石垣謙二「助詞史研究の可能性」
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石垣謙二
「國語と國文學」昭和二十二年六月號
>>
私は國語に於ける助詞の歴史を出來るだけ實證的に研究しよ...
先づ最初に斷つて置きたい事は、國語の歴史とか助詞の歴史...
普通、言語とは音と概念との結合したものと考へられてゐる...
さて、かやうに助詞の荷ふものが全く文法的機能のみである...
尤もこの考へ方には次のやうな反駁が豫想される。即ち、お...
今一つの實例を擧げてみるならば、國語の禁止の語法として...
上世には「なよびとよみそ」など句のかしらにもよみたれど中...
と指摘してゐるやうに、萬葉集など上代の例には、
な嘆き出でそね な戀ひそ吾妹 な思ひと
などのやうに「な」が一句の先頭にあるものが相當に見られる...
まがき近うな 花植ゑそ
秋だに我な 捨てはてそ
明日もありとな 頼みそと
などのやうなものが現れてくる。この變遷は何を意味するかと...
以上によつて國語に於ける助詞の變遷は、その言語として本...
さて、かやうに助詞の變遷は、その必然性が全文法機構にあ...
先の「なぞ」の變遷についてみても「な」の上にあつた句切...
古今に「あやなゝさきそ」とよめるばかり、上代のさまににた...
と述べてゐるが、蓋し「あやな」といふ語は「我かはあやな ...
手なな觸れそも
と「な」を二つ重ねた例の見られるのも、二つの「な」の中間...
なを二つ重ねたる、一つはあまりて聞ゆ、いかが
などと簡單に葬り去るべきものではないと思はれるのである。
かやうに助詞の變遷が連續的であり、且その各ミの段階が一...
例へば「私が行く」といふやうな主語を表す「が」助詞の機...
いとやんごとなき際にはあらぬが勝れて時めき給ふありけり
の「が」助詞が主格助詞であるか接續助詞であるかといふ事が...
この點が又、名詞の意味の變遷などと本質的に相違する處で...
これに反して助詞變遷の必然性を納得させてくれる例は國語...
然し、新規蒔直しに出直しさへすれば、助詞の歴史は變遷の...
以上を以て、國語に於ける助詞の變遷は國語の全文法機構に...
音韻變化が文法的機能に至大の關係をもつ事は、印歐語の場...
我が國語に於ても用言の活用の如きは相當に音韻變化の影響に...
次に他國語の影響に於ては、最も顯著なものとして、先には...
第三は方言差の問題である。千數百年の國語史を通じて、常...
最後に、階級性別等の差の問題であるが、之も前項の如く上...
然しながら、かやうに部分的に注意すべき事はあつても、上...
以上申し述べた處を要約すれば、助詞の變遷は、その必然性...
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石垣謙二
「國語と國文學」昭和二十二年六月號
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私は國語に於ける助詞の歴史を出來るだけ實證的に研究しよ...
先づ最初に斷つて置きたい事は、國語の歴史とか助詞の歴史...
普通、言語とは音と概念との結合したものと考へられてゐる...
さて、かやうに助詞の荷ふものが全く文法的機能のみである...
尤もこの考へ方には次のやうな反駁が豫想される。即ち、お...
今一つの實例を擧げてみるならば、國語の禁止の語法として...
上世には「なよびとよみそ」など句のかしらにもよみたれど中...
と指摘してゐるやうに、萬葉集など上代の例には、
な嘆き出でそね な戀ひそ吾妹 な思ひと
などのやうに「な」が一句の先頭にあるものが相當に見られる...
まがき近うな 花植ゑそ
秋だに我な 捨てはてそ
明日もありとな 頼みそと
などのやうなものが現れてくる。この變遷は何を意味するかと...
以上によつて國語に於ける助詞の變遷は、その言語として本...
さて、かやうに助詞の變遷は、その必然性が全文法機構にあ...
先の「なぞ」の變遷についてみても「な」の上にあつた句切...
古今に「あやなゝさきそ」とよめるばかり、上代のさまににた...
と述べてゐるが、蓋し「あやな」といふ語は「我かはあやな ...
手なな觸れそも
と「な」を二つ重ねた例の見られるのも、二つの「な」の中間...
なを二つ重ねたる、一つはあまりて聞ゆ、いかが
などと簡單に葬り去るべきものではないと思はれるのである。
かやうに助詞の變遷が連續的であり、且その各ミの段階が一...
例へば「私が行く」といふやうな主語を表す「が」助詞の機...
いとやんごとなき際にはあらぬが勝れて時めき給ふありけり
の「が」助詞が主格助詞であるか接續助詞であるかといふ事が...
この點が又、名詞の意味の變遷などと本質的に相違する處で...
これに反して助詞變遷の必然性を納得させてくれる例は國語...
然し、新規蒔直しに出直しさへすれば、助詞の歴史は變遷の...
以上を以て、國語に於ける助詞の變遷は國語の全文法機構に...
音韻變化が文法的機能に至大の關係をもつ事は、印歐語の場...
我が國語に於ても用言の活用の如きは相當に音韻變化の影響に...
次に他國語の影響に於ては、最も顯著なものとして、先には...
第三は方言差の問題である。千數百年の國語史を通じて、常...
最後に、階級性別等の差の問題であるが、之も前項の如く上...
然しながら、かやうに部分的に注意すべき事はあつても、上...
以上申し述べた處を要約すれば、助詞の變遷は、その必然性...
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