#author("2021-02-08T16:29:43+09:00","default:kuzan","kuzan") [[有明夏夫]] 小説 越前大野藩 蘭学 p.108 > 大野では、「あの」の呼びかける言詞は「あのお」と伸び、「これが」と指差す言詞は「これがあ」と伸びて、母音に力点がかかるが、この響きが実に愛くるしいのだ、と慎蔵は注釈した。 「ほう、そんなもんですけの」 龍湾はいつも大野弁丸出しでしゃべっているから、そこまでは気づかない。 p.154 相手の長崎弁につられて、宮五郎にも出さないつもりの大野弁が出た。 p.160 ここでの吉十郎はいささか他人行儀、長崎弁はおくびにも出さない。 p.162 > 冒頭にヒュースケンは宣言した。 「私ハ、日本語ヲ、一切使ワナイデ、モッパラ、英語卜蘭語ヲ、喋ルコトニシマス。ソノホウガ、アナタノタメニモ、良イト思イマス。アナタハ、ドウ思イマスカ?」 p.262 > 最後の「す」が「すう」と抜けた。懐かしい訛りだった。 「越前だな?」