#author("2020-08-15T12:29:53+09:00","default:kuzan","kuzan")

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ことばの泉 辭典一册
【編者】落合直文
【成立・刊行】明治二十九年稿成り、同三十一年刊。なほ著者は本書刊行後、増補訂正に着手したが、業を終へずに歿したので、嗣子直幸は著者の門弟と共に増補の業を繼ぎ、五年を費して「大増補日本大辭典ことばのいつみ補遺」一册を明治四十一年に刊行した。補遺の部に收めた語は七萬餘である。大正の初年に至り、更に芳賀矢一が、十萬餘語を増補し、全部に改訂を加へ、「言泉」と題し、本文五卷・索引一卷とし、昭和四年から五年にかけて刊行した。
【内容】直文は「ことばの泉」を編纂するに際して二つの目的を有つてゐた。一つは、國語國文に關する一般的な事は、他に辭書を具へなくても、本書だけで事足るやうにといふ事、他の一つは、使用の便宜から、餘り浩瀚にならぬやうにといふ事であつた。その結果、所牧の語は古代かち現代に及び、語の種類は單に文學書類に見えるもののみでなく、政治・宗教・哲學・醫學・動植物に及び、又人名・地名・書名・年號等一般固有名詞をも含んでゐる。その結果、國語辭書とは云ふものの、一面百科辭書を兼ねたものである。而して大部なものにならぬやうにと計つたから、語釋は自然簡單である。所收の語彙十二三萬、これを五十音順に排列し、用例・出典なども簡單に擧げてゐる。
【價値】本書の特徴は、語彙の範圍が頗る廣い點に在る。然しこれは一面本書の缺點でもある。即ち簡單な事は本書で一通りは用を便ずるが、少しく專門的な方面に用ひようとすると、語彙に於ても不十分であり、語釋も要を得てはゐるが、簡單を旨としてゐるから十分とは云ひ得ない。その辭書としての史的地位は、「言海」(別項)に遠く及ばず、内容的價値に於ても「言海」を凌駕してゐるとは必ずしも云ひ得ないが、明治時代に於ける國語辭書としては、「言海」に次ぐものとして注意すべきである。なほ改修せられた「言泉」は頗る面目を改め、語彙の豐冨なことは、今日のところ國語辭書中第一である。然しその學術的價値は必ずしも「大日本國語辭典」(別項)の上にあるとは斷言し難い。
【參考】落合直文先生と其歌 早川幾忠(光五ノ七) 
       〔龜田〕
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ことばの泉 一冊
 落合直文の著。明治三十一年刊。四十一年嗣子[[直幸]]「[[大増補日本大辭典ことばの泉補遺]]」一冊刊行。昭和五年[[芳賀矢一]]増補本「[[言泉]]」出版完成。本書所收の語彙は古代から現代に及びその種類は政治・宗教・哲學・醫学乃至自然科學に及び[[固有名詞]]も亦網羅してこれを[[五十音順]]に配してゐる。その語彙「ことばの泉」十二・三萬、「補遺」に於いて更に七萬餘、「言泉」では更に十萬餘語を増補してゐる。[[國語辞書]]と云ふものゝ[[百科辭典]]の観がありその特徴は[[語彙]]の豊富なるにあるが。その語釋の簡に過ぎるのは學術的價値の點から惜しむ可きである。
【參考】
    * 落合直文先生と其歌。[[早川幾忠]]「光」第五年七号。 
(亀田次郎「国語学書目解題」)
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http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/862876

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