究資料」
をテンプレートにして作成
[
トップ
] [
新規
|
一覧
|
検索
|
最終更新
|
ヘルプ
|
ログイン
]
開始行:
田島利三郎
「琉球語研究資料」
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/993756/9 このペ...
伊波普猷「田島先生の旧稿琉球語研究資料を出版するにあたつ...
http://www.webmtabi.jp/200709/theses/okinawa_ifafuyiu_taj...
<!--田島先生の旧稿琉球語研究資料を出版するにあたつて
伊波普猷
A そんな所にくすぶつて何をしてゐる。
B 田島先生の「琉球語研究資料」を出版せうと思つて、その...
A 「琉球語研究資料」といふのは、明治三十一年頃『国光』...
B うるさいね、君は。マア折角訪ねて来たから、十五分位は...
A それは恰度彼のフランス人達が馬鈴薯をパルマンチエがた...
B そいつは面白い比喩だ。私は兎に角目的を達した。琉球研...
A この熱のさめないうちに君も君の研究を発表するがいい。...
B 私もこの冬中に『続古琉球』を出さうと思つてゐる。そし...
A そんなことをするうちに流行は去つて了ふ。熱のさめない...
B オモロの研究は流行とは何等の関係もない。人が読まうが...
A 田島先生が蒔いた種子が三十年後の今日漸く芽を出した訳...
B 緒言に琉球史の梗概をのべて(一)おもろ、(二)おたか...
A 君に注意するが、「琉球語研究資料」といふ名をつけるの...
B なるほどそれはいい思ひつきだ。先生に対してはいささか...
A 琉球語の研究者にも琉球文学の研究者にも、どちらにも読...
B 明治二十六年の四月から同二十八年の十月までだ。先生は...
A どうしてそんな有為の人が沖縄みたいな所にやつて来たの...
B この論文の緒言を見給へ。先生は明治廿四年に先生の学友...
A それでよくわかつた。それは兎に角、今から三十年も前に...
B 奈良原知事の前に丸岡といふ知事の居られたのは覚えてゐ...
A さうすると、次の時代には多少逆転したやうな感があるね...
B マアそんなことはどうでもいい。其の琉球史料は大方私の...
A あの人はかなりの道徳家だつたから、借りたとしたら、き...
B もう君、借りてから三十年近くもなる。こちらから一度も...
A 日本人のわるいくせとして周囲の小民族の間に這入ると、...
B 少しも無かつた。それで先生は生徒になづかれたのだ。生...
A 先生にさういふ計画があつたとは少しも知らなかつた。君...
B 外の余白のところに、琉球の神歌、琉球に対する一般の憶...
A 先生は純然たる学究だつたね。
B 単なる学究ではなかつた。政治にも大分趣味を有つてゐた...
A それは私も聞いたことがある。一体どんなことが書いてあ...
B 「天下は天下の天下なり一人の天下に非ざる也」と断じた...
A 『琉球新報』を追出された復讐をやつたんだね。
B 兎に角、この論文は『琉球文学の研究』の附録として出す...
A それから其の頃先生が公同会の運動を妨害したといふ話が...
B ウム、それは阿摩和利事件よりも前にあつた事件だ。日清...
A それから先生はどうなつた。
B 一部の県人からは蛇蝎視された上に、間もなく職を失つた...
A 台湾にいつた後の先生の消息がききたいね。
B 台湾では総督府に奉職して居られたやうだ。其の頃あそこ...
A どこへいつたのだらう。
B サア、それから後が面白いんだ。その頃の台湾の新聞の福...
A 坊主に扮して! マアお経一つも読めない先生にどうして...
B そこが面白いところだ。支那では頭の頂上に大きなお灸を...
A ほんとに奇人だね。今でもやはりさういふ放浪生活をつづ...
B その後暫らくの間は消息が知れなかつたが、此頃照屋宏君...
A 大ぶ真面目になつたね。
B 照屋君が帰省してゐた時の話だが、先生は台湾に居られた...
A オモロも君のやうなナマケモノの手に渡つては、おしまひ...
B 私は横道に這入つてゐるかも知れない。けれども今に研究...
A それは僕がひきうける。時に君、いつだつたかある新聞の...
B それは私も読んだ。しかし君、考へても見給へ。先生は研...
A 今日は君が折角隠れてゐる所に闖入して、失敬した。しか...
B さよなら! またやつて来給へ。
大正十一年十月冊一日、天長節の祝日、図書館の書庫の一隅に...
伊波普猷
「琉球文学研究」より
田島利三郎著 伊波普猷編 大正13年 青山書店
-->
終了行:
田島利三郎
「琉球語研究資料」
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/993756/9 このペ...
伊波普猷「田島先生の旧稿琉球語研究資料を出版するにあたつ...
http://www.webmtabi.jp/200709/theses/okinawa_ifafuyiu_taj...
<!--田島先生の旧稿琉球語研究資料を出版するにあたつて
伊波普猷
A そんな所にくすぶつて何をしてゐる。
B 田島先生の「琉球語研究資料」を出版せうと思つて、その...
A 「琉球語研究資料」といふのは、明治三十一年頃『国光』...
B うるさいね、君は。マア折角訪ねて来たから、十五分位は...
A それは恰度彼のフランス人達が馬鈴薯をパルマンチエがた...
B そいつは面白い比喩だ。私は兎に角目的を達した。琉球研...
A この熱のさめないうちに君も君の研究を発表するがいい。...
B 私もこの冬中に『続古琉球』を出さうと思つてゐる。そし...
A そんなことをするうちに流行は去つて了ふ。熱のさめない...
B オモロの研究は流行とは何等の関係もない。人が読まうが...
A 田島先生が蒔いた種子が三十年後の今日漸く芽を出した訳...
B 緒言に琉球史の梗概をのべて(一)おもろ、(二)おたか...
A 君に注意するが、「琉球語研究資料」といふ名をつけるの...
B なるほどそれはいい思ひつきだ。先生に対してはいささか...
A 琉球語の研究者にも琉球文学の研究者にも、どちらにも読...
B 明治二十六年の四月から同二十八年の十月までだ。先生は...
A どうしてそんな有為の人が沖縄みたいな所にやつて来たの...
B この論文の緒言を見給へ。先生は明治廿四年に先生の学友...
A それでよくわかつた。それは兎に角、今から三十年も前に...
B 奈良原知事の前に丸岡といふ知事の居られたのは覚えてゐ...
A さうすると、次の時代には多少逆転したやうな感があるね...
B マアそんなことはどうでもいい。其の琉球史料は大方私の...
A あの人はかなりの道徳家だつたから、借りたとしたら、き...
B もう君、借りてから三十年近くもなる。こちらから一度も...
A 日本人のわるいくせとして周囲の小民族の間に這入ると、...
B 少しも無かつた。それで先生は生徒になづかれたのだ。生...
A 先生にさういふ計画があつたとは少しも知らなかつた。君...
B 外の余白のところに、琉球の神歌、琉球に対する一般の憶...
A 先生は純然たる学究だつたね。
B 単なる学究ではなかつた。政治にも大分趣味を有つてゐた...
A それは私も聞いたことがある。一体どんなことが書いてあ...
B 「天下は天下の天下なり一人の天下に非ざる也」と断じた...
A 『琉球新報』を追出された復讐をやつたんだね。
B 兎に角、この論文は『琉球文学の研究』の附録として出す...
A それから其の頃先生が公同会の運動を妨害したといふ話が...
B ウム、それは阿摩和利事件よりも前にあつた事件だ。日清...
A それから先生はどうなつた。
B 一部の県人からは蛇蝎視された上に、間もなく職を失つた...
A 台湾にいつた後の先生の消息がききたいね。
B 台湾では総督府に奉職して居られたやうだ。其の頃あそこ...
A どこへいつたのだらう。
B サア、それから後が面白いんだ。その頃の台湾の新聞の福...
A 坊主に扮して! マアお経一つも読めない先生にどうして...
B そこが面白いところだ。支那では頭の頂上に大きなお灸を...
A ほんとに奇人だね。今でもやはりさういふ放浪生活をつづ...
B その後暫らくの間は消息が知れなかつたが、此頃照屋宏君...
A 大ぶ真面目になつたね。
B 照屋君が帰省してゐた時の話だが、先生は台湾に居られた...
A オモロも君のやうなナマケモノの手に渡つては、おしまひ...
B 私は横道に這入つてゐるかも知れない。けれども今に研究...
A それは僕がひきうける。時に君、いつだつたかある新聞の...
B それは私も読んだ。しかし君、考へても見給へ。先生は研...
A 今日は君が折角隠れてゐる所に闖入して、失敬した。しか...
B さよなら! またやつて来給へ。
大正十一年十月冊一日、天長節の祝日、図書館の書庫の一隅に...
伊波普猷
「琉球文学研究」より
田島利三郎著 伊波普猷編 大正13年 青山書店
-->
ページ名: