#author("2024-05-12T13:50:54+09:00","default:kuzan","kuzan") [[椎名麟三]] 彼女は、何かもぐもぐいった。関西生れの私にも聞きとれない[[関西弁]]でだ。 彼女は事もなく[[関西弁]]で答えた。 「新家の叔母はんの家や」 すると美知子は[[関西弁]]でいった。 「みんな待ってはるんや、しようあらへんやろ」 何かがちがって来ていると私は思った。[[関西弁]]をつかう彼女には、ナイフでもなめた味気なさと自尊心のつよさといったものが感じられたのである。 私は急いでわざと[[関西弁]]でいった。 「そこらちょっと散歩して来ま。朝御飯、要りまへんさかいに」